暴行事件
暴行とは人の身体に対する一切の不法な攻撃方法を指すとされており、殴る蹴るといった一般的なイメージとはかけ離れた行為に適用されることが時々ある類型です。近年は幼児や弱者に対する虐待も増えてきています。
平成28年5月18日神戸地方裁判所判決
暴力団員同士の喧嘩で催涙スプレーが使われた事案。刑は懲役1年2月執行猶予4年。
平成27年7月15日福岡高等裁判所判決
スプーンに山盛りにした塩を認知症の老人の口に突っ込んだ行為が暴行とされた事案。懲役1年2月。
平成25年7月5日福岡地裁久留米支部判決
障害者自立支援施設の職員が入所者をエアガンで撃つ、水路に突き落とす、千枚通しを投げつけるといった行為を行った事案。懲役1年6月執行猶予3年。
平成23年9月22日京都地方裁判所判決
不良少年グループ内での「おちょくり」の一環として、被害者の足をロープで縛って海の中を引きまわした行為が暴行とされた事案。この被害者は最終的に暴行をエスカレートさせた共犯者の手により溺死させられたが、グループのリーダーは途中から制止したとして死亡の結果については責任を免れた。
懲役1年執行猶予3年。
昭和56年4月1日東京高等裁判所判決
教員が生徒に対して数回軽く叩いたことが違法な体罰でなく正当な懲戒権の行使と認められ、無罪となった事案。
昭和46年10月11日福岡高等裁判所判決
人の顔からももにかけて塩を振りかけた行為が暴行とされた事案。労働争議に絡む従業員同士の嫌がらせとして行われたものと思われる。量刑は記録されていない。
昭和39年1月28日最高裁決定
抜き身の日本刀を人の目の前で振り回している時点で暴行が成立するとした事案。暴行罪が成立しているかどうかは、意図せずに傷害や死亡の結果が生じた場合の処罰の重さを左右するため、理論上は重要。