怪我をさせなくても暴行罪!?逮捕された場合どうなるのか?

暴行

暴行罪で逮捕された場合、どうなるのか?

暴行とは何でしょうか?乱暴をすれば、全て暴行罪となるのでしょうか?
例えば、胸倉(むなぐら)をつかむことは、暴行罪に当たるのでしょうか?また、けがをさせなければ、暴行罪には当たらないのでしょうか?

ここでは、暴行の定義と、被害届が出されてから逮捕後までの流れ、示談交渉の位置付けについて、詳しく解説します。

1.暴行とは

判例では、暴行とは、人の身体に対する不法な攻撃方法の一切をいい、その性質上傷害の結果を惹起(じゃっき。引き起こすという意味です)すべきものであることを要しないとされています。

したがって、けがをさせなくても暴行罪には当たり、胸倉(むなぐら)をつかむことも、暴行罪に当たります。

また、けがをさせなくても暴行罪に当たるということは、被害者の診断書がなくても暴行罪に当たるということです。

2.被害届

ここからは、被害届が出されるとどうなるか、また、被害届の取下げについて解説します。

(1) 捜査の端緒、立件

暴行罪の被害者から被害届が警察に出されると、通常、警察は、捜査を始めます。
つまり、警察は、被害届が出されたことによって、事件が起きたことを初めて知り、捜査を始めるわけです。

この場合、被害届が捜査の端緒(たんしょ。きっかけという意味です)となっています。
また、捜査の対象とされることを、実務では「立件」されるといいます。

(2) 被害届の取り下げ

では、被害届が出されたことによって、事件が発生したことを知り、警察が捜査を始めた後、被害者が思い直して、被害届を取り下げたとしましょう。
警察は、被害届が取り下げられた場合、捜査を続けることをやめるのでしょうか?

また、検察は、被害届が取り下げられた場合、起訴しないのでしょうか?裁判では、有罪にはならないのでしょうか?

①取り下げ後の捜査

実は、被害届が取り下げられた場合であっても、警察が捜査を続けることはありますし、検察が起訴することもありますし、裁判で有罪になることもあり得ます。なぜなら、日本の法律では、被害届が取り下げられた場合に捜査をしてはならない、起訴してはならない、有罪にはならないなどとは規定されていないからです。

通常は、被害届の取下げでは、捜査は継続されて検察官に送検され、検察官が被害届の取下げを評価して起訴か不起訴か決めることになります。被害届の取下げでは不起訴には通常ならないでしょう。

しかし、被害届の取下げとともに示談が成立していれば不起訴となります。

3.逮捕

ここでは、どのような場合に逮捕されるかということと、逮捕に似た勾留との違いをご説明します。

(1) 逮捕される場合

逮捕には、罪証隠滅(ざいしょういんめつ)と逃亡のおそれがあることが必要です。逮捕は警察の判断でするのではなく、裁判所が警察の請求に基づき逮捕状を発布することで。逮捕することになります。

罪証隠滅とは、犯罪の証拠を隠したり壊したりすることです。注意すべきは、証拠には、被害者も含まれることです。被害者の住所を知っている場合には証拠隠滅の恐れが認定されやすくなります。

また、独身の一人暮らしで定職に就いてない場合、逃亡のおそれがありとされやすくなります。逆に、家族がいれば、家族が身元引受人となることで逃亡の恐れは少なくなります。

(2) 勾留との違い

①時間の長さ

逮捕と勾留の1番の違いは、時間の長さです。

逮捕は、最大72時間、つまり3日間であるのに対し、勾留は、起訴前は、最初は10日間、延長されると最大20日間となります。

②面会

その他の違いとしては、逮捕期間中は、一般の人は面会できませんが、勾留期間中は、一般の人も面会できます。
この点、弁護士なら、逮捕期間中であっても、接見(せっけん)できます。

このため、逮捕期間中に、ご家族が被疑者の様子を知りたい、あるいは不当な自白を強要されることを防ぎたい、といった場合には、弁護士に依頼する必要があります。

(3) 逮捕後の流れ

逮捕後は、48時間以内に検察庁に事件と被疑者の身柄が送致され、検察官が被疑者を取り調べて勾留の必要性(逃亡の恐れや証拠隠滅の恐れの有無)を判断し、勾留の必要性があると判断すれば検察官は裁判官に対して勾留請求をします。(参考:勾留請求とは?準抗告で釈放を目指すなら泉総合法律事務所へ!

