万引き(窃盗)の再犯原因は精神障害?クレプトマニアとは?

窃盗・万引き

万引き(窃盗)の再犯原因は精神障害?クレプトマニアとは?

万引き(窃盗)を繰り返してしまう人には、クレプトマニア(窃盗癖)という精神障害が原因の場合もあります。この場合、何度も万引きを繰り返してしまうことが多く、結果的にどんどん重い量刑が科せられることになります。

今回は、万引きの形態と、それぞれの弁護方法の解説、及びクレプトマニアの方の弁護方針について解説します。

1.万引きの形態。経済的理由と衝動的な窃盗

万引きをしてしまう人は、大きく2つのタイプに分かれます。経済的理由から、つまり、家計が苦しいためお金を払わずにしようと万引きをしてしまうタイプと、経済的な理由はかかえておらず、ストレス解消やスリルなどを求めて衝動的に万引きしてしまうタイプです。

前者の「経済的理由から万引きをしてしまうタイプ」ですと、発覚して検挙されて警察へと連行され、警察で取り調べを受けることでことの重大性を受け止めて、再犯となることは通常少ないです。時間が経過すると再度万引きをしてしまう方はいますが、警察にまた検挙されても、懲りずにたびたび万引きを行うことはないと受け止めています。

後者の「衝動的に万引きをしてしまうタイプ」ですと、再犯率は非常に高くなります(衝動的にということは自分自身をコントロールできないということです)。警察に検挙され、最初は任意での取り調べを受けて、商品を買い取る形で、スーパーなどで警察官立ち合いのもと代金の支払いを済ますと、警察が微罪処分(身元確認後に即座に釈放する処分)で事件を終結させることもあります。

警察が微罪処分ではなく検察庁に書類送検しますと、犯行の手口や被害金額などを総合的に判断して不起訴になることもありますし、罰金となることもあります。罰金となった場合、前科がついてしまいます。

これまでの弁護経験上は、商品買い取りをすれば多額でなく犯行の手口も悪質でない限り不起訴となることが多いです。もっとも、検察官の不起訴、罰金の基準が公開されているわけではないので、可能な限り最善を尽くして不起訴を目指そうとするならば、弁護士に刑事弁護を依頼することをお勧めします。

2.クレプトマニアが原因で万引きが止められない心理

衝動的に万引きをしてしまう方は、初犯は商品買い取りで不起訴になっても、時間が経過すると自分自身をコントロールできなくなり、万引きを繰り返してしまいます。このような万引きは、クレプトマニアが原因と言われています。

クレプトマニアとは、経済的事情からではなく、万引きなどの窃盗行為の衝動を抑止できず、反復的に窃盗行為をしてしまう症状です。万引きなどの窃盗行為をする時の緊張感を快感として、窃盗行為が成就した時に達成感、満足感を得ることができるために、依存的に窃盗行為を繰り返すいわば精神障害の一種とされており、窃盗の対象は何でもいいと言われています。

このようなクレプトマニアが原因の万引きは、治療を受けなければそのまま万引きを繰り返すことになります。

初犯や2回目の犯行までは、金額が少額で商品買い取りを行うならば不起訴の確率が高いでしょう。しかし、3回目からは、少額の万引きでも罰金刑となり、前科がつきます。

4回目以降は、わずかな金額でも検察官は逮捕・起訴して正式裁判となることが多いです。

3.窃盗(万引き)で起訴、裁判となった場合の判決は?

裁判所は、万引きした商品が少額であっても、これまで多数回万引きを重ね、罰金刑も数回受けていることを重視して、罰金刑では被告人の更生には不十分と判断し執行猶予付きの6カ月ないし1年程度の懲役刑の有罪判決を宣告します。

この有罪判決で被告人本人が自らを自制しコントロールすることができれば良いのですが、クレプトマニアの方ですと、自制することができず、また万引きを繰り返してしまいます。

4.執行猶予中に万引きしてしまった場合はどうなる?

