飲酒運転

飲酒運転とは

飲酒運転とは、その名のとおりアルコールを摂取した状態で自動車やバイクなどを運転した場合に成立する犯罪です。
アルコールを摂取した状態は「酒気帯び」「酒酔い」の2つに分けられます。

◇酒気帯び運転とは

アルコール検知器を用いた検査により一定値以上のアルコール量(具体的には、血中アルコール濃度の数値が、1ミリリットル中0.3ミリグラム以上、または呼気1リットル中0.15ミリグラム以上)が検出されたときに成立します。

◇酒酔い運転とは

アルコールを摂取したことが原因で、正常な運転ができないおそれがある状態で運転したときに成立します。つまり、アルコールの摂取量に関係なく、正常に運転することができるかどうかがポイントになります。

たとえば、アルコールに弱い人と強い人では、酒酔い運転であるとみなされるアルコール摂取量に差異が生じることになります。

飲酒運転による交通事故の刑罰

酒気帯び運転や酒酔い運転の場合、自動車運転死傷行為処罰法(刑法)、および道路交通法違反で処罰されます。

交通事故によって、相手をケガさせたり死亡させた場合、平成26年の自動車運転死傷行為処罰法の施行以後であれば、過失運転致死傷罪または危険運転致死傷罪によって処罰されます。一方、自動車運転死傷行為等処罰法の施行以前であれば、刑法の自動車運転過失致死傷罪または危険運転致死傷罪によって処罰されます。
それにくわえて、交通事故を起こした際、飲酒運転であれば道路交通法違反として処罰されます。

道路交通法上の罰則は以下のとおりです。

酒気帯び運転
(道路交通法117条の2の2第1号)
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
酒酔い運転
(道路交通法117条の2第1号)
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金

 

飲酒運転が原因の交通事故関する量刑相場について、これまでの泉総合での刑事弁護実績を踏まえてご説明します。

飲酒運転による交通事故の場合、きわめて悪質で悲惨な事故が多く、社会問題化している背景もあり、近年、厳罰化の傾向にあります。

そのため、特に事故を起こしていなくても、これまでに何度も交通違反を起こしているような悪質ドライバーであれば、飲酒運転というだけで、公判請求されて刑事裁判になることもあります。また、被害者のケガの程度が軽く、すでに示談が成立している場合であっても、公判請求され刑事裁判となるケースが多いです。

また、初犯であっても、被害者のケガが重い場合は、執行猶予が付かず、いきなり実刑判決が下されることもあります。

飲酒運転による交通事故の弁護方針

◇罪を認めている場合

(1)示談成立を目指す

被害者や遺族と示談交渉を行い、示談金など誠意を見せることで、とにかく早期の示談成立を目指します。と言うのも、被疑者を起訴するかどうか判断するにあたり、検察官は示談の成否をとても重要視するからです。不起訴処分を勝ち取るには、示談成立をアピールすることが最も効果的です。

なお、交通事故における示談には民事上と、刑事上の2種類があります。

まず民事上の示談の多くは、加入している自動車保険会社が代行して行います。その場合の示談金とは治療費、通院交通費、休業損害などに対するものです。
ただ、民間の保険には加入しておらず、自賠責保険のみの加入だった場合、支払われる保険金の額に限度があります。つまり、損害の全額が必ずしも弁償されるとは限らないのです。したがって、もし、自賠責保険で補てんされない部分が生じた場合には、その部分の補てんを被疑者ご自身が慰謝料や示談金として支払う必要があります。

一方、刑事上の示談においては、保険会社とは別に、被疑者ご自身が被害者や遺族に対する謝罪金・見舞金などの意味合いで金銭を支払い、被害者や遺族から許してもらう意味合いがあります。

よく、「交通事故の示談交渉は加入している保険会社の担当に任せているから問題ない」と思われがちですが、これは大きな誤りです。
と言うのも、保険会社は、刑事上の示談をほとんど考慮せず、民事上の示談対応しか行ってくれないからです。
したがって、「刑事裁判になる可能性が高いが、なんとか罰金刑だけで済ませたい」「不起訴処分にして欲しい」といったご要望があれば、保険会社に任せるのではなく弁護士に任せるべきです。

なお、万が一、起訴されてしまった後であっても、裁判官が示談成立を考慮して、執行猶予付き判決を下す可能性もあるため、やはり示談成立の可否は重要です。

(2)反省文・謝罪文を書く

交通事故によって、相手をケガさせてしまった、もしくは死亡させてしまったという事の重大さを被疑者の方に理解してもらい、深く反省してもらいます。そして、被害者が許してくれるかどうか、という点はとても重要ですので、被害者に対して十分に謝罪します。

また、被疑者の方に謝罪文や反省文を作成してもらい、被害者、そして検察官や裁判官にその書面を提出して、きちんと反省している姿勢をアピールしていきます。

(3)運転免許の返納、車の処分

運転免許の返納や、車を売却・処分することで「二度と運転しない」という点をアピールして、反省しているという姿勢を示します。

(4)酒を断つ

飲酒が原因での交通事故であるため、酒を断つという姿勢をアピールします。そのためにも、被疑者の方には断酒会などに加入してもらい、その点を検察官や裁判官に主張します。

(5)寄付をする

もし被害者との示談が成立しなかった場合でも、交通事故に関連する慈善団体に寄付をすることで反省の気持ちを示します。

(6)早期釈放を目指します

在宅事件ではなく、被疑者が身柄を拘束されている場合には、早期の身柄解放を目指して、以下の弁護活動を全力で行います。

・勾留請求をしないでもらえるよう、検察官に対して要求する。

(それでも勾留請求されてしまった場合には)
・勾留決定しないよう、裁判官に要求する。

(それでも勾留決定が下されてしまった場合には)
・勾留決定を取り消しててもらうよう、裁判官に対して要求する。
いわゆる、“準抗告”を行う。

泉総合ではこれまでに、飲酒運転における多くの勾留阻止、身柄解放の実績がありますので、どうぞご安心ください。