盗撮

盗撮とは

盗撮とは、相手方の許可なく行った撮影によって、人を著しく羞恥させ、不安にさせる行為のことです。

各都道府県のいわゆる迷惑行為防止条例では、公共の場所での盗撮を処罰の対象としています。

典型的な例として、駅構内のエスカレーターや階段にて、前に立っている女性のスカート内部をスマートフォンや特殊な小型カメラで撮影する行為や、女性トイレ内に侵入して個室内にいる女性を無断で撮影する場合などです。このほかに、公共の場所でひそかに女性の全身を撮影した場合も盗撮に該当します。

これらの行為が“盗撮”にあたります

◇電車内で、前に立っている相手のスカートの中にスマートフォンを入れて動画を撮影した
◇女子更衣室に小型カメラを設置して撮影した
◇女子トイレ内にこっそり侵入して、個室内にいる相手の様子を撮影した
◇浴室の窓から、入浴中の相手を撮影した

盗撮の刑罰

盗撮の刑罰は撮影する場所によって、各都道府県が制定する“迷惑防止条例違反”に該当する場合、刑法上の“軽犯罪法違反”に該当する場合の2つに分かれます。

駅構内やバス・電車の中など“公共の場所”にて撮影した場合、各都道府県の迷惑防止条例違反として処罰されます。
一方、住居やビル内など“私的な場所”にて撮影した場合は、迷惑防止条例違反および軽犯罪法の覗き見罪(窃視罪)で処罰されます。

具体的な刑罰内容は次のとおりです。

公共の場所での盗撮
 罪名都道府県通常常習
迷惑防止条例違反東京都1年以下の懲役または100万円以下の罰金2年以下の懲役または100万円以下の罰金
千葉県6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金1年以下の懲役または100万円以下の罰金
埼玉県
神奈川県1年以下の懲役または100万円以下の罰金2年以下の懲役または100万円以下の罰金
私的な場所での盗撮
罪名都道府県刑罰
軽犯罪法違反東京都拘留(1日〜30日未満)
または科料(1000円〜1万円未満)
千葉県
埼玉県
迷惑防止条例違反神奈川県常習性なし1年以下の懲役または100万円以下の罰金
常習性あり2年以下の懲役または100万円以下の罰金

上の表をご覧いただくと、1都3県のうち神奈川県が他よりも厳しく規制しています。たとえば、私的な場所での盗撮の場合、東京都・埼玉県・千葉県では軽犯罪法違反で処罰されますが、神奈川県ではそれよりも重い迷惑防止条例反で処罰されます。

ちなみに、盗撮に関連する軽犯罪法違反は、正当な理由なく、更衣室・浴室・トイレなど、人が衣服の全部または一部をつけていない可能性がある場所を密かにのぞき見た場合に成立します。

その他にも、盗撮行為をするために住居やビル内に立ち入った場合には、別途、住居侵入罪や建造物侵入罪が成立する可能性があります。

一般的に、盗撮行為の量刑を行う場合、次の項目を基準として総合的に判断します。

  • 盗撮結果の程度(重大か軽微か)
  • 示談の有無
  • 示談金額
  • 被害弁償の有無
  • 被害弁償額
  • 盗撮行為の態様(悪質性、計画性など)
  • 盗撮行為の動機

盗撮行為に関する量刑相場について、これまでの泉総合法律事務所での刑事弁護実績を踏まえてご説明します。

まず、初犯の場合、示談が成立すれば、不起訴処分となり通常前科はつきません。また、示談が成立しない場合でも、前科がなければ通常罰金刑となります。

ただし、同種の前科が他にも多数あったり、悪質な内容だった場合は、公判請求(刑事裁判)される可能性もあります。

なお、捜査機関に押収されたスマートフォンなどに別の盗撮画像(=余罪)が残っているというケースが多々あります。余罪があっても、被害届が出ていないか、検挙後に警察が被害届を取り付けることは被害者がどこの誰かが分からないのが通常ですので、立件されないのが通常です。検挙された盗撮事件の被害者と示談が成立すれば、通常不起訴となります。

