痴漢 [公開日]2018年3月29日[更新日]2022年10月3日

痴漢で逮捕後の流れと弁護士による示談交渉の流れ

痴漢の逮捕後の流れと弁護士に示談交渉を依頼するメリットとは?

痴漢の犯人であるとの嫌疑がかかり、警察官や目撃者に現行犯逮捕・通常逮捕(後日逮捕)されてしまった場合、起訴を免れるためにも早急に被害者と示談交渉を行う必要があります。

痴漢事件をはじめとした刑事事件では、逮捕〜起訴(略式起訴)まで時間の余裕がないため、被疑者となってしまった方はもちろん、そのご家族も、逮捕後の流れを知り、示談交渉がいかに重要かを理解しておくことが大切です。

この記事では、痴漢で捕まったらどうなるのか、逮捕後の流れと示談交渉の流れについて、長年の実務経験を経た泉総合法律事務所の弁護士が解説します。

1.痴漢で捕まった後の流れ

痴漢には「迷惑防止条例違反」で立件される痴漢と、「強制わいせつ罪」で立件される痴漢があります。

[参考記事]

痴漢の定義と種類|痴漢を事例ごとに徹底解説

どちらのケースに該当するかによって、逮捕後の対応に違いが出ることがあります。

(1) 迷惑防止条例違反の痴漢

迷惑防止条例違反の痴漢は、性犯罪の中でも比較的軽微な犯罪と扱われるので、犯行を認めれば(否認をしなければ)逮捕による身体拘束はされず、当日、警察署で供述調書を作成した後に釈放され、在宅での捜査となることが多いです。

通常、警察は解放する時には家族に連絡して、身元保証人として警察署まで迎えに来てもらいます。家族がいない(来られない)・連絡が取れない場合には、警察官が被疑者の自宅にパトカーなどで送っていき、自宅を確認して解放します。

例外ですが、家族と連絡が取れないなどの場合に、被疑者の同意を得た上で会社の上司に連絡して身元引受人として警察に迎えに来てもらうこともあります。

なお、同一女性を対象として連続して痴漢を行なっていたなどという事情があった場合には、迷惑防止条例違反として取り扱うとしても「悪質」とみなされ、逮捕・勾留を伴う捜査を受けることもあります。
また、後述する強制わいせつ罪として立件される可能性もあります。

【罰金刑であっても前科がつく】
迷惑防止条例違反の痴漢(初犯)であっても、被害者と示談をしなければ「罰金刑」となるのでご注意ください。
通常の裁判を行わず、簡単な書面審理で終わる「略式手続」によって罰金刑を受けた場合、多くの方はあまり深刻に捉えません。しかし、刑罰が 罰金であっても前科は付きます。前科がつくことで自己の職業に影響を与える可能性もありますので、甘く考えずに弁護士に刑事弁護・示談交渉を依頼することをお勧めします。

(2) 強制わいせつ罪にあたる痴漢

痴漢の中でも、下着の中に手を入れて直接触るなどの悪質な痴漢は「強制わいせつ罪」で立件されます。
これが発覚した場合、警察に逮捕・勾留され、取り調べを受ける可能性が高いでしょう。

詳しい流れは以下の通りです。

フロー図:刑事事件解決の流れ

逮捕・勾留

強制わいせつ罪の痴漢で捕まると、その後48時間以内に検察庁に身柄を送致(送検)され、検察官の取り調べを受けます。

それから24時間以内(逮捕から72時間以内)には、検察官が裁判官に10日間の勾留請求をするかどうかを判断します。
一般的に、強制わいせつ罪の痴漢の場合、検察官は勾留請求を行うことが多いでしょう。