裁判官は検察官の勾留請求を受けて勾留の必要性があるかどうかを被疑者に対する勾留質問で判断し、勾留の必要性ありと判断すれば勾留決定をします。

勾留は10日間の長期にわたり、警察の留置場で身体拘束されるため、会社員ならば無断欠勤で解雇か、会社に事件を起こしたことが知られ懲戒処分を受けるなど重大な不利益を受けます。

そのような不利益を避けるためには、弁護士に刑事弁護を依頼して勾留阻止、釈放のための弁護活動を依頼することをお勧めします。弁護士は依頼を受けると、家族の身元引受書や上申書、弁護士意見書を検察官や裁判官に提出して勾留阻止、釈放を働きかけます。それによって釈放となることが多くあります。

4.示談の位置づけ

暴行罪で逮捕された場合、示談はどのようにしたらよいのでしょうか?
ここでは、示談の意味と効果を解説いたします。

(1) 示談とは

示談は、示談契約という契約です。契約ですので、被疑者と被害者の両方が合意する必要があります。

(2) 示談の方法

ところが、被疑者が逮捕あるいは勾留されている場合、被疑者は、被害者と交渉することも、合意することもできません。

では、被疑者のご家族はどうでしょうか?
被疑者のご家族が警察や検察に、被害者と示談したいから、被害者の連絡先を教えてください、とお願いしても、通常、教えてくれません。

なぜなら、被疑者のご家族が被害者に直接お会いし、「事件をなかったことにしないと、どうなるか分かっているだろうな!」と脅したり、逆に、被害者が被疑者のご家族に仕返しをしたり、といったように、感情的になってけんかが始まる可能性があるからです。

弁護士であれば、そのような危険性はありませんし、被害者の連絡先を被疑者や被疑者の家族に教えることもないので、弁護士が警察や検察に被害者の連絡先を聞けば、警察や検察が被害者の了承を取って、弁護士だけに被害者の連絡先を教えてくれます。

つまり、示談するには、弁護士が必要というわけです。

(3) 示談の効果

弁護士が被害者と示談交渉し、示談が成立すると、示談書という書面を作ります。
示談書の中で1番重要なものが、宥恕文言(ゆうじょもんごん)です。

宥恕とは、許す、刑事処罰を求めないという意味です。検察も裁判所も、示談書を見ると、この宥恕文言があるかどうかを確認します。暴行罪の場合、示談書にこの宥恕文言が入っていれば、初犯なら、通常、不起訴になります。

示談が成立していないと、初犯の場合には被疑者の同意があれば裁判を開かないで略式起訴で罰金刑に処せられます。

罰金刑でも前科には違いありませんし、何等かの時に不利益が生じることがありますので、たとえば示談の不成立が示談金にあるのであれば、示談金・慰謝料で譲歩することが望ましいと思いますが、それはあくまで被疑者が自己責任で判断すべきものでしょう。

5.暴行罪で逮捕されたら弁護士に相談を

以上から、暴行罪で逮捕された場合にどうなるか、イメージできたと思います。暴行罪というと軽い罪のイメージがあるかもしれませんが、起訴されれば前科はつきます。初犯なら通常略式起訴で罰金刑、何度も起こしていれば起訴され正式裁判となり、最悪の場合懲役刑となります。

起訴されないようにするには、示談が重要なポイントとなります。

示談交渉の仕方や示談書の具体的な書き方などは、被害者の被害感情をくみ取りながら誠実に弁護士が交渉する必要があります。是非、暴行罪の弁護経験が豊富な泉総合法律事務所の無料法律相談を受けられて、弁護をご依頼ください。

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