平成26年改正〜児童買春、児童ポルノなどを規制する法律の解説

児童買春

平成26年改正〜児童買春、児童ポルノなどを規制する法律の解説

1.はじめに

最近、よく、児童買春、児童ポルノという言葉を見たり聞いたりします。この児童買春、児童ポルノについては、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、「児童買春・児童ポルノ禁止法」、あるいは、単に「法」といいます。)に定められています。

では、児童買春、児童ポルノとは、それぞれ、どういうことなのでしょうか。そして、児童買春、児童ポルノの罪を犯してしまった場合、具体的には、それぞれ、どのような罪に問われ、どのような処罰を受けるのでしょうか。

1-1.改正法

児童買春・児童ポルノ禁止法は平成26年6月に改正されていますが、改正法では、児童ポルノの定義を一部改正した上で、児童ポルノの所持・保管や盗撮による児童ポルノの製造を新たに処罰することなどをその内容としています。

そこで、以下では、改正された児童買春・児童ポルノ禁止法を中心に、具体例を挙げながら、解説することとします。

2.目的と特色

児童買春・児童ポルノ禁止法は、性的搾取・性的虐待からの児童の保護・権利擁護を目的として、18歳未満の児童との経済的対償を伴う性交等を「児童買春」として処罰するとともに、18歳未満の児童を被写体とした「児童ポルノ」を従来のわいせつ図画とは異なった観点から規制する点に特色があります。

3.禁止規定

法3条の2は、児童買春、児童ポルノの所持その他児童に対する性的搾取及び性的虐待に係る行為の禁止について、

「何人も、児童買春をし、又はみだりに児童ポルノを所持し、若しくは第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管することその他児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならない。」

と規定しています。

そして、本規定は、ここに掲げられているような行為が、児童の権利を著しく侵害するものであることから、何人といえども、正当な理由なく、これらの行為をしてはならないことを、理念として宣言したものであると説明されています。

児童ポルノの「みだりな所持」を禁止しているのは、児童ポルノを所持する場合であっても、「警察の捜査、通報受理又は国際捜査共助の過程における警察職員又は鑑定受託者による所持」や「インターネット・ホットラインセンターの業務やフィルタリングソフト開発の過程での所持」など、社会的に相当と認められる場合があることから、そのような場合を除く趣旨であると説明されています。

4.児童買春、児童ポルノとは?

児童買春、児童ポルノとは?

⑴ 児童買春

児童買春とは、児童、周旋者(児童買春をあっせんした者)、保護者(児童の親権者、児童の監護者)若しくは支配者(児童を支配下に置いていた者)に対償(金銭や物品)を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等をすること、と定義されています(法2条2項)。

そして、ここにいう性交等とは、性交、性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいいます。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいいます。

また、児童とは、18歳に満たない者を指します。

⑵ 児童ポルノ

児童ポルノとは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したもの、と定義されています(法2条3項)。

そして、ここにいう児童の姿態とは、児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る姿態、他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態(性欲を興奮させ又は刺激するもの)、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態(殊更に児童の性的な部位―性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいいます―が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの)をいいます。

具体例を挙げて説明しますと、児童ポルノとは、児童が性交や性交に類似する手淫・口淫・同性愛などの行為をしている様子を撮影した写真や画像データ、他人が児童の性器等を触ったり、児童が他人の性器等を触っている様子を撮影した写真や画像データで、性欲を興奮させ刺激するもの、全裸や半裸の児童に扇情的なポーズをとらせて撮影した写真や画像データで、性欲を興奮させ刺激するものなどのことです。

・文言の解説

「殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいいます。)が露出され又は強調されているもの」とは、全裸や下着姿の児童が、性器が見えるポーズや、胸部を強調するポーズ等をとっている写真や画像データが考えられています。

また、「殊更に」という文言は、当該画像等の内容が、性欲の興奮又は刺激に向けられているものと評価されるものであることを要求する趣旨と解されていますので、たとえ全裸の写真であっても、自宅などで水浴びをしている幼児の自然な姿を、両親が成長記録として撮影した画像、自分の子供の海水浴の際の水着姿の写真や、水着の写真が載っている小中学校時代の卒業アルバムについては、通常、「殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているもの」とはいえず、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」ともいえないと考えられています。

5.児童買春

児童買春罪は、金銭や物品を交付して18歳未満の児童と性交等をした場合に、成立する犯罪です。

児童買春罪を犯した者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます(法4条)。

なお、たとえ児童買春行為があったとしても、相手が18歳未満の児童であることを知らなければ、処罰されることはありません。知らないことに過失があっても、同様となります。相手が18歳未満の児童であることを確定的あるいは未必的に知っている場合の故意犯だけが処罰されるわけです。

