強制性交等罪と準強制性交等罪の違いは?(旧称 強姦罪・準強姦罪)

強制性交等罪

1.はじめに

強制性交等罪(旧罪名:強姦罪)・準強制性交等罪(旧罪名:準強姦罪)で逮捕された人又はその家族として、まず、理解しておきたいのは、強制性交等罪・準強制性交等罪とはどういう犯罪なのか?ということです。

更に、

  • 強制性交等罪と準強制性交等罪の違いは何か?
  • 強制性交等罪/準強制性交等罪で逮捕された後はどうなるのか?
  • 強制性交等罪/準強制性交等罪で起訴された後、保釈されることはあるのか?
  • 強制性交等罪/準強制性交等罪で示談は可能なのか?

も知っておく必要があります。以下に、順次、検討していくことにします。

2.強制性交等罪(旧罪名:強姦罪)とは

⑴ 強制性交等罪は、13歳以上の者に対して暴行・脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をすること、13歳未満の者に対しては単に性交等をすることによって成立します(刑法177条)。法定刑は、「5年以上の有期懲役」です。

⑵ 従前は、被害者が女子に限定されていましたが、平成29年6月の改正(同年7月施行)により、男子も含まれるようになりました。そのため、加害者も男性に限られなくなりました。

13歳以上の者に対する性交等の行為の手段としての暴行・脅迫は、被害者の反抗を抑圧するまでの必要はありませんが、著しく困難にする程度のものであることを要するとするのが、通説・判例です。

13歳未満の者は、性交等について十分な承諾能力を有しませんから、承諾の有無にかかわらず性交等の行為それ自体を処罰することにしたものです。相手が13歳未満であることの認識は必要です。

3.準強制性交等罪(旧罪名:準強姦罪)とは

⑴ 準強制性交等罪は、人の心神喪失・抗拒不能に乗じ、又は心神喪失・抗拒不能にさせて性交等をすることによって成立します(178条2項)。法定刑は、「5年以上の有期懲役」です。

⑵ 準強制性交等罪は、心神喪失・抗拒不能の状態にある人に対して性交等をするものですが、「心神喪失」、「抗拒不能」とはどういうことでしょうか。

「心神喪失」とは、精神の障害によって正常な判断能力を失っている状態をいい、熟睡、泥酔・麻酔状態、高度の精神病等がこれに当たります。また、「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由によって心理的、物理的に抵抗することが不能又は著しく困難な状態をいい、恐怖・驚愕・錯誤等によって行動の自由を失っているなどがこれに当たります。

そして、「心神喪失・抗拒不能に乗じ」とは、既存の状態を利用することをいい、泥酔している人に対して性交等をすること、深夜夫又は妻と誤信させて性交等をすることなどがこれに当たります。また、「心神喪失・抗拒不能にさせ」る方法には、麻酔、催眠術、欺罔などがあります。

4.強制性交等と準強制性交等の違いは何か

犯行の態様から見て、性交等の行為の手段としての暴行・脅迫を用いる場合が強制性交等であり、心神喪失・抗拒不能の状態を利用する場合が準強制性交等といえます。これが両者の違いとなります。ただし、13歳未満の者に対する強制性交等は、暴行・脅迫を性交等の行為の手段としません。

準強制性交等罪は、「準」とつくため、強制性交等罪より軽い印象を受けかねませんが、準強制性交等罪も、先に見たように、強制性交等罪と同じ法定刑ですので、実際的にも、強制性交等罪と同様に重大な犯罪なわけです。

5.強制性交等罪・準強制性交等罪で逮捕されたら

準強姦・強姦2

5-1.逮捕後の流れ

逮捕によって自由が制限されるのは最大72時間となっています。その後、引き続き身体を拘束するのが勾留です。

逮捕された被疑者の場合、逮捕後48時間以内に検察庁に身柄送検され、検察官が取り調べをして、勾留の必要性を判断します。勾留の必要性があると判断すると、検察官は裁判官に対して勾留請求を裁判官に行います。勾留請求を受けて裁判官は、被疑者に対して勾留質問を行って、その当否を審査しますが、強制性交等罪・準強制性交等罪を犯した疑いがあり、住居不定、罪証隠滅のおそれ又は逃亡のおそれのいずれかに当たり、捜査を進める上で身柄の拘束が必要なときに、被疑者の勾留を認めます。

なお、勾留期間は原則10日間ですが、やむを得ない場合には、更に10日以内の延長が認められることもあります。さらに、起訴された場合には、釈放され、又は保釈が認められない限り、身体の拘束が続くことになります。

5-2.逮捕中の被疑者と家族の面会

逮捕中は、弁護士以外の人が被疑者と面会するのは難しいです。被疑者は警察署の留置場等に留置され、外部との連絡も自由にできなくなりますので、逮捕中の被疑者と連絡を取るためには、弁護士に依頼するしか方法がないことになります。