裁判官は、勾留請求を受けたら勾留質問を行い、勾留決定するかどうか判断します。強制わいせつ罪の痴漢は極めて悪質であるため、多くのケースで勾留決定をされます。

その結果、逮捕に続いて原則10日間勾留されます。
その後、さらに勾留延長されると、合計で最大20日もの期間勾留されることになります。

このような長期の勾留となれば、会社や学校に痴漢の件が発覚してしまいます。
仮に事件の概要を知られなくとも、会社が納得できる欠勤理由を家族が説明することは難しいでしょうから、無断欠勤として会社を解雇される可能性があります。

[参考記事]

痴漢で職場を解雇されたくないという方へ~知っておくべきこと

起訴〜保釈

最大20日に及ぶ勾留期間が経過する前に、検察官は、起訴・不起訴の判断をします。
公判請求の判断が下されると、起訴後も勾留が継続します。

起訴後の勾留から釈放されるには、裁判所に「保釈」を認めてもらう必要があります。

被疑者が容疑を認めている場合には、逃亡や証拠隠滅などの恐れがなく、身体拘束する必要性が欠けるため、家族が身元引受人となることで、弁護士が保釈申請すれば多くの場合保釈が認められます(裁判所が指定する保釈金の納付を条件とします)。

もっとも、性犯罪の厳罰が支持される昨今では、強制わいせつ事犯に対する裁判官の眼も厳しいものがあり、示談ができていない場合や被疑者(被告人)が起訴事実を否認して無罪を主張している場合などには保釈が認められないこともあります。

[参考記事]

保釈に強い弁護士|弁護士に依頼する場合と依頼しない場合の違い

公判(判決)

強制わいせつ罪の痴漢は、初犯であれば(示談が成立すれば)執行猶予がつくことが大半ですが、同種前科があれば実刑の可能性もあります。
なお、強制わいせつに罰金刑はないため、起訴されれば必ず懲役刑となります。

刑法176条(強制わいせつ)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする

2.痴漢の示談交渉について

このように、痴漢事件の被疑者となった後に何もしないと、罰金や公判請求となり前科がつく可能性が高いです。

これを避けるためには、弁護士に示談交渉を依頼するべきと言えます。

(1) 痴漢で逮捕された際に示談する重要性

示談が刑事手続きの早い段階(逮捕・勾留中)に成立した場合、検察官からしたら、以降は被疑者を身体拘束して捜査を進める必要性に欠けると判断されることも多いです。

そのため、示談成立により、「逮捕や勾留請求がされない」「勾留請求が却下される」「勾留から早期に釈放される」など、身柄拘束を回避できる可能性が高くなります。

また、痴漢事件のように被害者が存在する刑事事件の場合、検察官が処分(起訴・不起訴)を決める上では、被害者の処罰意思の有無が重要な考慮要素となります。

示談が成立した場合、被疑者の刑事処罰を望まない旨の文言を記載した示談書の作成をしてもらうため、被害者の処罰意思が無くなったことが明らかとなります。
さらに、被害も示談金によって金銭的に回復していることから、この示談書を提出することにより検察官が初犯なら不起訴とする可能性が高まります。

(2) 痴漢の示談を弁護士に依頼した後の流れ

痴漢で逮捕後に弁護士に示談交渉を依頼すると、以下のような流れになります。

  1. 弁護士が被害者の連絡先について警察・警察から提供を受ける
  2. 被害者と弁護士が直接示談交渉をする
  3. 示談の内容について依頼者と弁護士が擦り合わせを行う
  4. 示談が成立したら、示談書を作成する
  5. 示談金を支払う
  6. 示談書を弁護士が検察官に提出する

痴漢事件の被疑者と被害者は、これまでに面識がないケースがほとんどです。しかし、検察官・警察官は、性犯罪の被害者の個人情報を被疑者本人には教えてくれません

刑事弁護(示談)の依頼を受けた弁護士は、担当の検察官に連絡をし、被害者の連絡先を示談交渉のため教えてくれるよう依頼します。
被害者が了承してくれれば、検察官から弁護士に被害者の連絡先が伝わります。
その後、弁護士から被害者に連絡して示談交渉開始となります。

