業務上横領で刑事告訴〜示談の重要性と告訴・被害届の取り下げ

横領・背任

業務上横領で刑事告訴〜示談の重要性と告訴・被害届の取り下げ

例えば、会社にお勤めの方が会社のお金を使って借金の返済をしてしまった、会社の在庫商品を転売してそのお金を好きに使ってしまった、という場合、どのような罪になるのでしょうか。また、刑事処罰を避けるためにどのような対応をすべきなのでしょうか。

ここでは、会社の財産を自分のものにしてしまう犯罪について、詳しく説明していきます。

1.横領とは

会社のお金を自分のものにして使ってしまった、会社の品物を勝手に転売してお金に換えて使ってしまったという事件は、当事務所でもよく取り扱う刑事事件のひとつです。

このような行為が犯罪にあたることは当然ですが、全てが「横領」に該当するものではありません。

横領とは、会社からその物の管理を委託されているような方がその指示に反して、その物を自分の物として使ってしまったというような場合に成立します。そのような委託を受けていない方が勝手に会社のお金や品物を取ってしまったというのは、窃盗罪にあたります。

(1) 業務上横領

従業員の方が横領をした場合、通常、「業務上横領」にあたることが多いところ、その法定刑は、10年以下の懲役です(刑法第253条)。一方、窃盗の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です(刑法第235条)。

業務上横領は、会社から委託された立場を利用した、信頼関係を害するものでものあるため、悪質と判断され、通常、窃盗よりも重く処罰されます。また、業務上横領は、罰金刑がないため、検察官が処罰を求めた場合、略式手続という書面だけの刑事手続きでは終わらずに、裁判所の法廷で刑事裁判を受け、最悪の場合実刑となることになります。

ただし、横領にあたるか窃盗にあたるか、その違いは一概には判断できないこともあります。

2.示談の重要性

会社の物を使ってしまった行為が横領、窃盗いずれにあたる場合でも、会社に損害を与えていることは確かですので、被害弁償をすることが、刑事処罰を避けるため・刑事処罰を軽くするために最も重要なことです。

会社としては、罪を犯した従業員の方が刑事処罰を受けたとしても、経済的な損害が回復するわけではありません。会社が強制的に経済的な損害を回復しようとすれば、従業員の方を相手にして民事訴訟を提起せざるを得ませんが、時間や手間がかかり、仮に裁判で勝ったとしても従業員の方に財産がなければお金を回収することができません。

そのため、会社が経済的損害の回復を希望する場合は、会社にも示談に応じる大きなメリットがあります。

(1) 示談金

横領や窃盗を犯す場合、お金に余裕があることは少なく、その会社にも解雇や退職を余儀なくされて収入が途切れ、複数回に渡って同様の着服行為をしていて損害額が膨れ上がっていることも多いため、示談金額やその支払い方を検討することが必要です。

ただし、会社は、全額返済は難しいとしても、できるだけ短期間で多くの被害金額を弁償してほしいと考えますので、会社に納得をしていただけるような示談交渉が必要になってきます。

ここで、余りにも従業員の方に有利な条件を求めた場合、示談は成立しないでしょうし、逆に会社の求めるままに応じて示談をしても、その内容通りに弁償ができず、かえって被害感情を逆撫でしてしまうことになります。

そこで、刑事事件に強い弁護士が、その方の収入状況、家計での支出内容、第三者の援助の可否等を検討することで、その方の支払い可能な条件を会社に説得的に説明します。

(2) 告訴・被害届の取り下げ

既に告訴や被害届が提出されている場合はその取下げを、未だ提出されていない場合は、今後これらを提出しないことを示談書に盛り込むことができないかということも、示談交渉の際に示談条件として提示します。

告訴や被害届の提出があると、警察が捜査を開始することができるので、なるべく早期に示談に向けた活動を開始することが重要です。

3.横領、窃盗事件は泉総合へ

これまで述べてきたように、会社の物を着服してしまった場合、会社と示談をすることが重要です。

さきほど、罪を犯した従業員の方が刑事処罰を受けたとしても、会社の経済的な損害が回復するわけではないと述べましたが、これは従業員の立場からみると、刑事処罰を受けたとしても、民事上の問題は解決していないということです。

示談をすることで、民事上の問題も解決できますので、その重要性は刑事処分を軽くするという点に尽きるわけではありません(ただし、途中で示談金が支払えなくなってしまった場合、民事上の問題が再燃します。)

したがいまして、会社の物を着服してしまった場合、早期に弁護士に相談することをおすすめします。

泉総合法律事務所は、横領、窃盗の刑事事件を多数取り組んでおり、示談を迅速に成立させて不起訴や執行猶予を勝ち取っておりますので、横領、窃盗をしてしまった方は是非とも当弁護士法人にご相談の上、刑事弁護をご依頼ください。

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