Vol2. 岡本 真人 弁護士

社会生活を送る人にとって、一番困っている状況下で、味方として寄り添い、その方の状況・人生がよい方向に向くよう一緒に考え、結論を出してそれをもとに活動することこそ、刑事弁護の醍醐味であると思います。
– 出身学校はどちらですか?
出身大学は、中央大学法学部です。大学院は明治学院大学法科大学院になります。
– 弁護士会などで活動されている団体、役職などはありますか?
子どもの権利委員会に所属しております。子どもの権利委員会とは少年事件や、少年の裁判員裁判について調査・研究・提言する日弁連の団体です。また、その他にも日弁連の交通事故センターに所属して活動しています。
– 岡本先生にとっての刑事弁護の意義とは?
捜査対象として被疑者になってしまうと、捜査のために国家による身体拘束を受けたり、不安の中で仕事を休んで捜査に協力しなければなりません。また、捜査の結果、場合によっては、裁判にかけられてしまうこともあります。
裁判にかけられた被告人にとって、裁判所から下される判決により、刑罰といった不利益を受けることになります。
このように、被疑者被告人は、非常に大きな自由の侵害を受けます。
また、刑事事件の副次的な影響として、仕事を辞めなければならなくなるなど、社会生活上、相当な不利益を被ってしまう可能性もあります。
そういった刑事事件から生じる直接・間接的な影響を踏まえて、非常に簡単にまとめると「社会に生きる人々にとって、一番困惑し苦しんでいる状況こそが、刑事事件である」とも言えます。
社会生活を送る人にとって、一番困っている状況下で、味方として寄り添い、その方の状況・人生がよい方向に向くよう一緒に考え、結論を出してそれをもとに活動することこそ、刑事弁護の醍醐味であると思います。
– 事件解決のため、心がけている・気をつけていることはありますか?
私はどちらかというと、少年事件のように審判になる事件、公判を扱っていることが多いです。
否認事件であれば、当然のことですが、戦うべきところで戦う必要があります。
ただやはり、多くの事件は認め事件であり、その場合には如何に反省を深めていくかという点がとても重要です。反省が不十分ですと、裁判官や検察官から質問された際、「本当に反省しているのですか」と言われてしまいます。
公判でなく、示談交渉で解決可能な事件においては、相手方との交渉時に被疑者本人の反省状況について「具体的にどのように反省しているのか?」と聞かれることもあり、その回答が示談成否に大きく影響をおよぼすケースが非常に多いと、経験上感じています。
また、ご本人にとっても、二度と辛い状況は嫌でしょうし、応援して支えてくれているご家族にとっても「二度と同じ過ちを犯して欲しくない」と思っていらっしゃることでしょう。ですので、少しでも再犯可能性を低くさせるにはどうしたらよいのか、という点も常に心がけています。
– では、刑事事件に対するスタンス・ポリシーを教えてください
依頼者が犯罪を行っていないのであれば、それを信じて活動していくことこそが重要だと思います。
行っていないのに、捜査機関に疑われるということは、特に身柄拘束されている場合には「味方が周りにいない」と強く感じることでしょう。そういう一番困っている状況下で、味方として寄り添い、その方の状況・人生が少しでもよい方向に向くように活動していきたいです。
逆に、依頼者の方が犯罪を行ったのであれば、反省すべきところは反省してもらい、その反省を謝罪文や日頃の生活などの具体的な形に落とし込み、二度とこんな苦しい思いをさせないためにも、二度と犯罪を行わないように導きつつ、示談交渉など依頼者にとって有利な活動を模索していくことこそが、重要だと考えます。
– これまでにどのような刑事事件を取り扱ってきたのですか?
これまでに扱ってきた刑事事件は、
覚せい剤取締法違反、大麻取締法違反
窃盗・強盗・強盗致傷
傷害・傷害致死
通貨偽造・偽造通貨行使
道路交通法違反(死亡事故・飲酒・ひき逃げ)
盗撮
などです。
– 最後に、弁護士へ相談しようか迷っている人にメッセージをお願いします。
先ほどもお伝えしましたが、刑事事件は被疑者被告人の人生に直接間接的な不利益を生じさせるだけでなく、ご家族にまで多大な影響を与えてしまうものです。
そして、被疑者被告人の方やそのご家族の方の人生におよぼす影響が大きく、日常では滅多に経験しないことであるがゆえに、知識がない状態で臨む場合が大半です。
よく目にするケースは、ご依頼前に運よく被害者の連絡先を知ることができ、起訴されないために、あるいは裁判で情状を良くするために、ご家族が交渉や被害弁償などで奮闘されているようなケースです。しかし、そこに専門的な知識がなければ、効果が乏しい活動しかできないという可能性もあるわけです。
たとえば、弁護士に依頼せず、自分たちで被害者に弁償をした際、その弁償の場では被害者が口頭で「許す」と言ってくれたけれども、それが文章化されていなかったばかりに、検察官や裁判官との交渉を有利に進められなかったという残念な結果に終わってしまうという可能性もあるのです。
また、身柄事件では国選弁護人がつく事件もありますが、それは勾留の決定が出たあとに選任されるものであり、最初の取調べ段階における調書作成時には弁護人がついていないことになります。つまり、弁護士が入る前に捜査が始まるため、その段階で作られてしまった調書が、後々不利な結果を生じさせることもあります。
そのような事態を回避するためにも、取調べの最初から刑事弁護の実績豊富な私選弁護人を選任しておけば、早い段階から効果的な弁護活動をしてもらうことが可能となり、結果的に有利な結果を得られると思います。