刑事事件簿 [公開日]2017年7月20日[更新日]2023年9月13日

児童買春の刑事弁護実績|逮捕後に釈放・勾留阻止活動に成功した事例

児童買春の釈放-勾留阻止活動に成功したケース

ある日の朝、警察署少年課の刑事が4〜5名で被疑者の自宅を訪問し、そのまま警察署に連行して児童買春の罪(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反)で逮捕令状を執行して逮捕となる事件がありました。
相手方の少女の補導が契機となり、メールの解析などで被疑者の特定に至ったようです。

そしてその日の夕方、被疑者の家族が泉総合法律事務所に来所され、刑事弁護を依頼されました。

今回は、児童買春で令状逮捕された本事件の刑事弁護について、解決事例としてご紹介していきます。

1.児童買春は勾留阻止が難しい重大事件

家族が少年課刑事から簡単に事情を聴いていたことから、依頼を受けた弁護士はその事情を聞き取り、弁護方針を立てました。
当面の目標は、勾留を阻止して釈放され、会社の解雇を避けることです。

しかし、令状逮捕の場合、一般論では検察官は勾留請求を行うことが多いです。加えて、児童買春には検察官も裁判官も非常に厳しい対応をするため、検察官が勾留請求することは確実であり、検察官の勾留請求を受けた裁判官も勾留決定する可能性が高いです。

このことをご家族にも伝えたうえで、刑事弁護を受任しました。

2.実際の弁護活動|迅速な勾留阻止と釈放

まず、ご家族に刑事弁護を依頼されたその場で、身元引受書を作成してもらいました。
その後、被疑者が逮捕され留置されている警察署に急行しました。

接見では被疑者の方と直接話をして被疑事実を確認するとともに、今後の手続きの流れを説明しました。「児童買春に対する検察官や裁判官の見方は厳しいものがあるので、勾留の可能性が極めて高い」ということを伝えたことはもとよりです。

その上で、翌日の検察官の取り調べへの対応を被疑者と協議し、対策を練ることにしました。検察官の取り調べに対してどう回答するかなどを助言して、意見書起案に備えてその日は事務所に戻りました。

その後、検察官が勾留請求を行わず釈放するように判断してもらえるような意見書を作成しましたが、これは刑事事件に関するノウハウがあるからこそできる活動だと自負しております。

【参考】勾留阻止/釈放活動

3.釈放・不起訴を獲得

検察官の取り調べ後、釈放判断

検察官の取り調べ当日には、弁護人選任届と被疑者作成の書類、弁護士(弁護人)作成の意見書を検察庁に提出し、検察官の判断結果を待ちました。

そして、午後3時ごろ当事務所から検察庁担当検察官に連絡を入れたところ、勾留請求をせず釈放との返答がきました。

児童買春は通常勾留される重大事件であり、当事務所でも他の児童買春の事案では最善を尽くしても10日間の勾留となってしまったケースは存在します。今回は、被疑者作成の書類内容や家族の身元引受書の内容が決め手となって、検察官が勾留請求を見送り釈放との判断になったものと考えられます(もちろん、検察官側は担当検察官によって判断が異ならないように内部で基準を設けています)。

釈放後の弁護活動(示談交渉)

釈放されると、在宅事件として自宅にいながら検察官に呼び出されて取り調べを受けることになります。

比較的軽微な痴漢などの性犯罪の場合は、被害者との示談を成立させれば初犯なら不起訴になる可能性が極めて高いです。
しかし、児童買春は示談しても不起訴になるとは断言できません。近年重大視されている事件であることはもとより、児童買春は「社会の善良な性風俗を保護するため」という名目で、理論的には被害者は「社会」であるため、被害者が個人である痴漢事件などよりも示談結果が重要視されないのです。

とはいえ、実際には少女の両親との示談を成立させることによって不起訴処分となることが少なからずあります。稀なケースですが、示談できなかった事例でも不起訴になった事例もあります。
示談の成立・不成立だけでなく、他の事情も考慮して「不起訴にするか」「罰金刑にするか」「起訴されて正式裁判にするか」を検察官が判断することになるでしょう。

なお、児童買春の相手方少女が複数に上る場合には、犯行容態も悪質であると判断され、罰金刑ではなく起訴、正式裁判となるのが通常です。

[参考記事]

児童買春事件における示談の注意点

4.児童買春で逮捕されたら泉総合法律事務所へご相談ください

児童買春は、ホテル街などでの職務質問での検挙以外は令状逮捕となります。令状逮捕では、自宅に警察官が訪問して警察署に連行し、逮捕令状を執行するという流れになります。
逮捕が早い時間ですと、翌日検察官の取り調べとなり、検察官が勾留請求すれば通常裁判官は10日間の勾留決定をしてしまいます。

児童買春で逮捕されたら、直ちに弁護士、それも刑事弁護経験豊富な弁護士に刑事弁護を依頼することを強くお勧めします。

弁護士に依頼をしても、児童買春ですと必ずしも検察官の勾留請求を阻止して釈放できるわけではありません。
しかし、今回のケースのように逮捕翌日に刑事弁護を依頼いただければ、検察官が勾留請求してしまう前に対応ができますので、勾留阻止や釈放を得られる可能性も高くなります。

児童買春の釈放、勾留阻止の可能性は高いとは言えませんが、諦める必要はありません。最善を尽くしたいのであれば刑事弁護経験豊富な弁護士に依頼することをお勧めします。

泉総合法律事務所は様々な刑事弁護のノウハウがございますので、ぜひ一度お早めにご相談ください。

[参考記事]

児童買春に強い弁護士|弁護士に依頼する場合と依頼しない場合の違い

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