盗撮の弁護方針

(1)まずは被害者との示談成立を目指す

盗撮事件の場合、被害者との示談が成立すれば、初犯であれば、不起訴処分となり前科がつきません。これは、検察官が起訴するかどうかを検討する際、示談の成否を重要な判断材料の一つとしてみなしているからです。 そういった意味で、示談成立の成否はとても重要です。

しかし、被疑者(加害者)に対して強い嫌悪感を抱いている被害者にとって、被疑者(加害者)と直接顔を合わせる示談交渉に応じてくれることはまずありえません。また、そもそも、盗撮の被害者の連絡先を知っていることは通常ありえませんから、盗撮の被疑者が被害者と示談交渉をすること自体不可能といえます。

そこで、弁護士が検察官を通じて、被疑者(加害者)の反省態度や謝罪の意向を被害者に伝えることで、被害者が「弁護士にだけなら」という条件つきで連絡先を開示してくれることが通常です(もっとも稀に連絡先を教えていただけないこともあります)。そこで、泉総合法律事務所の弁護士は連絡先を検察官から開示してもらい、被害者との交渉に誠意をもって粘り強く示談交渉をしていきます。

盗撮の被害者と示談が成立すれば、初犯であれば不起訴となります。過去に盗撮で罰金刑を1回受けている被疑者でも示談できれば通常不起訴となると思いますが、それ以上盗撮の前歴があると示談しても罰金刑の可能性が高いと思います。

(2)反省文・謝罪文を提出する

示談交渉にあたっては、弁護士が盗撮の被疑者の代わりに謝罪するだけでなく、被疑者に書いてもらった謝罪文を被害者に渡して、被疑者の反省の心情などを理解してもらうように努めます。仮に示談していただけない場合には、検察官に対してその謝罪文を弁護士の不起訴を求める意見書とともに提出します。

(3)専門家の診断、カウンセリングを受ける

盗撮の刑事弁護を当所泉総合法律事務所は多数取り組んでおりますが、初めて盗撮して検挙される方はまずいません。盗撮の被疑者は例外なくそれまで何度も盗撮を繰り返して検挙されています。盗撮で過去検挙されて罰金刑を受けた方もやめられず盗撮を繰り返して検挙される方もかなりいらっしゃいます。盗撮もその意味で性依存症と言っていいと思います。性依存症の場合には性依存症専門のクリニックや心療内科で性依存症に取り組んでるところで、定期的に治療を受けることを強くお勧めします。

 (4)早期釈放を目指します

盗撮は通常被害者か近くにいた目撃者に駅員室や交番などに連行され、それからパトカーなどで警察署に行って取り調べを受けて当日解放されるのが通常です。しかし、盗撮用の特殊カメラを使用した盗撮や特定女性をストーカー的に盗撮している場合や特定の駅で繰り返し盗撮をしていて鉄道警察隊警察官にマークされている場合などは、逮捕されることが多いといえます。

通常の盗撮でも稀ですが逮捕されることがあります。

このように被疑者が逮捕されて身柄を拘束されている場合には、早期の身柄解放を目指して、以下の弁護活動を全力で行います。

・勾留請求をしないでもらえるよう、検察官に対して意見書を提出するなどして働きかける。盗撮の場合には性犯罪としては軽微な部類のため検察官が勾留請求せずに釈放となることがかなりあります。

(それでも勾留請求されてしまった場合には)
・勾留決定しないよう、釈放するように、裁判官に要求する。盗撮の場合には検察官が勾留請求することはあまりありませんが、悪質な盗撮は勾留請求します。その場合には、家族の身元引受書、上申書や弁護士意見書を勾留請求の審理担当の裁判官に提出して勾留決定をしないよう、釈放するよう働きかけます。

通常、裁判官は勾留決定せずに釈放します。

(それでも勾留決定が下されてしまった場合には)
・勾留決定を取り消してもらうよう、裁判官に対して要求する。いわゆる、“準抗告”を行う。当所泉総合法律事務所では準抗告を多数行い、準抗告認容釈放も多数取り付けていますが、これまで盗撮については準抗告をしたことはありません。それだけ盗撮で勾留されることは少ないということですが、だからといって盗撮をしてもいいことではありません。

泉総合法律事務所ではこれまでに、盗撮事件における多くの勾留阻止、身柄解放の実績がありますので、是非ともご依頼ください。