示談できない、示談を拒否された場合の対処法は?弁護士に相談を!

示談

示談できない、示談を拒否された場合の対処法は?弁護士に相談を!

1.示談交渉をすることの重要性

痴漢や傷害、恐喝、交通事故など、被害者がいる刑事事件を起こしてしまった場合には、被害者と示談を成立させることが最も重要です。

示談とは、被害者に発生した損害を賠償し、民事的な解決を図るとともに、刑事面では、被害者に犯罪行為を許してもらい、刑事罰を望まないことを意思表示してもらうことです。基本は民事的な解決ではありますが、被害者に生じた被害が回復しているかどうか、また、刑事罰を望まないかどうかは刑事事件において検察官や裁判官がその処分を決めるうえで非常に重要な要素です。

すなわち、示談が起訴前に成立していれば、初犯であり重大事件でなければ検察官は通常不起訴処分として、前科が残らない可能性が大きいといえます。検察官が起訴して裁判になってしまったとしても、示談していることにより有罪判決に執行猶予が付く可能性が大きくなります。

児童買春や淫行の場合

なお、児童買春や淫行(青少年保護育成上違反)など被害者が個人でない、社会の善良な性風俗を保護する目的の条例違反の犯罪でも、相手方少女の両親と(少女は20歳未満のため交渉は保護者・親権者である両親と行います)示談を成立させられれば、その他の事情と相まって検察官が不起訴処分としてくれることもあります。

とはいうものの、被害者との示談は必ずしも成立するわけではありません

以下、被害者との示談ができない場合と、その時の対処方法について解説をします。

参考:刑事事件における示談総説。示談の意義、タイミング、費用など解説!

2.示談ができない場合もある

被疑者が被害者の連絡先を知らないことが大半かと思いますが、その場合には刑事弁護の依頼を受けた弁護士が通常検察官か警察官を通じて被害者の連絡先を聞きます。しかし、被害者が被疑者の弁護人(弁護士)に連絡先を教えることを拒否することがたまにあります。その場合には弁護士は被害者との示談交渉すらできませせん。

被害者が検察官などを通して弁護士に連絡先を教えてくれて、弁護士が被害者に被疑者に代わって謝罪して犯行自体は許していただいても、示談において支払う示談金などの条件が被害者との間で折り合わないこともあります。

被害者が20歳未満の場合

被害者が20歳未満の場合には示談交渉の相手方は被害者の保護者・親権者である両親となりますが、性犯罪の場合には被疑者がわが子にとんでもないことをしてくれたとの思いから被害者に対する見方には大変厳しいものがあるのが通常で、弁護士に連絡先を教えること自体拒否される可能性が多いですし、仮に連絡先を弁護士に教えたとしても「とりあえず話だけは聞いてみる」「被疑者がどんな人物か知りたい」ということも少なからずあり、弁護士が両親に会えることができたからと言って必ずしも示談できるとは限らないのが現実です。

両親が示談自体に同意してもらった場合でも、両親の激しい怒りから通常よりも示談金額が高くなるのが通常です。

その結果、示談金が用意できず示談が成立しないこともあります。

3.示談が成立しない場合の対処法

贖罪寄付

示談が成立しない理由によって対応が異なる

一言に示談ができないといっても、そこには様々な原因があります。示談に応じてもらえない原因に応じて、取るべき対応は異なります。

示談をそもそも拒否されている場合

どうして拒否されているのか、その理由を知る必要があります。ほとんどの場合、被害者の怒りや恐怖が原因です。
被害者が怒りのために示談に応じてもらえない場合、時間が解決してくれる可能性があります。時間がたつことで冷静になり、話し合いに応じてもらえる場合があります。

この場合、とにかく被害者に対する謝罪を被疑者に代わって弁護士が繰り返し伝えて、怒りが収まるのを待つしかありません。

被害者の恐怖

一方で、被害者の恐怖のために示談に応じてもらえない場合もあります。この場合には、被疑者が直接の接触をしようとすれば接触しようとするほど、より恐怖を募らせて、状態を悪化させてしまう可能性が高いです。

この場合には、被害者の恐怖をできるだけ低めるために、例えば痴漢ですと、被疑者が通学などで利用している電車などは利用しないことを示談条件に加えたり、被疑者が万が一被害者と出くわした場合には電車などでは直ちに降りたりすることなどを示談条件に織り込むことをします。

