保釈許可が水の泡!?保釈許可決定後の生活で気を付けるべき事とは

保釈・釈放

保釈許可が水の泡!?保釈許可決定後の生活で気を付けるべき事とは

刑事手続きにおいて、勾留中に起訴をされた後には、そのまま起訴後も勾留されることになります。この時に、勾留の効力を一時的に解き、釈放をさせることができる方法として「保釈申立て」があります。

この保釈については、無条件で許可されるということはありません。保釈されるための条件の他、保釈された後の生活中に気を付けなければいけないことが多々ありますので、以下で詳しく解説いたします。

1.保釈許可決定の条件

保釈許可決定がされる際には、その主文において保釈保証金額(刑事訴訟法90条1項)とともに、「釈放後は下記の『指定条件(同条3項)』を誠実に守らなければならない。これに違反したときは保釈を取り消され、保証金も没取されることがある。」という記載があります。

つまり、①保釈の『指定条件』に違反してしまうと、保釈が取り消されてしまう(せっかく釈放されていたのに、元の留置施設に戻ってしまう)ことになり、収めた保釈保証金が国に没取されてしまう、という極めて恐ろしい事態になってしまうのです。

2.保釈『指定条件』のよくある内容

それでは、保釈の『指定条件』とはどのようなものでしょうか。

①被告人は、・・県・・市・・・に居住しなければならない。住所を変更する必要ができたときは、書面で裁判所に申し出て許可を受けなければならない。(刑事訴訟法96条5項)

これは、保釈請求の際に記載される制限住所となります。

居住していればよいので、常に制限住所に居続けなければいけないわけではありませんし、例えば外出や働きに行くことなどは認められます。

しかし、不定期に裁判所の職員や、警察官などが確認しに来る可能性がありますので、確認しに来た際には対応できるようにしておく必要があります。

そして、どうしても何らかの事情により制限住所の変更を受けたいと思う時には、制限住所が決定主文に記載されていることから、書面により申し出て、制限住所の変更許可決定を受ける必要性があります。

②召喚を受けたときは、必ず定められた日時に出頭しなければならない(出頭できない正当な理由があれば、前もって、その理由を明らかにして、届け出なければならない。)。(刑事訴訟法96条1項)

勾留の目的は、「逃亡及び罪証隠滅の防止」であり、被告人に対して証拠に基づいた適正な裁判を受けさせることにあります。裁判の一方当事者である被告人が、裁判所に出頭しないことには、裁判が始まりません。

そのため、保釈の指定条件とすることで、被告人の裁判所への出頭(裁判所の被告人席への着席)を確保することを目的としています。

ただし、逃亡などの不当な場合ではなく、急病や何らかの急な用などによって、出頭したくても現実に出頭できなくなってしまうということもあり得ます。その様な場合には、事前に裁判所に対して「正当な理由」を伝え、別期日を指定してもらうことになります。

・「正当な理由」

なお、ここでいう「正当な理由」がない場合とは、被告人の責めに帰すべき事由があることを意味しています。

例えば、保釈中に他の事件で勾留された場合であっても、警察官・検察官・裁判官等に保釈中であることを伝えないで、裁判期日に出頭できなかった場合には、正当な理由がないとされます。

また、病気であって、その診断書を提出したとしても、公判審理を遅延させる目的から、被告人自身が原因を与えた疑いが濃厚な場合も、正当な理由がないとされます。

③逃げ隠れしたり、証拠隠滅と思われるような行為をしてはならない。(刑事訴訟法96条2項3項)

これも、勾留の目的が、「逃亡及び罪証隠滅の防止」であり、被告人に対して証拠に基づいた適正な裁判を受けさせることにあることから、保釈条件とされています。

つまり、逃げ隠れや証拠隠滅に当たる行為をしてしまうと、適正な裁判を阻害します。

特に、後半である証拠隠滅について、権利保釈(刑事訴訟法89条:保釈の請求があつたときは次の場合を除いては、これを許さなければならない。)の要件である、「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき(刑事訴訟法89条4号)」には、権利保釈が認められないこととリンクしています。

この条件をクリアして保釈されたのだから、裁判所を裏切らないでくださいねということです。

④海外旅行又は3日以上の旅行をする場合には、前もって、裁判所に申し出て、許可を受けなければならない。

旅行であっても、長期間の旅行や海外への旅行の場合には、裁判所職員や警察が制限住所地に確認しに来ても、被告人が制限住所地に居住していることを出来ないので、制限住所を定めた意味がなくなります。

逆に、被告人側にとっても、単なる旅行のつもりであったのに、「制限住所にいなかった」とされては、保釈が取り消されて困ることになります。

そこで、裁判所の事前の許可を受けるようにすることで、これらの不都合を回避することができます。

⑤被告人は、●●に対し、直接または弁護人を除く他の者を介して、面接、通信、電話などによる一切の接触をしてはならない。(刑事訴訟法96条4項)

これも、3番目と同様、勾留の目的が、「逃亡及び罪証隠滅の防止」であり、被告人に対して証拠に基づいた適正な裁判を受けさせることにあることから、保釈条件とされています。●●には、事件の被害者や共犯者、目撃者などの個人名が書かれることが通常です。

つまり、証人となりうる人に対する接触を許してしまうと、被告人側の人間が証人に対して脅迫などをする可能性があり、適正な裁判を阻害するため、それを防止するものです。

特に、権利保釈の要件である、「被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。(刑事訴訟法89条5号)」には、権利保釈が認められないこととリンクしています。

3番目と同じく、この条件をクリアして保釈されたのだから、裁判所を裏切らないでくださいねということです。

3.刑事事件の弁護は泉総合法律事務所へ

ここに記載した注意事項は、保釈取り消しを避けるために最低限守らなければならないことです。

泉総合法律事務所では、刑事事件で逮捕・起訴されてしまった後でも、保釈に向けた弁護活動をさせて頂いております。起訴されて困っている方、またはその家族の方は、お早めに泉総合法律事務所にご相談ください。

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