痴漢事件の具体的な示談金額は(痴漢の悪質性や被害感情にもよりますが)、数十万前後で示談を成立させるケースが多いといえます。
しかし、被害者が未成年の場合、示談の相手方はその両親となり、両親の怒りから示談交渉が難航したり示談金が高額になる傾向があります。

また、場合によっては、事件を起こした電車を特定の時間は使わない、普段被害者が使用している電車(路線)は使用しない、などといった附随的な条件を組み入れる場合もあります。

示談金や条件について依頼者と弁護士が擦り合わせを行い、無事に示談がまとまったら、弁護士が被害者との間で示談書を作成し、これを検察庁に提出することになります。

担当検察官は、提出された示談書の内容を考慮して本件に関する処分を決定します(初犯であれば不起訴処分となることが多いです)。

このように、示談交渉において、被疑者と被害者が直接顔を合わせることはありません。

3.痴漢後の示談交渉は弁護士へ

以上のように、痴漢で検挙・逮捕された後に示談を行わなければ、前科がついてその後の生活に影響が出る可能性があります。

逮捕から起訴・不起訴までは時間の余裕もありませんので、痴漢事件を起こしてしまったらお早めに弁護士までご相談ください。早期釈放・不起訴のためには、一日でも早い対策が必要です。

痴漢などの性犯罪の示談交渉は、弁護士に依頼をしなければ成立させることは不可能とも言えます。

泉総合法律事務所では、様々な痴漢事件に取り組み、多くのケースで示談していただいております。お困りの方は、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。

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4.痴漢・逮捕に関するよくある質問

  • 痴漢をすると何日後に後日逮捕される?

    あなたが犯人であると特定されている上で現行犯逮捕はされなかったケースで、後に逮捕の必要性が生じた場合(被疑者が捜査に非協力的、逃亡・罪証隠滅のおそれがある等)には後日逮捕される可能性があります。
    この場合の逮捕は、犯行から数週間程度後になるでしょう。

    一方、痴漢の犯人が特定されていない場合は、警察官が目撃情報・防犯カメラ・Suicaの照合などの捜査を行い犯人を特定する必要があるため、後日逮捕には相当の日数がかかります。

    長い場合、半年〜一年後に突然警察から呼び出しを受け、後日逮捕されてしまうということが有り得ます。

  • 痴漢で逮捕後はどのくらい拘束される?

    悪質な痴漢や強制わいせつ罪にあたる痴漢の場合、逮捕から48時間以内に警察から検察庁に身柄を送致(送検)され、それから24時間以内には、検察官が裁判官に10日間の勾留請求をするかどうかを判断します。

    勾留請求を受けた裁判官に勾留決定をされると、最大20日もの期間勾留される可能性があります。

    しかし、示談成立した場合、検察官からしたら、以降は被疑者を身体拘束して捜査を進める必要性に欠けると判断されることも多いです。
    そのため、示談成立により身柄から釈放される可能性が高くなります。

  • 痴漢で逮捕された場合に示談する意義

    先述の通り、示談成立によりそもそも逮捕や勾留請求がされなかったり、勾留から早期に釈放されたりする可能性が高くなります。

    また、検察官が処分(起訴・不起訴)を決める上では、被害者の処罰意思の有無が重要な考慮要素となります。示談により被害者の処罰意思が無くなり、示談金も支払ったと示すことで、検察官が起訴を控える可能性が高まります。

痴漢の刑事弁護は泉総合法律事務所まで

痴漢など絶対にしないと思っていても、ふと魔が差して痴漢をしてしまった、ということは誰にでもあり得ることです。迷惑防止条例違反の行為といえども、逮捕・起訴されたりしますし、処分が罰金であっても前科となります。

不起訴などで最終処分を有利に導くためには、刑事弁護の経験豊富な弁護士に弁護依頼をしてください。

泉総合法律事務所は、刑事事件、中でも痴漢の弁護経験につきましては大変豊富であり、勾留阻止・釈放の実績も豊富にあります。

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