5-3.勾留中の被疑者と家族の面会

勾留中は、家族も面会できますが、一般的な例でいいますと、平日の日中の時間帯でかつ時間制限(20分程度)、回数制限(1日1回)、人数制限(1回の面会で3人まで)、警察官等の立会いといった条件があります。さらに、接見(面会のこと)禁止等の決定がなされますと、面会できるのは弁護士だけとなります。

6.起訴された後、保釈されることはあるのか

6-1.保釈の請求

被告人やその家族には、保釈請求ができます。しかし、問題は、被告人やその家族が保釈の請求をするとしても、裁判官に対し、保釈要件がある旨を理解させ、説得できるだけの理由を書面で主張できるかということです。法律に精通していない被告人やその家族の場合、具体的に理由付けて、裁判官を説得するような保釈請求をすることは至難のことです。

弁護士は、保釈請求をした場合、法律上の要件を具体的に主張するとともに、裁判官に面談を求め、その面談を通じて、保証金額の希望を伝えたり、望ましい制限住居、適切な身柄引受人の存在などを訴えたり、また、裁判官からの事情聴取に応じるなどして、保釈許否の判断材料を提供してくれます。

そして、強制性交等罪・準強制性交等罪は、法定刑が「5年以上の有期懲役」ですから、刑訴法89条1号に該当するため、権利保釈は認められませんが、そのような場合でも、弁護士であれば、「保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情」(刑訴法90条参照)を整理し、保釈保証金によって逃亡の防止が図られるとして、裁判官に裁量保釈を認めてもらう可能性もあります。

さらに、保釈却下の場合でも、弁護士としては、準抗告、抗告や特別抗告の申立てをすることによって、保釈許可を得る道はあるのです。

6-2.保釈は認められるか

身柄拘束(勾留)のまま起訴された場合、保釈は認められるのでしょうか。被告人やその家族にとっては、一番の関心事になるはずです。しかし、強制性交等罪・準強制性交等罪は、上記1のように、権利保釈は認められません。

では、裁量保釈はどうでしょう。

法定刑の下限が重くなった平成29年6月の改正(同年7月施行)より前のものですが、睡眠導入作用を有する薬物を混入した料理を食べさせ、同薬理作用により抗拒不能の状態に陥らせて2人の女性を姦淫した準強姦(現・準強制性交等)の事件(他に、これと併合審理されている同態様の準強姦(現・準強制性交等)又はその未遂被告事件5件)について、被告人が、全公訴事実を認め、検察官請求証拠についても全部同意して、その取調べを終え、追起訴の予定がないこと、被告人の妻が被告人の身柄を引き受け、公判期日への出頭確保及び日常生活の監督を誓約していること、これまで前科前歴がないこと等の事情に加え、本件事案の性質や証拠関係、併合事件を含む審理経過、被告人の身上等に照らすと、保証金額を合計1500万円とし、被害者ら事件関係者との接触禁止などの条件を付した上、裁量により保釈を許可するのを相当とする旨の決定がなされています(最決平26.3.25)。

7.示談は可能なのか

7-1.示談の可能性

被告人の処分結果に最も影響を与えるのが、被害者との示談です。したがって、強制性交等罪・準強制性交等罪で逮捕された人に有利となる結果を導くには、いかに早期に示談を成立させることができるかにかかっているわけです。

しかし、示談となりますと、被害者の心情に配慮しなければなりませんので、かなり高度な交渉ごとになります。被害者側との折衝、そして示談交渉などは、法律のプロである弁護士にしかできません。現実問題として、この種事犯でも、示談が成立している事例があります。示談が早ければ早いほど、被告人に有利な処分結果が出ることが期待できます。

7-2.示談金の相場

この種事犯は、被害者の被害の深刻さ、その程度や被害感情が、大きな比重を占めますので、金銭で計れない面があり、実際問題としても、示談の成立に向けての金額の算定には困難を伴います。示談金の性質は、その多くは、被害者に対する慰謝料ということになり、被害者の対応によって影響されるため、示談金の相場といわれる金額にも、大きな幅があるといわれています。

しかも、被害者の年齢、既婚か未婚か、被告人との関係、将来の影響の度合いなど、事案ごとに、検討されるべき要因に違いもあるため、その相場も、100万円~200万円、300万円前後、200万円~400万円とまちまちであり、また、500万円を超える事例もあるなど、相場はなきに等しい感が否めません。

8.強制性交等・準強制性交等犯罪の弁護は泉総合法律事務所へ

以上のように、強制性交等・準強制性交等罪は大変重大な犯罪です。人の一生涯を左右する問題にもなりかねないので、もし逮捕されてしまったならば、早めに泉総合法律事務所までご相談ください。

当弁護士法人では様々な刑事事件に取り組み、多くのケースで示談していただいておりますので、万が一事件を起こしてしまった場合にはご連絡ください。

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