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児童ポルノ禁止法とは?児童買春の規制も弁護士がわかりやすく解説

児童ポルノ禁止法とは?児童売春の規制も弁護士がわかりやすく解説

【この記事を読んでわかる事】

  • 児童ポルノ禁止法は単純所持でも罪に問われるというのは本当か
  • 児童ポルノ禁止法、児童買春で検挙されたらどうなるのか
  • 不起訴を目指して行われる弁護活動とはどんなものか

 

みなさまは、「児童ポルノ」という言葉をお聞きになったことがあるでしょう。

実は、近年「児童ポルノ」を規制する法律が改正されて、児童ポルノを「所持しているだけ」でも処罰を受けることになっています。

また、児童ポルノ禁止法は、児童買春も厳しく禁じています。

もしも家族が児童ポルノの所持や製造、児童買春などで逮捕されてしまったら、どのように対処したら良いのでしょうか?

今回は、児童ポルノや児童買春を禁止している「児童ポルノ禁止法(規制法)」の規制内容や罰則、逮捕された場合の対処方法等の必要な知識を中心に、弁護士が解説します。

1.児童ポルノ禁止法について

(1) 概要

児童ポルノや児童買春を規制している法律は、「児童ポルノ規制法」「児童ポルノ禁止法」と呼ばれる法律です。

正式な名称は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」という非常に長いものとなっているので、上記のように略されて呼ばれます。

児童ポルノ禁止法は、「児童ポルノ」の製造や所持、提供や輸出入などの行為を禁止しており、「児童買春行為」も禁止対象です。

「児童ポルノ」禁止法とは言っても、ポルノ画像関連だけではなく「買春行為」も禁止されているので、注意が必要です。

なお、児童ポルノや児童買春の詳細な意味については、後の項目でご説明します。

(2) 改正法

この法律は、平成26年6月18日に改正・施行されています。

改正法では、「児童ポルノ」の単純所持や保管、盗撮による児童ポルノの製造行為を新たな処罰対象として、適用範囲を広げています

(3) 目的

平成26年改正〜児童買春、児童ポルノなどを規制する法律の解説

児童ポルノ禁止法の目的は、性的な搾取や虐待から児童を保護し、その権利を守ることです。

子どもは判断能力が未成熟なので、大人に搾取されたり性欲の対象にされたりして、人権侵害を受けやすいです。また、監護者から性的な虐待を受けることもあります。

そのようなとき、被害を受けた児童が受ける悪影響は、想像を絶するほど大きくなります。

そこで、その被害の重大性から、この法律は以下の2つの目的をもって、制定されました。

  • 児童に対する性的虐待や性的搾取が行われないように、一般的なわいせつ図画などとは異なる視点から、児童買春や児童ポルノに係る行為を規制・禁止して厳しく処罰する
  • これらの犯罪行為によって心身に悪影響(権利の侵害)を受けてしまった児童を守るための措置を定める

以下では、児童ポルノ禁止法により、具体的にどういった行為が規制対象となるのか、「児童」「児童ポルノ」「児童買春」などの言葉の意味を確認していきましょう。

(4) 児童とは

児童ポルノ禁止法で規制対象となるのは「児童」についてのポルノ画像や買春行為です。

ここで言う「児童」とは、18歳未満の未成年を表します。
そこで、18歳以上の人が相手であれば、ポルノ画像を作成したり買春行為をしたりしても、この法律で処罰されることはありません。

ただし、「知らなかった」と言っても、相手が見るからに未成年である場合などには、言い訳が通用せず、処罰される可能性があります。

(5) 児童ポルノとは

次に、児童ポルノ禁止法で規制される「児童ポルノ」の意味を、ご説明します。

児童ポルノ禁止法では、児童ポルノの定義について「写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したもの」とされています(法2条3項)。

ここで言う「児童の姿態」とは、以下のようなものを言います。

  • 児童を相手にしている、または児童による性交や性交類似行為
  • 他人が児童の性器等を触る行為や児童が他人の性器等を触る行為(性欲を興奮させ又は刺激するもの)
  • 衣服の全部や一部を着けない児童の姿(殊更に児童の性器やお尻、胸などを強調、露出しており、性欲を興奮させ、刺激するもの)

こういった児童の姿を記録した「写真」や「画像」が「児童ポルノ」です。

たとえば、児童が性交や手淫・口淫をしていたり、他人が児童の性器等を触っていたり、児童が他人の性器等を触っていたりする様子、衣類を着けずに露出している児童の姿などを撮影し、写真や画像データに残すと、それは「児童ポルノ」になります。