執行猶予期間中に万引きをしてしまえば、スーパーなどの被害店舗と示談して不起訴にならない限り(万引き商品がたとえ100円のものでも)検察官は起訴して、裁判所は1年から2年程度の懲役の実刑判決を宣告します。執行猶予中に万引きを犯したことは、反省がないのだと裁判所は厳しく判断します。

そうなると、前回の執行猶予付き有罪判決での懲役刑についても執行猶予が取り消され、合計2年ないし3年前後刑務所に服役することになります。

これまで泉総合法律事務所は万引きの刑事弁護に多数取り組んでおりますが、このようなパターンは非常に多いです。当所に相談や依頼に来られる方はほとんどが女性ですが、中年から特に年配の方が多いように思います。

5.クレプトマニアの病院での治療

クレプトマニアの病院

以上のように、クレプトマニアの方が窃盗行為を止めるのは大変難しいことです。
当所も、執行猶予付き有罪判決中に万引きをして起訴されたと弁護依頼を受けることがありますが、この場合、クレプトマニア専門病院に入院するなど社会内で更生できることを裁判所に納得してもらい、執行猶予中の再度の執行猶予判決を目指すことになります。

クレプトマニア専門病院は関東で1か所ありますが、その病院に入院する場合は通常3カ月間(伸びることもあれば短くなることもあります)入院します。しかし、行動療法中心の治療法で症状からの回復を目指し、治癒するわけではないので、クレプトマニア専門病院に入院するなどしたから必ず再度の執行猶予を取り付けることができるとは限りません。

裁判例では、クレプトマニアが原因の万引きについて再度の執行猶予を認めた裁判もあれば、認めなかった裁判もあります。裁判所も、クレプトマニア専門病院に入院したかどうかだけで判断しているわけではなく、退院後の家族による再犯防止体制などの諸事情を考慮して判断しています。

クレプトマニア専門病院に入院すると、保険適用にはなりますが、それでも入院費用は家庭によっては結構な額になりますし、主婦の場合には3カ月間の入院による家族の負担影響もあるでしょう。クレプトマニア専門病院に入院したからといって再度の執行猶予がつく保証はないので、最終的には被告人や家族に弁護方針・クレプトマニア専門病院に入院するかどうかについて判断してもらうことにしています。

クレプトマニア専門病院に入院しないとなった場合には、結論は実刑判決となるでしょう。

6.クレプトマニアの万引きへの対応・弁護方法

クレプトマニアの万引きはどんどんエスカレートして、最終的には起訴、執行猶予判決、次は実刑判決となっていきます。そうなる前にクレプトマニアを疑い、家族全員で万引き行為を行わないように行動を監視する必要があります。

それだけでなく、精神障害の一態様ですので、心療内科などで定期的に治療を受けて、本人に自らの行動を制御、コントロールするように仕向ける、気づかせる必要があります。クレプトマニア専門クリニックも首都圏で増えてきています。

心療内科での治療だけでなく、可能ならば、家族の負担や費用がかかりますが、クレプトマニア専門病院に入院して自らの行動をコントロールする習慣などを身に着けることが望ましいです。

7.窃盗(万引き)に関する関連法令

刑法235条

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

8.窃盗(万引き)の刑事弁護は泉総合法律事務所へ

万引きなどの窃盗行為をしてしまった場合、しっかりと反省をする他に、特にクレプトマニアの方は犯行を繰り返してしまわないように対処しなければなりません。

泉総合法律事務所は、様々な刑事弁護の経験が豊富な弁護士が多く在籍しており、窃盗事件、万引き事件の弁護も多数経験がございます。

万引きをしてしまった、何回も窃盗、万引きを繰り返してしまうという方は、実刑判決となってしまう前に、できれば万引きで最初に検挙された時点に、お早めに当所泉総合法律事務所にご相談ご依頼ください。

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