Vol9. 稲永 泰士 弁護士

泉総合法律事務所 稲永泰士弁護士

我々弁護人は、被疑者・被告人の人権を守りながら、実際に行った犯罪事実に照らして過大な刑罰を受けることを防止するという重大な社会的使命を担っていると感じています。

出身学校はどちらですか?

出身大学は、京都大学法学部です。

 

稲永先生にとっての刑事弁護の意義とは?

よく、「悪者の弁護をすることは、心が痛まないのか?」と言われることがあります。

確かに、捜査機関は被疑者・被告人を厳罰に処すことを主張し、我々弁護人は、それに対して、被疑者・被告人の無罪を争ったり、被疑者・被告人の罪をできる限り軽減するための活動をします。
ただ、これは決して被疑者・被告人の犯した罪を必要以上に軽くすることを目的としているわけではなく、被疑者・被告人が犯した罪相応の罰を求めるものにすぎないのです。

被疑者・被告人は、時には濡れ衣を着せられ、やっていないことを強引に認めさせられたり、事実関係に争いがない場合であっても、必要以上に厳罰を課されることもあります。

我々弁護人は、被疑者・被告人の人権を守りながら、実際に行った犯罪事実に照らして過大な刑罰を受けることを防止するという重大な社会的使命を担っていると感じています。

 

事件解決のため、心がけている・気をつけていることはありますか?

私は、被害者がいる犯罪の場合には、可能な限りにおいて、示談をするべきであると考えています。

その理由は、単に被疑者・被告人の罪を軽くする弁護活動の一環というだけではなく、被害者の救済という役割も、弁護人に社会的に期待されている使命であるからです。

被疑者・被告人が刑罰を受けたとしても、決して被害者の救済にはなりません。
被害者の被った被害を、少しでも回復させることで、被疑者・被告人が行ったことに対する償いとさせてもらい、その結果として被疑者・被告人の減刑を求めるべきと考えています。

ただ、事件によっては、被疑者・被告人の犯罪行為によって、金銭では回復できない深い精神的苦痛を負った被害者の方もいます。そのような場合、決して被疑者・被告人を許せないとして示談に応じてくれないケースも中にはあります。
しかし、被疑者・被告人を恨み続けることで被害者の方が救われることは決してないと個人的には思います。

仮に、心から納得できない部分はあったとしても、新たな人生のスタートを切るための一つの区切り、きっかけとして、示談というのは、被害者にとっても必要なことだと思います。

被疑者・被告人の経済状況や犯罪の態様などによっては、決して被害者の満足する結果にはつながらないこともありますが、終局処分がなされるまでの間しか弁護活動はできませんので、その時間的制約の中で、最大限尽力したいと心がけています。

 

これまでにどのような刑事事件を取り扱ってきたのですか?

これまでに私が取り扱ってきた刑事事件は、

  • 窃盗(成人)
  • 詐欺(オレオレ詐欺)
  • 公務員執行妨害
  • 過失運転致傷
  • 道路交通法違反
  • 傷害(成人)
  • 覚せい剤取締法違反
  • 迷惑防止条例違反(痴漢、盗撮)
  • 強制わいせつ
  • 虚偽告訴(痴漢のでっちあげ)
  • 業務上横領
  • 建造物侵入
  • 器物損壊

などです。

 

刑事事件に対するスタンス・ポリシーを教えてください。

まずは、依頼者や被疑者・被告人をはじめ、関係者の方のお話をじっくり聞くことを心がけています。
事件関係者の主張が食い違うこともあり、真相が何なのか分からないこともあります。
その際にも客観的に事件全体を俯瞰してみて、冷静に判断したうえで、誤った方向に向けた舵取りをしないように心がけています。

 

最後に、弁護士へ相談しようか迷っている方にメッセージをお願いします。

突然、ご家族の方が犯罪行為の疑いをもたれたり、警察署に身柄が拘束されたりすることもあるかと思います。
そのまま放置していれば、被害者への謝罪や示談をする機会を与えられないままに刑事裁判にかけられたり、刑事処分が課され、前科が付いたりする場合があります。
ご家族またはご自身に、そのようなご不幸が生じた際には、まずはご相談だけでもしていただければと思います。