軽犯罪法違反は誰でも起こし得る!?全条文の具体的なケースを解説

法律

軽犯罪法違反は誰でも起こし得る!?全条文の具体的なケースを解説

軽犯罪法(以下、単に「法」ともいいます。)とはどのような内容で、何をしてしまったときに適用されるのでしょうか。

私たちも知らないうちに違反行為をしてしまっているかもしれません。以下においては、まず、軽犯罪法の目的等を確認し、次いで、軽犯罪法違反となる具体的ケースについて、さらに、弁護活動の重要性にも触れながら、解説することとします。

1.軽犯罪法について

(1) 目的

軽犯罪法は、国民の社会的倫理を文化的に向上させ、国民が自由で幸福な生活を営むことができるようにすることを目的としています。

そして、軽犯罪法は、国民の日常生活における卑近な道徳規範に違反する比較的軽微な犯罪とこれに対する刑罰を定めています。

(1) 罰則・刑罰

軽犯罪法に違反した者に科される刑罰は、拘留又は科料です。拘留とは、1日以上30日未満の期間、刑事施設に拘束することをいい、科料とは、1000円以上1万円未満の範囲で、金銭を徴収することをいいます。

軽犯罪法に規定された犯罪は、刑法犯の予備的行為ないし未遂犯的行為がその大きな部分を占めています。

すなわち、刑法が具体的危険性のある行為を処罰の対象としているのに対し、軽犯罪法は抽象的危険にとどまる行為を処罰の対象としています。軽犯罪法には、未遂犯処罰規定がありません。

さらに、軽犯罪法違反は、比較的軽微な犯罪なため、被疑者が、住居不定や正当な理由なく出頭の求めに応じない場合でないと、逮捕令状による通常逮捕はされません(緊急逮捕は法律上できません)。

また、犯人の住居や氏名が明らかでない場合、犯人が逃げるおそれがある場合でないと、現行犯逮捕もできません。その上、勾留が認められるのは、被疑者が住居不定の場合だけです。

2.軽犯罪法違反となる具体的ケース

(1) 人が住んでいない建物に正当な理由なく潜む行為

法1条1号の潜伏の罪が成立します。

潜伏の罪では、要するに、「人が住んでおらず、かつ看守のない邸宅、建物、船舶に、正当な理由がなくて潜んでいた者」が、処罰の対象になります。「正当な理由がなくて」とは「違法に」という意味であり、「潜む」とは「人目につかないように身を隠す」ことをいいます。

(2) 催涙スプレー1本を正当な理由なく隠匿携帯する行為

法1条2号の凶器携帯の罪が成立します。

凶器携帯の罪では、「正当な理由がなくて、刃物、鉄棒その他他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者」が、処罰の対象になります。

本号にいう「正当な理由」があるというのは、本号所定の器具を隠匿携帯することが、職務上又は日常生活上の必要性から、社会通念上、相当と認められる場合をいいます(最判平21.3.26)。

例えば、職務上又は業務上の必要のため携帯する場合はもとより、登山等のため、必要な登山ナイフを携帯する場合などは、正当な理由がある場合です。そして、上記最判は、「会社の経理担当者で、有価証券や多額の現金を電車や徒歩で運ぶ場合があった被告人が、職務上の必要から催涙スプレーを入手し、健康上の理由から行う深夜路上でのサイクリングに際し、専ら防御用としてズボン内に入れてこれを隠匿携帯したのは、法1条2号にいう『正当な理由』によるものであったといえる。」としています。

「携帯」とは、所持の一態様ですが、それよりも狭く、日常生活を営む自宅ないし居室以外の場所において身近に置いていることをいいます。

(3) ペンライトを正当な理由なく隠匿携帯する行為

法1条3号の侵入具携帯の罪が成立します。

侵入具携帯の罪では、「正当な理由がなくて、合い鍵、のみ、ガラス切りその他他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯した者」が、処罰の対象になります。