ただし、「性欲を興奮させ刺激するもの」という要件がついているので、単純に家族のアルバムなどで、水着や水浴びしている幼児、児童の写真が残っているだけでは、「児童ポルノ」になりません。

家族の団らんとして、子どもと一緒にお風呂に入っている写真や、子どもの成長記録として撮影した写真なども児童ポルノになりません。

問題になるのは、性欲を満たすために、わざわざ児童を全裸や下着姿にさせて、性器が見えるポーズや、胸を強調するポーズをとらせた写真や画像データなどです。

また、「アニメ画像」については、児童ポルノに該当しないと考えられています。

つまり、ゲームやアニメなどで、児童が性欲を刺激するような姿態をとっている画像やデータについては、所持や製造、提供行為などによって処罰されることはありません。

(6) 児童買春とは

次に、児童ポルノ禁止法で処罰対象となっている「児童買春」について、見ていきましょう。

児童買春とは、児童に金品や財物などの「対価」を渡して、性交や性交類似行為、児童の性器を触ったり、自分の性器を児童に触らせたりすることです。

「買春」と言っても、「性行為」のみならず、その類似行為や性器を触り、触らせる行為も処罰対象となります。

児童買春が想定しているのは、主に「援助交際」と呼ばれる行為です。

つまり、援助交際により、女子中学生や女子高校生などにお金を渡し、性交やそれに類似する行為をすると、「児童買春罪」として処罰される可能性が高くなります。

援助交際について、詳しくは「援助交際で児童買春罪…示談・釈放・刑罰・不起訴を弁護士が解説」で解説しています。

2.児童ポルノに関する規制内容

次に、児童ポルノに関して規制される行為と処罰内容を確認しましょう。

(1) 児童ポルノに関する罪と刑罰

児童ポルノについては、法律上、以下の行為が禁止されています。

  • 所持
  • 提供
  • 製造
  • 運搬
  • 輸出入
  • 陳列

法改正前は、児童ポルノの単純所持は規制されていませんでしたが、改正によって、禁止されるに至っています。つまり、児童ポルノについては「持っているだけ」で処罰されうるということです。
以下で、さらに深く、児童ポルノ禁止法が禁止している行為を見ていきましょう。

児童ポルノに関する規制内容と罰則は、以下の通りです。

① 自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持、画像データの保管
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金。

② 特定かつ少数の者に対する児童ポルノの提供、画像データの送信
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金。

③ 特定かつ少数の者に対する児童ポルノの提供目的での児童ポルノの製造・所持・運搬・輸出入、画像データの保管
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金。

④ 児童に姿態をとらせた上での児童ポルノの製造(目的を問いません。)
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金。

⑤ 盗撮による児童ポルノの製造
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金。

⑥ 不特定又は多数の者に対する児童ポルノの提供、画像データの送信、又は児童ポルノの公然陳列
5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はその併科。

⑦ 不特定又は多数の者に対する児童ポルノの提供目的や公然陳列目的での児童ポルノの製造・所持・運搬・輸出入、画像データの保管
5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はその併科。

⑧ 日本人による外国での、不特定又は多数の者に対する児童ポルノの提供目的や公然陳列目的での児童ポルノの輸出入
5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はその併科。

上記の通り、児童ポルノの製造や提供行為などについては、相手が「特定かつ少数」か「不特定かつ多数」かによって刑罰の内容が変わり、不特定多数を相手にする方が罪は重くなります。

また、改正法によって新たに処罰対象に追加された行為は、以下の2つです。

①「自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの単純所持・保管
⑤「盗撮による児童ポルノの製造」

児童ポルノの「画像データの保管」とは、有体物(写真、DVD・ハードディスク記録媒体など)である「児童ポルノ」を、自分の支配下に置くことです。

たとえば、児童ポルノ画像の記録をコンピュータのレンタル・サーバに保存したり、自分が自由にダウンロードできる媒体に保存したりした場合などです。

児童ポルノ画像を自分の所持するパソコンのハードディスクに保存している場合には、ハードディスクの「所持罪」に該当します。

(2) 児童ポルノ所持罪(単純所持)