もしかしたら18歳未満かもしれない、との認識は未必的に知っている場合(未必の故意)に該当します。また、児童の服装などから通常ならば18歳未満と認識するだろうとの事情(たとえば高校生の服装など)があれば、本人が18歳未満だと信じていても裁判所、検察官は18歳未満の認識があったと判断することになります。

その意味では、関係を持つ前に18歳未満と疑われる事情があれば、関係を持つことを中止すべきといえます。

6.児童ポルノ

⑴ 概説

児童買春・児童ポルノ禁止法で処罰対象となっている行為は、

①自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持、画像データの保管(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金。法7条1項)

②特定かつ少数の者に対する児童ポルノの提供、画像データの送信(3年以下の懲役又は300万円以下の罰金。法7条2項)

③特定かつ少数の者に対する児童ポルノの提供目的での児童ポルノの製造・所持・運搬・輸出入、画像データの保管(3年以下の懲役又は300万円以下の罰金。法7条3項)

④児童に姿態をとらせた上での児童ポルノの製造(目的を問いません。3年以下の懲役又は300万円以下の罰金。法7条4項)

⑤盗撮による児童ポルノの製造(3年以下の懲役又は300万円以下の罰金。法7条5項)

⑥不特定又は多数の者に対する児童ポルノの提供、画像データの送信、又は児童ポルノの公然陳列(5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はその併科。法7条6項)

⑦不特定又は多数の者に対する児童ポルノの提供目的や公然陳列目的での児童ポルノの製造・所持・運搬・輸出入、画像データの保管(5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はその併科。法7条7項)

⑧日本人による外国における、不特定又は多数の者に対する児童ポルノの提供目的や公然陳列目的での児童ポルノの輸出入(5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はその併科。法7条8項)

です。

そして、改正法で新たに処罰対象に追加された行為が、上記①の「自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持・保管」と上記⑤の「盗撮による児童ポルノの製造」なのです。児童ポルノの所持とは、有体物(写真、DVD・ハードディスク記録媒体など)である児童ポルノを、自己の事実上の支配下に置くことをいいます。

電磁的記録(画像データ)の保管とは、電磁的記録を自己の実力支配内に置いておくことをいいます。具体的には、当該電磁的記録をコンピュータのレンタル・サーバに保存する行為や、自己が自由にダウンロードできるリモートの記録媒体に保存する行為がこれに当たります。

これに対し、自己の所持するパソコンのハードディスクに保存している場合は、ハードディスク(有体物)の所持罪に該当します。さらに、新たな規定として、インターネット業界の努力規定(法16条の3)が置かれました。

それは、インターネットを通じて児童ポルノが拡散した場合、その回収は困難であり、被写体となった児童の被害は甚大なものとなるため、このようなネットの特性を踏まえて、この規定が置かれたのです。

その内容は、適用事業者は、アクセスプロバイダ、掲示板等の管理者、掲示板等のために使用されているサーバーの管理者など、インターネット関連の事業者一般で、「捜査機関への協力及び送信防止措置」を努力規定として例示し、自主的措置を求めることとされています。

上記1で触れたように、以下では、改正法で新設された児童ポルノ所持罪(電磁的記録については「保管」が処罰されますが、便宜上、児童ポルノ所持罪のみを扱います。)と盗撮による児童ポルノ製造罪について、若干の解説を加えることとします。

⑵ 児童ポルノ所持罪

児童ポルノ所持罪は、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した場合に、成立する犯罪です。

児童ポルノ所持罪を犯した者は、上記のとおり、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(法7条1項)。

児童ポルノ所持罪が成立するためには、問題となる所持の時点において「自己の性的好奇心を満たす目的」があったと認められる必要があります。

したがって、例えば、学術研究のために、児童ポルノに該当し得る画像を所持していたような場合等には、基本的には処罰されません。

また、処罰対象となるのは、児童ポルノを「自己の意思に基づいて所持するに至った者」であると「明らかに認められる者」でなければ処罰されませんので、例えば、「知らないうちに児童ポルノを送り付けられた場合」、「嫌がらせなどによりメールを送り付けられた場合」、「パソコンがウイルスに感染して勝手に児童ポルノをダウンロードしてしまった場合」、「ネットサーフィンによる意図しないアクセスの場合」などは、基本的には処罰されることはありません。

・例外事項

ただし、知らないうちに送り付けられたり、誤ってダウンロートしたりして所持するに至った児童ポルノの画像であっても、その後、その存在を認識した上で、自己の性的好奇心を満たす目的で、これを積極的に利用する意思に基づいて自己のパソコンの個人用フォルダに保存し直すなどした場合には、改めて「自己の意思に基づいて所持するに至った」として処罰される可能性があります。