当然のことながら、示談条件に織り込んだ以上は被疑者には絶対に守っていただくことになりますし、弁護士としては被疑者に守っていただけないと思われる事項は示談条件には織り込みません。その意味では、弁護士は依頼者である被疑者の弁護人ではありますが、被害者の立場や不安をできるだけ取り除いて安心してもらうことも重要な役目であると考えております。

金額が折り合わずに示談が成立しない場合

被疑者にお金がない場合や、被害者の要求する金額がとても大きい場合には、金額に折り合いがつかないこともあります。

示談書には、示談書に書かれた金額以上の支払い義務がないことの確認の条項を入れるのが通常です。したがって、支払うべき金額の総額がまとまらなければ示談をしてもらうことはできません。

このような場合、被害者の求める金額の一部だけでも用意できるのかどうかが重要になります。もし被害者の求める金額の一部だけでも用意できるのであれば、少なくともその一部だけでも賠償を行っておくというのは、一つの手段です。そして、必ず一部は賠償したことの証拠を残しておきましょう。

賠償金の一部を支払い、その旨の領収書をもらっておくことで、民事事件との関係では一部賠償済みであると証明することができますし、刑事事件との関係でも、損害の一部は回復済みであることの証拠になり、まったく賠償していない場合よりも処分が軽くなる可能性はあります。

法務局に供託

また、直接被害者に支払う以外にも、法務局に供託するという方法もあります。

供託とは、被疑者・加害者が弁護士を通して相当と考える損害賠償金を具体的に提示したにも関わらず被害者が受領を拒否したり、弁護士の具体的な賠償金提示がなくとも一切賠償の受け取りの意思がない、弁護士と賠償の話し合いの意思がないことを意思表示したりした場合において、弁護士が被疑者に代わって相当な賠償額を被害者宛てに法務局の供託所に預けることを言います。

供託は先ほど述べた条件を満たさないと行うことができませんので、単に示談交渉がまとまらなかったからと言って供託することができるわけではありません。供託をすると被害者がいつでも法務局に供託したお金を受け取ることができるようになります。

供託すると、被害者が賠償金を受け取ったとの法的効果が発生しますが、それは示談が成立したことまでは意味せず、損害賠償金を受け取った、被害弁償がなされたとの意味を持ちます。これは検察官の処分、裁判所の判決に有利な影響をもたらすものです。

この場合にも、供託したことの証明書を証拠として残しておきましょう。

示談に応じないという意思が強固な場合

被害者とそもそも連絡がとれなかったり、被害者の示談拒否の気持ちが強く示談に応じてもらえなかったりすることもあります。

このような場合であったとしても、被害者に対する謝罪、賠償の意思があるのであれば、その意思を形にしておくべきです。いつ被害者の気持ちが変わっても示談交渉に入れるように、被害者への謝罪文を用意したり、示談金を弁護士に預けていつでも被害者に渡せるようにしたりする必要があるからです。

この場合も先ほど述べた、供託をすることが可能となり、被害弁償の一類型として検察官、裁判所に理解してもらえます。

団体に寄付と贖罪寄付

また、その事件に関係する団体に寄付を行うことで、贖罪の気持ちをあらわすという方法もあります。供託できない場合には、この方法を取ることになります。

例えば、各都道府県の弁護士会は、贖罪寄付というものを受け入れています。贖罪寄付を行った証明書が発行されるので、贖罪・反省の気持ちを形にすることができる。

こうした示談に向けての準備をしているかどうか、本人がどれだけ反省しているのかという点も、起訴されるかどうか、執行猶予が付くかどうかの判断に大きく影響します。検察官・裁判官に判断してもらうために、示談に向けての準備や反省の気持ちを証拠化することがとても重要です。

4.示談交渉でお困りならば弁護士へご相談ください

被害者のいる事件を起こしてしまった場合には、何よりも示談を行うことが重要です。

しかし、今回解説した通り、示談ができないことももちろんあります。そして、被害者に示談交渉に応じてもらうことも、示談の経過を証拠化することも、事件の当事者が行うのは非常に困難です。事件の第三者である弁護士だからこそお手伝いできることがあります。

刑事事件の示談交渉でお困りならば、刑事弁護経験、示談経験豊富な泉総合法律事務所に示談交渉を含む刑事弁護をご依頼ください。

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