窃盗、万引きの罪の重さ(量刑)は被害金額で決まる

窃盗・万引き

窃盗、万引きの罪の重さ(量刑)は被害金額で決まる

最も身近な犯罪の一つ、それが「窃盗」です。今回は、窃盗罪の種類と、特に万引きについての量刑(量刑決定基準)について解説したいと思います。

1.窃盗罪の種類

刑法235条 窃盗罪

「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」

ひとくちに「窃盗」と言っても、いろいろな態様があります。空き巣やスリ、下着泥棒など。万引きも言葉は軽く聞こえるかもしれませんが、立派な窃盗罪です。

しかし、これ以外にも、窃盗罪として処罰されるものはいくつかあります。

たとえば、他人のキャッシュカードを使って、銀行のATMから現金を引き出す行為です。振り込め詐欺などではこの現金を引き出す役割のことを「出し子」などと言ったりします。

この役割の人は、場合によっては詐欺ではなく、窃盗で起訴され処罰されます。

2.量刑

このように、いろいろな類型のある窃盗罪ですが、窃盗で罪に問われた場合、どのような処罰を受けるのでしょうか。

以下では主に万引きを例にお話ししていきます。

2-1.量刑の基準

2-1-1.被害金額

窃盗罪の処分、刑の重さが決められる際に、最も重視される要素の一つは被害金額です。基本的には、盗んでしまった物の価格がいくらか、ということが問題になります。

同じ商品一つの万引きでも、その商品が10万円なのか、100円なのかによって、処分の内容や刑の重さが変わってくるわけです。ですので、今からお話しする刑の重さはすべての窃盗、すべての万引きに当てはまるものではありません。

商品の価格やそれ以外の事情によってそれぞれ異なってきますので、正確なところは万引きの刑事弁護経験豊富な弁護士に相談して下さい。

2-2.処分内容

2-2-1.微罪処分

万引きの場合、そのほとんどが数百円から数千円の事件だと思います。このような万引きで、たとえば店員さんなどによって現行犯で発覚し、万引きをしたことを認め、商品を買い取るなど弁償を行った場合、まず考えられるのは「微罪処分」という扱いです。

これは刑事訴訟法246条但し書きに定められたもので、事件が正式な形で検察庁に送られることなく、刑事手続が終了する取扱です。

微罪処分をするにはいくつかの要件があり、窃盗の場合には、被害金額が2万円以下であることや、犯行の態様が悪質とは言えないこと等が考慮の対象になります。微罪処分は初回だけで、二回目以降は微罪処分はないと考えた方が良いでしょう。

2-2-2.万引きにおける示談

また、被害金額や犯行の態様から、微罪処分にはされなかった場合、つまり正式に検察官に事件が送致された場合でも、被害者に対する示談などが成立すれば、不起訴処分となり、前科はつかないことになります。

被害金額がわずかな場合ですと、被疑者が商品を買い取りするなどしている場合には、余罪もなく初犯で犯行態様が悪質でなければ、示談をしなくとも不起訴となることもあります。

示談交渉がうまくいくかどうかは被害店舗の性質によって異なってきます。上場会社のスーパーやコンビニですと、会社の方針で示談には応じないところが少なくありません。

しかし、商品の買い取りがなされていない場合には、商品の買い取りに応じてもらえることはあります。それによって金額が少なければ不起訴になることもあり得ます。

買い取りしたからと言って不起訴になる保証があるわけではないのですから、万引きをして警察沙汰になってしまった場合には、すぐに弁護士を依頼して、示談交渉を始めましょう。

・不起訴の事例

最近の事案ですが、コンビニ(フランチャイズ店)で万引きして同時にケガを店員に追わせてしまったケースでは、逮捕され引き続き勾留された事案でしたが、万引きと傷害双方について示談に応じてもらい、不起訴となりました。

フランチャイズ店では一般的には本部の方針、判断に従うことが多いので、上記事案の示談は例外的ともいえますが、別の大手コンビニ店での万引き事案でも示談に応じてもらったことがあります。コンビニやスーパーでもあきらめずに、弁護士に依頼して示談交渉をしてみる価値はあります。

2-2-3.罰金

事件が検察庁に送致され、示談がうまくいかず、商品の買い取りもできなかったり、金額が多額にのぼったりした場合には、罰金の刑罰を科されることになります。
罰金額も商品の価格などによって違いがありますが、おおむね10万〜20万ほどが多いでしょう。

2-2-4.正式裁判

このように、万引きの場合、前科がない人であれば、どんなに悪くても罰金でとどまることがほとんどです。しかし、盗んだ物がブランド品等数十万円する高額な商品であった場合などには、万引きであっても罰金では済まず、正式な裁判を受けなければならなくなります。

また、少額商品の万引きであっても、それを何度も繰り返して罰金刑を数回受けている人、つまり、前科が複数ある人の場合には、いずれかならず正式な裁判になります。

万引きの額が少額でも、私どもの経験では、罰金刑を2回ないし3回受けた場合に万引きをまた行ってしまった場合には、正式裁判を受けることになります。

2-2-5.執行猶予中の行動

初めて正式な裁判を受けた際の判決には、示談や商品買取ができない場合でも、執行猶予がつくでしょう。しかし、それも一度だけです。
執行猶予中に再度再び万引きを行ってしまえば、万引き額が100円であっても、略式罰金刑ではすまず正式裁判となります。

執行猶予中に起訴され正式裁判になると、特別の事情や条件を満たさない限り実刑判決となり、刑務所に入らなければならなくなります。

万引きは、誰もが容易に犯すことが出来てしまう犯罪です。しかし、万引きも窃盗というれっきとした犯罪であり、刑務所に入らなければならなくなる可能性もある、重大な犯罪なのです。

刑務所に服役することになると、服役を終えて刑務所から出所した場合、出所から5年以内に万引きなどの犯罪を再度犯して起訴され正式裁判になれば、示談をしても実刑判決になるなど、裁判所は厳しい対応を取ることが法律上定められています。

・クレプトマニア

このように、一度逮捕された後も常習者として、もしくは執行猶予中に依存的に万引きを繰り返してしまう方はクレプトマニアという精神疾患の一種の可能性が高いといえますので、起訴される前に万引きで警察に逮捕ないし検挙された時点でクレプトマニアの治療を行っているクリニックや病院で診断を受けてクレプトマニアと診断されたら専門の治療を受けて執行猶予中の再度の猶予判決を目指すことが必要となります。

クレプトマニアの治療に力を入れて執行猶予中の再度の猶予判決獲得に尽力してくれるクリニックや入院治療を行っている病院もあります。

最近は裁判所もクレプトマニアの実態に強い関心を持つようになっており、刑罰よりも治療が再犯防止につながると考え始めていると言っていいかと思います。

【参考】
万引き常習犯の原因―クレプトマニアの特徴、診断基準
万引き(窃盗)の再犯原因は精神障害?クレプトマニアとは?

3.窃盗・万引きの刑事弁護は泉総合へ

当所泉総合法律事務所ではクレプトマニアの治療と並行して執行猶予中の再度の猶予判決を目指す弁護活動を行っておりますので、是非ともクレプトマニア、万引き常習でお困りの家族の方は当所泉総合法律事務所にご相談ください。

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