本号の例示以外の器具には、ドライバー、ペンチ、やすり、縄ばしご、懐中電灯、ハンマー、スパナ、ペンライトなどがあります。

(4) 盗みを働きながら全国各地をうろつく行為

法1条4号の浮浪の罪が成立します。

浮浪の罪では、要するに、「生計の途がなく、働く能力がありながら就職の意思がなく、かつ住居がない者で諸方をうろついていた者」が、処罰の対象になります。

「うろつく」とは、浮浪及び徘徊を含む概念を意味しています。

(5) 映画館での行為

①禁煙とされた映画館で喫煙する行為
②映画館で他の観客にからむ行為

①は法1条5号の粗野の罪が、②は同号の乱暴の罪が成立します。

粗野・乱暴の罪では、要するに、「公共の娯楽場や公共の乗物で、著しく粗野又は乱暴な言動で人に迷惑をかけた者」が、処罰の対象になります。

「著しく粗野な言動」とは、場所柄をわきまえない、それ相当の礼儀を守らないぶしつけな言語又は動作のうち、一般人から見て放置できないような程度の高いものを指します。

公共の乗物内での痴漢行為や盗撮行為も、「著しく粗野な言動」に当たると解されています。「乱暴な言動」とは、不当に荒々しい言語動作であって、刑法の暴行、脅迫等に至らないものをいいます。

(6) 公園の管理人が正当な理由なく街灯を消す行為

法1条6号の消灯の罪が成立します。

消灯の罪では、要するに、「正当な理由なく、他人の標灯や街路灯などを消した者」が、処罰の対象になります。

(7) いかだを水路に正当な理由なく放置する行為

法1条7号の水路交通妨害の罪が成立します。

水路交通妨害の罪では、要するに、「みだりに船又はいかだを放置するなど、水路の交通を妨げるような行為をした者」が、処罰の対象になります。

「みだりに」とは、違法性を表す表現であり、社会通念上正当な理由の存在が認められない場合をいいます。

(8) 警察官の立入り禁止の指示に反して正当な理由なく立ち入る行為

法1条8号の変事非協力の罪が成立します。

変事非協力の罪では、要するに、「災害、事故、犯罪などの現場で、正当な理由なく公務員の指示などに応じなかった者」が、処罰の対象になります。

(9) 火気乱用の行為

①住宅の塀近くでたき火をした行為
②ガソリン入りの容器近くでたばこを吸う行為

①②は法1条9号の火気乱用の罪が成立します。火気乱用の罪では、要するに、「相当の注意をしないで、建物、森林など燃える物の付近で火をたき、引火しやすい物の付近で火気を用いた者」が、処罰の対象になります。

「相当の注意をしないで」とは、通常人に一般的に期待される程度の注意を払わないことを意味します。「火をたく」とは、火気をある程度独立して、多少継続的に燃える状態に置くことをいいます。

「引火しやすい物」には、火薬類、アルコール類、油類、ガス、セルロイド等が考えられます。「火気を用いる」とは、火を発生させる一切の行為をいいます。

(10) 圧縮ガスを入れた容器にいたずらする行為

法1条10号の爆発物使用等の罪が成立します。

爆発物使用等の罪では、「相当の注意をしないで、鉄砲又は火薬類、ボイラーその他の爆発する物を使用し、又はもてあそんだ者」が、処罰の対象になります。

「使用する」とは、その物の本来の用法に従ってこれを取り扱うことをいいます。「もてあそぶ」とは、なぐさみ、冒険心、好奇心、いたずらなどで、何ら本来の必要がないのに、これを取り扱う行為を意味します。

(11) 海水浴場の水面に空き瓶を投げる行為

法1条11号の危険物投注等の罪が成立します。

危険物投注等の罪では、「相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼすおそれのある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者」が、処罰の対象になります。

「場所に」とは、場所に向かっての意味です。「投げる」は固形物に、「注ぐ」は液体及び気体に、それぞれ呼応する行為ですが、「発射する」とは、何らかの器具、装置を利用して物を飛ばす(例えば、パチンコで小石を飛ばす)ことをいいます。

(12) 獰猛な野犬の鎖を正当な理由なく解く行為

法1条12号の危険動物解放の罪が成立します。

危険動物解放の罪では、「人畜に害を加える性癖のあることの明らかな犬その他の鳥獣類を正当な理由がなくて解放し、又はその監守を怠ってこれを逃がした者」が、処罰の対象になります。「解放する」とは、故意に動物に自由を与えることをいいます。

「監守」とは、動物を勝手に行動させないようにしておくことをいいます。

(13) バス待ちの行列に割り込む行為

法1条13号の行列割込み等の罪が成立します。

行列割込み等の罪では、要するに、「公共の場所で著しく粗野若しくは乱暴な言動で多数の人に迷惑をかけ、又は威勢を示して公共の乗物、演劇などの切符を買うための行列などに割り込み、若しくは列を乱した者」が、処罰の対象になります。