以下では、改正法によって追加された「児童ポルノ所持罪」について、より詳細に解説をします。

①処罰される行為とされない行為

児童ポルノ所持罪は、自分の性的好奇心を満たす目的で、「児童ポルノ」を単純所持した場合に、成立する犯罪です。

刑罰は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。

児童ポルノ所持罪が成立するためには、所持の時点において「自己の性的好奇心を満たす目的」があったことが必要です。

たとえば、「家族の思い出」や「学術研究」のために児童のわいせつな画像を所持していた場合等には、処罰されません。

また、処罰対象になるのは、児童ポルノを「明らかに」「自己の意思に基づいて所持するに至ったもの」です。

そこで、以下のような場合、処罰の対象外となります。

  • 知らないうちに児童ポルノを送り付けられた
  • 嫌がらせで、児童ポルノが添付されたメールを送り付けられた
  • パソコンがウイルスに感染して勝手に児童ポルノをダウンロードしてしまった
  • ネットサーフィンによって、意図せず児童ポルノにアクセスしてしまった

さらに、処罰対象となるのは「みだりな所持」です。

つまり、児童ポルノを所持する場合であっても、「警察の捜査や鑑定受託者による所持」や「インターネット・ホットラインセンターの業務、フィルタリングソフト開発のための所持」など、正当な理由がある場合には、処罰対象となりません。

②その後に性的好奇心を抱いて保存すると罪になる

児童ポルノを、自分の気づかないうちに送り付けられたり、誤ってダウンロートしたりした場合であっても、その後、自分の性的好奇心を満たす目的で積極的に利用しようと思い、自分のパソコンの個人用フォルダに保存し直した場合などには「自己の意思に基づいて所持するに至った」と評価されるので、処罰される可能性があります。

③恋人関係でも問題になる

18歳未満の恋人がいる場合、相手の同意を得て、その裸体をスマートフォンで撮影してそのまま所持している場合などがあります。

こういったケースであっても、警察は「児童ポルノ製造、所持」として立件して犯罪になることがあるので、「恋人関係だから大丈夫」とは考えない方が良いでしょう。

(3) 「盗撮」による児童ポルノ製造罪

次に、改正法によって追加された「盗撮による児童ポルノ製造罪」についても、説明を加えます。

これは、ひそかに児童ポルノに該当する児童のわいせつな姿態を写真撮影することなどによって、児童ポルノを製造(盗撮)した場合に、成立する犯罪です。

盗撮による児童ポルノ製造罪の刑罰は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金刑です。

ここでいう「ひそかに」とは、対象児童に知られずに、こっそり撮影することです。

従前は、提供目的を持たない児童ポルノの製造行為については、「意図的に」児童にわいせつな姿態をとらせて製造するものだけが処罰されていました。

しかし、「盗撮」という悪質な方法で児童ポルノを製造する行為も、意図的に児童に姿態をとらせる場合と悪質性が変わらず、児童の尊厳を害する行為と評価されるので、同じく提供目的がなくても処罰できるものとして、処罰対象が拡大されました。

(4) インターネット業界の努力規定について

改正法では、新たな規定として、インターネット業者に対する努力規定(法16条の3)が置かれています。

これは、アクセスプロバイダやネット掲示板等の管理者、掲示板等のために使用されているサーバーの管理者などのネット関連事業者に対し、「捜査機関への協力や送信防止措置」を努力規定として求めるものです。

つまり、ネット事業者が管理しているページなどに、不適切な児童ポルノ画像が投稿された場合などには、管理者として、速やかに削除したり、警察の捜査に協力したりすべき義務です。

ネットを通じていったん児童ポルノが拡散すると、回収や被害回復が困難となり、児童への悪影響が大きくなるので、こうした努力規定が設けられています。

3.児童買春とは

次に、児童買春罪が成立する場合と刑罰の内容を確認しましょう。

児童ポルノ禁止法により、「児童買春」に関連して処罰される行為には、単純な児童買春、児童買春のあっせん、人身売買の罪があります。

(1) 児童買春罪

まずは、単純な児童買春罪から見ていきます。

児童買春とは、児童に対し、金品や財物などの「対価」を渡して以下に該当する行為を行うことです。

  • 性交
  • 性交に類似する行為
  • 児童の性器などを触る
  • 自身の性器などを触らせる

「児童買春」と評価されるためには、金品などの財物を「対価」とする必要があります。

対価なしに、児童と性交や性交類似行為を行った場合には児童買春にはならず、別途「淫行条例」という条例違反が問題になってきます。

児童買春の刑罰は、5年以下の懲役または300万円以下の罰金刑です。

(2) 児童買春周旋・勧誘罪

自分が児童買春をしなくとも、児童買春を周旋したり、勧誘したりすると、児童ポルノ禁止法による処罰対象となります。

刑罰の内容は、「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金刑」です。懲役と罰金刑は、併せて(同時に)科される場合もあります。このことを「併科」と言います。

