逮捕の種類を解説!通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕は何が違うのか?

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逮捕の種類を解説!通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕は何が違うのか?

「現行犯(緊急)逮捕しました」という言葉をニュースで聞いたことがあると思います。具体的にどのような場合、そのような逮捕手段がなされるのでしょうか。

通常逮捕と現行犯逮捕、及び緊急逮捕は、それぞれ大きく異なります。ここでは、それぞれの逮捕の違いを説明します。

1.通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕の違いとは

1-1.通常逮捕

通常逮捕とは、逮捕令状による逮捕のことです。警察官は、被疑者に逮捕令状を示して、何の容疑で逮捕するのかを告げなければなりません。

裁判所は「被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」(特定の犯罪行為を行ったという客観的かつ合理的な嫌疑があるということ)があり、逮捕することが必要だと認めた場合に逮捕令状を発行します。
逮捕状の有効期間は、原則として7日です。有効期間を超えた逮捕状では逮捕することができません。

日本国憲法第33条は「何人も現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ逮捕されない」として、すべての人(国民だけではなく、外国人も含みます)の身体の自由を守るために、原則として、裁判所が発行した逮捕令状がなければ逮捕されないという令状主義を定めていますから、この逮捕令状による通常逮捕が逮捕の原則となります。

1-2.現行犯逮捕

現行犯逮捕とは、犯罪を現認した場合に現行犯人を逮捕することです。 また、一定の要件を満たす者を「現行犯人とみなして」逮捕することを準現行犯逮捕といいます。

憲法第33条が、「現行犯として逮捕される場合を除いては」と規定して、現行犯逮捕は、令状による必要はないことを例外として認めていることから許されるものです。

1-3.緊急逮捕

緊急逮捕は、一定の重大犯罪について、罪を犯したことを疑う充分な理由がある場合で、急速を要するときに、逮捕状がない状態で逮捕することをいいます。

緊急逮捕は、憲法第33条の令状主義の例外として明確に定められているものではないのですが、最高裁判所は、憲法違反ではない、すなわち合憲であるという判断をしています。
これは、緊急逮捕の要件が厳格であり、かつ緊急逮捕後すぐに裁判所のチェックを受けるという仕組みになっているため、憲法33条が守ろうとしている人間の身体の自由を不当に侵すものではないと判断したためです。

現行犯人もしくは準現行犯人に対しては逮捕状がなくても現行犯逮捕できますから、現行犯逮捕、準現行犯逮捕の要件には当たらないけれど、重大な犯罪の犯人の身柄拘束の緊急の必要性がある場合に限って緊急逮捕が認められたものです。

2.現行犯逮捕・緊急逮捕の要件

2-1.現行犯逮捕の要件

現行犯逮捕の要件は、刑事訴訟法第212条に定められています。

現行犯逮捕には、現行犯人の逮捕(現行犯逮捕)の他に、「現行犯人」とみなされる者の逮捕(準現行犯逮捕)の2種類があります。

現行犯逮捕の要件
①現に犯行を行っているか、犯行を行い終わったこと(犯行を現認したこと)

準現行犯逮捕の要件
①罪を行い終わってから間がないこと
②以下のいずれかの要件に当てはまっていること

  • 犯人として、追われているか呼びかけられているとき(これを「追呼」と言います)
  • 犯罪によって得た財産や明らかに犯罪に使用したと思われる凶器などを所持していること
  • 身体または被服に犯罪の顕著な痕跡があるとき
  • 誰何(声をかけて名前を問いただすこと、及びこれに類する行為も含みます)されて逃走したこと

なお、現行犯逮捕と準現行犯逮捕は、一般の人でも行うことができます。一般人が逮捕した場合は、被疑者の身柄を直ちに警察か検察官に引き渡さなければなりません。

2-2.緊急逮捕の要件

緊急逮捕の要件は、刑事訴訟法210条に定められています。

①死刑・無期懲役・長期3年以上の懲役・禁固にあたる罪を犯したことを疑うに足りる「充分な理由」(通常逮捕の要件である「相当な理由」よりも、高度の嫌疑)があること
②逮捕するのに、急速を要し、裁判官に逮捕状を求めることができないこと
③逮捕の必要性があること

緊急逮捕する場合には、被疑者に何の罪で緊急逮捕するのかということは、告げなければいけません。

また、被疑者を緊急逮捕した場合には、ただちに裁判所に逮捕令状を請求しなければなりません。つまり、逮捕の要件が揃っているかをすぐに裁判所にチェックしてもらう必要があるわけです。
裁判所が逮捕令状を出してくれなければ、直ちに被疑者を釈放することになります。

3.現行犯逮捕される場合

3-1.覚せい剤所持

よくニュースで聞くのが、芸能人が覚せい剤所持で逮捕されたという事件です。
警察は、不審な行動を取る者に対して職務質問をし、さらに必要性・緊急性に応じて相当な限度で所持品検査を行うことができます。
その結果、大麻などの覚せい剤らしき物を持っていれば、その場で薬物に対する簡易検査を行って、それが覚せい剤であることを確認した上で覚せい剤所持の容疑で現行犯逮捕します。

3-2.痴漢

痴漢の場合は、犯行を現認した被害者や目撃者が現行犯逮捕し、警察に身柄を引き渡しています。

3-3.万引き

万引きは、いわゆる万引きGメンが犯行を現認しています。そこで、万引きGメンが現行犯逮捕し、警察に引き渡しているということになります。

4.緊急逮捕される場合

4-1.任意で取り調べ中に重大事件を告白したとき

任意の取り調べでは、被疑者の身柄を拘束していませんから、被疑者は警察からいつでも帰宅することができます。
他の事件について事情を聞いているときに、突然重大事件について告白された場合、警察が逮捕状を請求する手続きをしている間に被疑者は帰ろうとするかもしれません。警察はこれを止める権限を持っていません。
そのため、帰ろうとする被疑者をその重大事件で緊急逮捕することが考えられます。

4-2.指名手配されていた犯人が見つかったとき

警察官が、偶然重大事件で指名手配されている犯人を見つけた場合、警察官は逮捕状を所持していないですし、裁判所に逮捕状を請求しているうちに犯人に逃げられてしまいます。また、現行犯逮捕もできません。
このような場合、重大犯罪の犯人であれば、緊急逮捕で対応することになります。

5.まとめ

現行犯逮捕はともかく、緊急逮捕の要件は非常に難しいもので、頻繁に使われるものではありません。逆に、何かで逮捕されてしまいそうになった場合でも、要件に合致していないことをはっきり説明できれば緊急逮捕されることはありません。
それでも、もし逮捕されそうで不安だったり、現行犯逮捕されてしまったりしたということがありましたら、刑事事件の弁護経験豊富な泉総合法律事務所にご相談してください。

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