(14) 警察官の制止をきかずに病院付近でスピーカーの音量を上げる行為

法1条14号の静穏妨害の罪が成立します。

静穏妨害の罪では、要するに、「公務員の制止をきかずに、異常に大きな音を出して静穏を害し、近隣に迷惑をかけた者」が、処罰の対象になります。

(15) 称号を詐称する行為

①警察官でもないのに、「警察の者だ」と言う行為
②資格がないのに、警察官の制服を着用する行為

①は法1条15号の称号詐称の罪、②は同号の標章等窃用の罪が成立します。

称号詐称、標章等窃用の罪とは、要するに、「官公職等の称号を詐称し、又は資格がないのに、制服・勲章・記章等の標章若しくはこれらに似せて作った物を用いた者」が、処罰の対象になります。

「詐称する」とは、当該称号を有しない者が、真実これを有するように装うことをいいます。

(16) 110番に電話して、真実に反し「今ここで人殺しがあった」と申告する行為

法1条16号の虚構申告の罪が成立します。

虚構申告の罪では、「虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者」が、処罰の対象になります。「虚構の」とは、存在しない事実を存在するように装うことをいいます。「申し出る」とは、自発的に申告することをいいます。

(17) 質入れに際し他人の氏名等を名乗り、質屋備付けの帳簿にうその記載をさせた行為

法1条17号の氏名等不実申告の罪が成立します。

氏名等不実申告の罪では、要するに、「質入れ又は古物の売買・交換に関する帳簿に、氏名、住居、職業などにつき虚偽の内容を記載させた者」が、処罰の対象になります。

(18) 自分の敷地内で動けない老人や胎児の死体を発見しながら放置する行為

法1条18号の要扶助者(前段)・死体等(後段)不申告の罪が成立します。

要扶助者・死体等不申告の罪では、要するに、「自己の占有する場所で、老幼・不具・傷病のため扶助を必要とする者又は人の死体・死胎のあることを知りながら、速やかに公務員に申し出なかった者」が、処罰の対象になります。

「扶助を必要とする者」とは、自ら日常の生活をするのに必要な動作をする能力のない者のことをいいます。「死胎」とは、胎児の死体のことです。

(19) 衣服に血が付着した死体の位置を正当な理由なく変えた行為

法1条19号の変死現場等変更の罪が成立します。

変死現場等変更の罪では、「正当な理由がなくて、変死体又は死胎の現場を変えた者」が、処罰の対象になります。「変死体」とは、犯罪に起因しない死であることが明らかでない死体のことをいいます。

(20) 女性が乳房をあらわにして、公衆の面前を歩く行為

法1条20号の身体露出の罪が成立します。

身体露出の罪では、「公衆の目に触れるような場所で、公衆にけん悪の情を催させるような仕方で、しり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」が、処罰の対象になります。

「公衆にけん悪の情を催させるような」とは、一般の通常人の風俗感情上不快の念を与えるものであることをいいます。「露出する」とは、肌そのものを人の目に触れ得る状態におくことをいいます。

(21) 路傍で通行人に物乞いする行為

法1条22号のこじきの罪が成立します。

こじきの罪では、「こじきをし、又はこじきをさせた者」が、処罰の対象になります。「こじきをする」とは、不特定の人に哀れみを乞い、自己又は自己の扶助する者のために生活に必要な金品を受けようとすることをいいます。

(22) 入浴中の女性を物陰から正当な理由なくのぞき見る行為

法1条23号の窃視の罪が成立します。

窃視の罪では、「正当な理由がなくて、人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服を着けないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」が、処罰の対象になります。

「ひそかに」とは、見られないことの利益を有する者に知られないようにすることをいいます。「のぞき見る」とは、物陰や隙間などからこっそり見ることをいいます。

(23) 卒業式をいたずらなどで妨害した行為

法1条24号の儀式妨害の罪が成立します。

儀式妨害の罪では、「公私の儀式に対して悪戯などでこれを妨害した者」が、処罰の対象になります。

「儀式」とは、ある程度の数の人が集まり、それらの人が一定の目的のために形式的な行事を行うことをいいます。「悪戯」とは、一時的なたわむれで、それほど悪意のないもののことをいいます。

(24) 川に大きな物を投げ込む行為

法1条25号の水路流通妨害の罪が成立します。

水路流通妨害の罪では、「川、溝その他の水路の流通を妨げるような行為をした者」が、処罰の対象になります。「流通を妨げるような行為」とは、社会通念からみて、通常、流通を妨げることになるおそれがあると認められる性質の行為をいいます。

(25) 公園で立小便をした行為

法1条26号の排せつ等の罪が成立します。

排せつ等の罪では、「街路又は公園その他公衆の集合場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者」が、処罰の対象になります。