さらに、児童買春の周旋・勧誘を、業務として行っていた場合、さらに重い「7年以下の懲役及び1000万円以下の罰金刑」が科せられます。

(3) 児童買春等目的人身売買等

児童買春や児童ポルノの画像、映像などを製造する目的で、児童を人身売買すると、「1年以上10年以下の懲役刑」が科されます。

児童売春事件における弁護につきましては「児童買春事件における示談の位置づけ—示談したから安心ではない!?」で詳しく解説しています。

4.児童ポルノに関する罪や児童買春が発覚する経緯

児童ポルノ規制法違反で逮捕されてしまったら?要件・罰則を解説!

児童ポルノの所持や製造、児童買春をしてしまった場合、警察に逮捕される可能性があるのでしょうか?

以下で、こういった犯罪が発覚するパターンを見ていきましょう。

(1) 児童ポルノに関する罪が発覚する経緯

児童ポルノを所持している場合、そういった画像をネット掲示板や各種サイト、SNSなどに掲示してしまうケースがあります。

そうすると、警察によるサイバーパトロールで発見され、摘発される可能性があります。

近年、ネットを使った犯罪が増加していることもあり、警察は随時ネット上を見回って「サイバーパトロール」という捜査をしていますから、注意が必要です。

また、児童ポルノを撮影して「製造」した場合には、対象となった児童が被害申告したことで発覚する可能性があります。

かつて恋人関係にあった児童の性的な画像を撮影して所持していた場合でも、児童と恋人関係を解消した後、児童が親や彼氏に事実を告げることで、事件が発覚するケースも見られます。

児童とポルノ画像のやり取りをしているところを周囲に見られて不審に思われたり、親が児童の行動を不審に思ってスマホなどを見ることにより、発覚したりするケースもあります。

このように、児童ポルノに関しては、さまざまなきっかけで「バレる」可能性があり、「単に所持しているだけなら大丈夫」ということはありません。

(2) 児童買春罪が発覚する経緯

児童買春罪については、児童ポルノ所持罪などの罪よりも、より発覚しやすいです。

援助交際をしている児童は、何度も繰り返していることが多いものです。そうすると、いつかは親にバレます。

すると、過去に児童が会った男性が、スマホなどの記録によって洗いざらい明らかにされて捜査対象となり、一気に摘発されるのです。

また、児童が援助交際に嫌気がさして、自ら親や彼氏に事実を告げてしまうことがあります。

すると、やはり一気に警察の捜査が入り、過去の児童買春者をつまびらかにして、一斉摘発されます。

援助交際の際にわいせつな写真を撮っていてパソコンなどに保存している場合などには、児童買春罪と児童ポルノ製造罪が両方成立してしまうので、罪が重くなります。

以上のように、児童ポルノの製造・所持をしていたり、児童買春(援助交際)していたりすると、行為時から相当の日数が経過した後であっても、いきなり警察が自宅にやってきて任意同行を求められたり逮捕されたりすることもあり、決して安心することはできません。

(3) リベンジポルノについて

児童ポルノに関して、「リベンジポルノ」についての知識も押さえておきましょう。

リベンジポルノとは、元の交際相手など、恋愛関係にあったときに性的な画像を撮影し、その後相手と別れた後に、腹いせや復縁を求める趣旨で、ネット上などに公開してしまう行為です。

このようなことをすると、当然、児童ポルノ製造罪が発覚しますし、それだけではなくリベンジポルノ禁止法違反にもなります。

さらに、相手に復縁を強要すると、刑法上の強要罪も成立しますので、非常に罪が重くなる可能性があります。

児童と交際しているだけならまだしも、性的な画像を撮影することや保存すること自体が「犯罪になる」ことを自覚して、節度を持った行為を行うことが重要です。

リベンジポルノについては「リベンジポルノ(交際中の画像を悪用)…逮捕されたら弁護士相談」で詳しく説明しています。

5.児童ポルノ禁止法違反で、逮捕された後の流れ

児童買春、児童ポルノとは?

もしも児童ポルノ禁止法違反が発覚してしまったら、その後どういった流れになるのでしょうか?

