強盗

強盗とは

強盗罪とは、暴行または脅迫によって相手を反抗できない状態にしたうえで、他人の財物を奪い取ったり、財産上の利益を得たりしたときに成立する罪のことです。(刑法236条)
脅迫や暴行などによって他人の財物を奪う犯罪としては、最も重い刑罰が課せられます。

ただ暴行や脅迫の程度によっては、強盗罪よりも刑罰が軽い、“窃盗罪や恐喝罪”で処罰されることもあります。

具体的には、暴行や脅迫を用いないで相手の財産を奪った場合には“窃盗罪”が成立します。また、暴行や脅迫を用いて相手の財産を奪ったとしても、相手が反抗できないとまでは言えない程度の軽い暴行や脅迫であれば、強盗罪ではなく“恐喝罪”が成立します。

なお、強盗罪に関連した犯罪としては、次のものが挙げられます。

◇強盗予備罪:実際に強盗を行なわなかったとしても、強盗目的で情報収集や凶器を準備した場合に成立します。
◇事後強盗罪:たとえば物を盗んだ際、警備員に取り押さえられそうになったので、その警備員に暴行を加えた場合が該当します。
◇強盗致死傷罪:強盗した際に、人を負傷させたり、死亡させたりしてしまった場合に成立します。裁判員裁判の対象事件であり、刑罰としては非常に重く処罰されます。

これらの行為が“強盗”にあたります

◇コンビニ店員に包丁を突きつけて、レジから金を奪った
◇路上を歩いている相手の背中に拳銃を突きつけ、財布を強奪した
◇タクシー運転手を脅して暴行したのち、金銭を奪って逃げた
◇店員を脅して暴行を加えたのち、飲食代金を踏み倒した

強盗罪の刑罰

5年以上の有期懲役(刑法236条)

一般的に、強盗罪の量刑を行う場合、次の項目を基準として総合的に判断します。

  • 強盗罪による被害金額の大小
  • 強盗行為の内容(入念な計画に基づくものか、共犯者の有無など)
  • 頻度
  • 強盗を遂行する際の手段の危険性、凶器(包丁、ロープ、スタンガンなど)使用の有無
  • 余罪の有無
  • 示談ないし被害弁償の有無やその金額
  • 反省状況
  • 強盗の目的・動機
  • 前科の有無

など

強盗罪に関する量刑相場について、これまでの泉総合での刑事弁護実績を踏まえてご説明します。

まず、強盗事件の場合、たとえ初犯であっても、公判請求され裁判になるのが通例です。強盗罪には、その重大性から罰金刑が定められていないためです。そして、被害金額や犯行態様の悪質さの程度によっては、たとえ初犯であったとしても、実刑になってしまう可能性もあります。

また、同種の前科がある場合には、その前科から時間がたっていなければ、まず間違いなく実刑になります。

このように、強盗事件は重大な事件であり、厳しく処罰されます。そこで、できるだけ早く被害者と示談をすることで、執行猶予判決を目指していくことが重要です。

その他、強盗罪に関連した犯罪の刑罰は、次のとおりです。

◇強盗予備罪(刑法236条):2年以下の懲役
◇事後強盗罪(刑法237条):5年以上の有期懲役
◇強盗致死傷罪(刑法240条)
:(死亡させた場合)死刑または無期懲役
:(負傷させた場合)無期または6年以上の有期懲役

強盗罪の時効

犯罪行為が終わった時点から数えて、10年経過すると時効が成立します。

ただし、起算点、つまりどの時点から時効が進行するのかという点は、色々と複雑なケースもあるため、弁護士に相談することをおすすめします。

強盗罪の弁護方針

◇罪を認めている場合

(1)示談成立を目指す

強盗罪は、被害者からの告訴がなくても起訴することができる非親告罪です。したがって、示談成立後、告訴が取り消されたとしても、必ずしも不起訴になるというわけではありません。

しかし、不起訴処分や減刑を目指すべく、検察官や裁判官への心証を良くするためには、示談成立をアピールすることが強盗罪において最も有効な手段です。

したがって、泉総合の弁護活動としては、まずは被害者に対して十分な謝罪と示談金を提示して、早期の示談成立を目指します。ただ、被害者は被疑者(加害者)に対して、強い恐怖心を抱いているため、通常は被疑者(加害者)に連絡先を教えてはくれません。ですので、そのようなときは、弁護士に依頼することをおすすめします。

と言うのも、弁護士(弁護人)から、示談のための連絡先照会が検察官にあった場合のみ、検察官は被害者に連絡を取り、弁護士(弁護人)に連絡先を教えて良いかを打診します。そして、了承を得られた場合のみ、検察官から弁護士(弁護人)に被害者の連絡先が伝えられる仕組みとなっているためです。

また、強盗罪の場合、被害者の被害感情や恐怖心が強すぎて、冷静な話し合いが行えない可能性もあるため、示談交渉は経験豊富な弁護士に任せるべきです。

(2)反省文・謝罪文を書く

強盗行為に及んでしまったという事の重大さを被疑者の方に理解してもらい、深く反省してもらいます。そして、被害者が許してくれるかどうか、という点はとても重要ですので、被害者に対して十分に謝罪します。

また、被疑者の方に謝罪文や反省文を作成してもらい、被害者、そして検察官や裁判官にその書面を提出して、きちんと反省している姿勢を示します。

(3)早期釈放を目指します

強盗事件の場合、その多くは逮捕され、勾留されてしまいます。被疑者が身柄を拘束されている場合には、早期の身柄解放を目指して、以下の弁護活動を全力で行います。

・勾留請求をしないでもらえるよう、検察官に対して要求する。

(それでも勾留請求されてしまった場合には)
・勾留決定しないよう、裁判官に要求する。

(それでも勾留決定が下されてしまった場合には)
・勾留決定を取り消してもらうよう、裁判官に対して要求する。
いわゆる、“準抗告”を行う。

泉総合ではこれまでに、強盗事件における多くの勾留阻止、身柄解放の実績がありますので、どうぞご安心ください。