(26) 公園に粗大ごみを捨てた行為

法1条27号の汚廃物放棄の罪が成立します。

汚廃物放棄の罪では、「公共の利益に反して、みだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者」が、処罰の対象になります。「公共の利益に反して」とは、不特定かつ多数の人にとって迷惑になるような状態であることを意味します。

(27) 通行中の未成年の女性に対し、数分間にわたりつきまとった行為

法1条28号の追随等の罪が成立します。

追随等の罪では、「他人の進路に立ち塞がって、若しくはその身辺に群がって立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとった者」が、処罰の対象になります。「つきまとう」とは、しつこく人の行動に追随することをいいます。

(28) 暴行を共謀して、木陰で待ち伏せする行為

法1条29号の暴行等共謀の罪が成立します。

暴行等共謀の罪では、「他人の身体に対して害を加えることを共謀した者の誰かが、その共謀に係る行為の予備行為をした場合におけるそれらの共謀者」が、処罰の対象になります。

(29)動物に関する行為

①人に犬をけしかける行為
②棒でたたいて馬を走り回らせる行為

①は法1条30号の動物使そうの罪が、②は同号の驚奔の罪が成立します。

動物使そう・驚奔の罪では、「人畜に対して犬その他の動物をけしかけ、又は馬若しくは牛を驚かせて逃げ走らせた者」が、処罰の対象になります。「けしかける」とは、あおり立てて相手を攻撃するように仕向けることをいいます。

(30) 舞台に出ようとする役者の背中に貼紙をして演技を妨害した行為

法1条31号の業務妨害の罪が成立します。

業務妨害の罪では、「他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者」が、処罰の対象になります。

(31) 契約者以外の無断立入りを禁止している駐車場に正当な理由なく立ち入った行為

法1条32号の田畑等侵入の罪が成立します。

田畑等侵入の罪では、「入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入った者」が、処罰の対象になります。「入ることを禁じた場所」とは、占有者、管理者が他人の立入りを禁止する意思を表明した場所のことをいいます。

(32) 張り紙・掲示物に関する行為

①電柱にビラを正当な理由なく貼る行為
②広告用ポスターを正当な理由なく除去した行為

①は法1条33号のはり札の罪が、②は同号の標示物除去等の罪が成立します。

はり札、標示物除去等の罪では、要するに、「みだりに、他人の家屋などにはり札をし、他人の看板などの標示物を取り除き、又はこれらの物を汚した者」が、処罰の対象になります。

「はり札をする」とは、のりで貼る、セロテープ類でとめる、釘で打ちつける、紐で結びつける等、対象物を付着させる一切の行為をいいます。「標示物」とは、他人に対して何らかの意味を表明した物体をいい、その表明する意味の種類は問いません。

(33) 不動産の販売に関し、新聞に虚偽の広告をした行為

法1条34号の虚偽広告の罪が成立します。

虚偽広告の罪では、「公衆に対して物を販売し、若しくは頒布し、又は役務を提供するに当たり、人を欺き、又は誤解させるような事実を挙げて広告をした者」が、処罰の対象になります。

「頒布」とは、不特定又は多数の人に対して行う意思で、物を無償で交付することをいいます。「役務の提供」とは、他人の依頼又は承諾を得て一定の仕事をすることをいいます。

3.弁護活動

軽犯罪法違反のケースは、刑法犯や他の法令に該当すると評価されかねない内容を含んでいます。そして、被害者のいる事件では、被害者との示談や場合によっては贖罪寄付が大きな意味を持ってきます。

軽犯罪法などの特別法の理解も深く刑事弁護に精通している弁護士であれば、被疑者が軽犯罪法違反よりも重い法令違反で逮捕された場合であっても、事件の内容や性質等を分析検討し、軽犯罪法違反にしかならない旨主張して、被疑者の処分ができるだけ軽くなる方向に導いてくれるだけでなく、被疑者の社会生活に影響がないように最大限の尽力をしてくれるはすです。

4.軽犯罪法違反も泉総合法律事務所へ

軽犯罪法違反は誰でも起こし得る犯罪です。仮に拘留や科料で終わったとしても、前科がつくことになりますので、弁護士に早期に相談してください。弁護活動により不起訴となり、前科がつかないで済む可能性があります。

泉総合法律事務所は、刑事弁護経験・示談交渉経験が豊富で、あらゆる刑事事件につきまして親身になり弁護活動いたします。初回相談は無料となっておりますので、こんな些細なことで相談なんて…と思わず、お気軽にご予約・ご相談ください。

刑事事件コラム一覧に戻る