なお、法7条1項で処罰されるのは、「自己の性的好奇心を満足させる目的」での所持であり、このような目的がなく、両親が、子供を風呂に入れている様子を写した写真を成長の記録や思い出として持っている場合や、プールでの水着姿が掲載されている卒業アルバムを思い出として持っている場合は、法7条1項の目的の要件を満たしませんから、処罰されることはありません。

⑶ 盗撮による児童ポルノ製造罪

盗撮による児童ポルノ製造罪は、ひそかに児童ポルノに該当するような児童の姿態を写真等に描写することにより児童ポルノを製造する行為(盗撮)をした場合に、成立する犯罪です。

盗撮による児童ポルノ製造罪を犯した者は、上記のとおり、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます(法7条5項)。

ここにいう「ひそかに」とは、描写の対象となる児童に知られることのない態様で、という趣旨になります。

従前は、提供目的のない児童ポルノの製造行為については、意図的に児童に児童ポルノに該当するような姿態をとらせて行われるものだけが処罰されていましたが、盗撮という悪質な態様により児童ポルノを製造するような行為は、児童に姿態をとらせるような場合と同様に児童の尊厳を害する行為であるため、このような態様による製造も、提供目的がなくても処罰できるとして、法7条5項が新設されたのです。

7.逮捕後の流れ(示談など)

⑴ 逮捕〜釈放、裁判

児童買春、児童ポルノの罪で逮捕されますと、被疑者は、最大72時間自由を制限されますが、通常、逮捕から48時間以内に検察官に送致され、検察官は、被疑者を受け取ってから24時間以内に裁判官に対し、より長期の身体拘束を求める勾留の請求をします。

裁判官は、検察官から勾留の請求がありますと、勾留質問を行って、その当否を審査しますが、児童買春、児童ポルノの罪を犯した疑いがあり、住居不定、罪証隠滅のおそれ又は逃亡のおそれのいずれかに当たり、捜査を進める上で身柄の拘束が必要なときに、被疑者の勾留を認めます。

児童買春、児童ポルノの場合には多くの場合勾留されますので、逮捕されたら家族らが直ちに弁護士に刑事弁護を依頼して勾留阻止活動、釈放活動をしてもらうことを強くお勧めします。当所泉総合法律事務所は児童買春の事案で勾留阻止をかなりの件数実現しております。

なお、勾留期間は原則10日間ですが、事案が複雑、共犯事件、証拠収集が困難など、やむを得ない場合には、更に10日以内の延長が認められることもあります。

そして、検察官は、捜査の結果を踏まえ、通常、勾留満期までに、被疑者を不起訴処分(起訴猶予)にするか公訴提起するかを決めます。

さらに、被疑者が起訴された場合(被告人となります。)には、釈放され、又は保釈が認められない限り、身体の拘束が続くことになります。公訴提起は、簡易裁判所(宣告刑としては罰金のみ)又は地方裁判所になされます。

裁判結果としては、罰金、執行猶予付、保護観察付執行猶予、実刑の判決が考えられます。

⑵ 示談交渉

逮捕された被疑者(起訴後は、被告人)の処分結果に最も影響を与えるのが、児童買春の罪ではその相手となった児童、児童ポルノの罪では被写体となった児童それぞれとの示談です。

したがって、児童買春、児童ポルノの罪で逮捕された人に有利となる結果を導くには、いかに早期に示談を成立させることができるかにかかっているわけです。

しかし、実際の示談となりますと、相手あるいは被写体の児童が18歳未満ですから、示談交渉の相手としては、一般的に、必然その保護者である両親ということになります。両親は、自分たちの子が、児童買春の相手とされ、あるいは児童ポルノの被写体とされたわけですから、そう簡単に示談に応じるとは考えられません。

また、示談ということになれば、児童の心情にも配慮しなければなりませんので、かなり高度な交渉ごとになります。そうしますと、児童側との折衝、そして示談交渉などは、刑事弁護、示談に精通している弁護士に委ねるのが望ましいことになります。

8.示談交渉は泉総合法律事務所へ

児童買春、児童ポルノの罪を犯してしまった場合、示談交渉が最重要となってきます。

解雇・退学を避けるためにも、弁護士に早期に相談してください。弁護活動により不起訴となり、前科がつかないで済む可能性があります。

泉総合法律事務所は刑事事件の弁護経験が豊富で、性犯罪弁護・示談交渉の実績も多数あります。初回相談は無料となっておりますので、是非お早めにご相談ください。

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