児童ポルノ禁止法違反の場合、「任意」で取り調べが行われるよりも「逮捕」されてしまうケースの方が多いので、以下で、逮捕後の流れを説明します。

(1) 送検と勾留

逮捕されると、しばらくは家族も面会できない状態が続きます。その期間は3日程度です。

まずは、逮捕後48時間以内に、被疑者の身柄が検察官のもとに送られます。このことを、送検と言います。

そして、検察官が「勾留」の必要性を判断します。児童ポルノ禁止法違反の場合、多くのケースで勾留が必要と判断されて、勾留請求されます。

裁判所が勾留決定をすると、被疑者の身柄は引き続いて警察の留置所に拘束され続けることになります。

送検から勾留決定までの期間は24時間以内です。そこで、逮捕後勾留までの期間が3日(48時間+24時間)となります。

勾留に切り替わると、家族も面会が認められるようになります。

なお、弁護士であれば、逮捕直後から被疑者と接見して、身柄の解放を含め、具体的な弁護方針を組み立てることができます。

(2) 取り調べ

勾留されると、被疑者は警察の留置所内で、警察による取り調べを受け続けることになります。

取り調べでは、厳しく犯罪内容を追及されるので、精神的に参ってしまわれる被疑者の方も多いです。必要以上に罪を重く申告してしまい、不利益な調書を取られるケースも多々あります。

すると、後の刑事裁判で不利になりやすいです。

このようなとき、弁護人がついていれば、被疑者に適切なアドバイスをしたり励ましたりすることができるので、被疑者が取り調べに耐える力と知識を得ることができます。

勾留期間は原則として10日ですが、10日では捜査が終了しない場合、さらに10日間、勾留延長することができますので、勾留期間は最大20日間です。

(3) 起訴か不起訴か決定される

勾留が満期になったら、検察官は、被疑者を「起訴」するか「不起訴」にするかを決定します。

起訴とは、刑事裁判を起こして、犯人を訴追することです。起訴されると、被疑者は「被告人」となり、裁判所で裁かれることになります。

不起訴とは、刑事裁判にはせず、不問に付すことです。

不起訴になると、被疑者は身柄を解放されて、基本的にはそれ以上児童ポルノ禁止法違反を追及されることはありません(ただし、まれに起訴猶予になっても、後に起訴される可能性もあるので、100%ではありません)。

(4) 在宅捜査の場合

逮捕されても「勾留」されないケースがあります。その場合、被疑者が在宅のまま捜査が進められます。

そこで、こういったケースのことを「在宅捜査」あるいは「在宅事件」と言います。

在宅捜査になった場合には、被疑者は普通に自宅で過ごすことができますが、捜査は継続しています。

捜査が終了する段になると、検察官から呼び出しを受けて取り調べが行われ、供述調書が作成されます。

その後、検察官が起訴か不起訴かを決定し、起訴されたら刑事裁判となりますし、不起訴になったら不問に付されます。

(5) 刑事裁判になる

起訴された場合には、刑事裁判が始まります。

軽微な犯罪の場合には、簡易裁判所における略式裁判となり、罰金刑が科されます。

重大な犯罪の場合や前科がある場合などには、地方裁判所に起訴されて、公開法廷で審理が開かれます。

通常の刑事裁判になると、被疑者は裁判が行われるたびに裁判所に連れて行かれて審理を受けることになります。

ただ、裁判が始まったら保釈が認められるので、身柄拘束を受けている場合には、早期に保釈申請するのが良いでしょう。

審理は、月1回くらいのペースで開廷されます。

特に争いのない事件であれば、1回か2回程度で審理が終わり、判決が言い渡されますが、無罪を争う場合などには、非常に長い期間がかかるケースもあります。

(6) 判決を受ける

日本の刑事裁判は非常に有罪率が高く、99.9%以上が有罪になることが知られています。

そこで、児童ポルノ禁止法違反で起訴されてしまったら、その後有罪判決を受ける可能性が非常に高いと言えます。

言い渡される可能性のある刑罰は、以下のとおりです。

  • 罰金刑
  • 執行猶予付懲役刑
  • 保護観察付執行猶予の懲役刑
  • 実刑判決の懲役刑

実刑になると、すぐに刑務所に行って受刑しなければなりません。

また、刑事裁判になっても、必ず有罪になるというわけではありません。

本当に罪を犯していない事情がある場合には弁護人と相談して、無罪を目指して効果的な弁護活動を展開し、無罪を勝ち取れる事例もあります。

6.逮捕された場合の対処方法

もしも自分や家族が児童ポルノ禁止法違反で逮捕されてしまったら、その後どのように対応したら良いのでしょうか?

(1) 不起訴を目指す

逮捕されたら、まずは「不起訴」を目指しましょう。

不起訴になったら、刑事裁判にならないので、有罪判決を受けることもなく、前科がつくこともありません。

また、それまで身柄拘束されていたケースであっても、不起訴になったら身柄を解放されます。

不起訴になるためには、いくつか重要な要素がありますので、以下で説明します。

(2) 被害者と示談する

まず、不起訴獲得のためにもっとも言って良いほど重要なのが、被害者との示談交渉です。

刑事事件では、被害者と示談が成立していると、被疑者被告人にとって非常に良い情状と評価されます。

児童ポルノ禁止法違反の場合、起訴前に被害者と示談ができると、不起訴になる可能性がかなり高くなります。

ただ、児童ポルノ禁止法違反で示談を成功させることは、簡単なことではありません。

児童ポルノ禁止法違反の被害者本人は児童ですが、示談の相手はその保護者である親になるためです。

通常、自分の子どもの児童ポルノを撮影・所持していた犯人や援助交際の相手に対しては、親は激怒しているので、厳罰を科してほしいと希望します。

そこで、ご本人やご家族などが示談交渉をしようとしても、話し合いにすら応じてもらえないことが多いです。

弁護士であれば、より第三者的な立場から、被疑者の反省や状況を客観的に伝えて、冷静に示談の話を進めることができます。

また、示談金を決めるとき、ご本人が交渉をすると、相手から高額な金額を提示されたときに減額を申し出ることもできず困られることが多いのですが(減額を申し出ると、被害者側が激怒するため)、弁護士であれば、より現実的な金額で示談に持ち込める可能性が高くなります。

不起訴を勝ち取るために示談を成立させるには、必ず弁護士に刑事弁護を依頼すべきと言えます。

(3) 反省の態度を示す

不起訴処分を勝ち取るためには、被疑者がしっかり反省していることも重要です。

被害者に対して謝罪文を送ったり、自分の過去の行状を見つめ直す反省文を書いたりして、検察官に反省の気持ちを示しましょう。

(4) 贖罪寄付

被害者の保護者の怒りが強く、示談ができない場合などには、贖罪寄付をして反省の気持ちを示す方法もあります。

弁護人に相談していただけましたら、手続きしますので、示談の進み具合に応じて検討しましょう(「贖罪寄付・供託により本当に情状が考慮されるのか?」もご参照ください)。

(5) 周囲による監督

被疑者が再犯に及ばないためには、周囲の監督も重要です。

被疑者に配偶者や子どもがいて、周囲が監督することを期待できるなら、そういったことを検察官にアピールすべきです。

定職に就いており、勤務先が安定していることも良い情状となります。

家族や雇い主に嘆願書を書いてもらって検察官に提出するなどするのも効果がありますが、こうした手続きも、刑事弁護人が行います。

7.無罪を目指す場合

もしも、何かの間違いで児童ポルノを所持していたときに逮捕された場合や、相手のことを本当に18歳未満と知らなかった場合などには、無罪を目指すべきケースもあります。

その場合には、起訴前の段階から否認や黙秘を貫いて、不利な供述調書を取られないようにしなければなりません。

捜査時、取調官からの強い圧力のもと、否認、黙秘を貫くのは非常に難しいものです。刑事弁護人による随時の接見と、アドバイス、励ましがないと、とてもではありませんが20日間耐えられるものではありません。

無罪を目指すなら、逮捕直後の段階から優秀な刑事弁護人を選任して、適切な対応をとっておくことが肝要です。

8.まとめ

今回は、近年改正された児童ポルノ禁止法について解説しました。

児童ポルノ禁止法は、児童ポルノと児童買春を規制しています。近年処罰対象も拡大されているので、犯罪行為に該当しないよう、注意が必要です。

もしも過去に児童ポルノ禁止法違反をしてしまった場合には、自首すると、罪が軽くなる可能性が高いです。

万一逮捕されてしまったら、すぐに優秀な刑事弁護人を選任することが何より重要です。

ご主人や息子さんなど、身内の方が児童ポルノ禁止法違反で逮捕されたら、すぐに泉総合法律事務所までご相談下さい。

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