保釈に強い弁護士|弁護士に依頼する場合と依頼しない場合の違い
勾留中に起訴された者は引き続き被告人として勾留されますが、被告人は保釈制度を利用することで、身体拘束から解放されます。
保釈請求は被告人自身で行うことも可能なのですが、保釈の可能性を高めるには、刑事弁護人に依頼するべきです。
この記事では、保釈制度とは何か、保釈請求を弁護士に依頼すべき理由、保釈に強い弁護士の選び方を解説します。
1.保釈とは?
保釈とは、保釈金を支払う代わりに勾留されている被告人を釈放させる制度です。
保釈の対象となるのは被告人、つまり、起訴された段階にある者に限られます。
したがって、逮捕・勾留されているが、未だ起訴されていない被疑者は保釈の対象とはなりません。また、起訴された後に裁判が確定し、死刑、懲役刑又は禁錮刑の執行のために収監されている者も保釈を請求することはできません。
保釈を請求できるのは、被告人、弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹です。
保釈を請求して、これを認める決定が出された場合には、保釈保証金を納付しなければなりません。
これは、被告人が罪証隠滅したり、逃亡したりするのを防ぐための担保となります。(つまり、逃亡や罪証隠滅すれば保釈保証金は没収されます)
保証金の金額は、事件内容に応じて被告人毎に定められます。
最低金額の相場は150万円程度、200万円から300万円程度の金額がボリュームゾーン、500万円となると高額な部類といえます。
保釈中に、被告人が正当な理由なく裁判所に出頭しなかったり、証拠隠滅の恐れや逃亡の恐れが認められたり、保釈の際に付された適当な条件(住居の制限等)に違反したり、判決で確定した刑の執行を受けるために出頭しなかったりした等の場合には、保釈が取り消され、保証金が没収されます。
保釈の決定をするのは裁判官ですが、決定の際には検察官に意見を聴かなければなりません。ただし、その意見に拘束されるわけではありません。
保釈には3つの類型があるので、以下で解説します。
(1) 権利保釈
権利保釈とは、被告人が刑事訴訟法89条が掲げる事由(除外事由)に該当しない場合には、保釈を許さなければならないとする制度です。必要的保釈とも呼ばれます。
以下にあるように、重大犯罪の嫌疑・前科がある場合(1号、2号)、常習犯の嫌疑がある場合(3号)、氏名・住所が不明な場合(6号)は、定型的な不出頭・逃亡の恐れがあることから除外事由とされています。
また、罪証隠滅・証人威迫の恐れがある場合(4号、5号)も同じく除外事由です。
1号 | 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。 |
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2号 | 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。 |
3号 | 被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。 |
4号 | 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。 |
5号 | 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。 |
6号 | 被告人の氏名又は住居が分からないとき。 |
(2) 裁量保釈(職権保釈)
被告人に権利保釈が認められない場合でも、裁判所は裁量で被告人の保釈を認めることができます(刑事訴訟法90条)。
裁量による判断にあたっては、被告人による逃亡・罪証隠滅の危険の程度、身柄拘束の継続で被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上、防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮します。
裁量保釈を得るにも、被告人本人や弁護人による保釈請求が必要です。裁量保釈は、裁判官の職権で行われますが、何らの請求もないのに裁判官が職権を行使することはないので、保釈請求で職権発動を促す必要があるのです。
(3) 義務的保釈
勾留による身体拘束が不当に長くなった場合には、裁判所が保釈または勾留の取り消しを行う義務があるとされています(刑事訴訟法91条)。
ただ、「不当に」長いか否かは、時間的な長さだけでなく、事案の内容、裁判の難易、被告人の健康状態など諸般の事情を総合考慮する相対的な観念だとされており(※)、実際の適用例はほとんどないとされています。
※名古屋高裁昭和34年4月30日決定(高等裁判所刑事判例集12巻4号456頁)
2.起訴後に勾留された場合
(1) 保釈は弁護士に依頼を
起訴後勾留は、最初は2ヵ月です。その後1ヵ月単位で更新される可能性があります。
身柄拘束されてしまうと、しばらくの間、拘置所外に出る事は出来なくなります。そのため、学校や職場に行ったり、実家に帰り家族と会ったりすることができなくなります。
これらの事態を回避するためには、そもそも起訴されないよう弁護士に弁護活動をしてもらう必要があります。
それでも、事案によっては、検察官が起訴の判断を下すケースもあり、その場合は、起訴後も勾留が続きます。
起訴前から弁護士がついていた場合、その弁護士に依頼すれば、すみやかに保釈請求をしてくれることでしょう。
他方、起訴されるまで弁護士がついていなかった場合、すぐに弁護士に依頼し、私選弁護人となってもらい、保釈請求をしてもらうべきです。
何故なら、国選弁護人が決まり、最初の接見に来てくれるまでは日数がかかり保釈請求が遅れてしまい、その分、身体拘束が長引く可能性があるからです。
また、保釈請求をするには、証拠隠滅や逃亡の危険が乏しいことを示す様々な事情を提示して、裁判官を説得する必要がありますが、勾留されている被告人本人はもちろん、家族や友人でも、法的知識やノウハウがない一般の方が、このような刑事手続を実際に行うことは困難です。
保釈に万全を期すには、弁護士が書面で主張するだけでなく、家族など身柄引受人を裁判所へ同行し、弁護士と共に裁判官と面談をして、身柄引受けの意思を確認してもらうことが必要です。
このような手続を踏むことなく、弁護士を介さずに、証拠隠滅や逃亡の危険がないと主張しても、これを裁判官に信用してもらうことは実際上期待できません。
そのため、弁護士に依頼するのとしないのでは、保釈の認められる可能性に大きな違いが出てきます。
(2) 保釈に強い弁護士の選び方
弁護士に依頼するとはいうものの、弁護士は数多くいます。そのため、どの弁護士、どの法律事務所に依頼したらいいか迷う方がほとんどでしょう。
弁護士選びは非常に重要なので、より良い選択をするべきです。
弁護士選任のポイントとして、刑事弁護を多く扱っている弁護士を選ぶべきです。
弁護士は基本的にどの法律業務も扱うことが可能です。しかし、法律業務は数多くあります(具体的には、離婚、相続、労働、債務整理、刑事事件等)。
その中でも、専門分野をもうけている弁護士が存在します。このような弁護士はたとえば労働事件に関してはとても詳しいが、刑事事件に関してはそこまでではないといった場合も多々あります。
保釈を依頼する者としては、刑事事件を多く・専門的に扱っている弁護士に依頼することがベストでしょう。
(3) 保釈を利用する場合の弁護士費用
弁護士費用は法律事務所ごとに様々なので、保釈の弁護士費用がいくらとは一概には言えません。もっとも、起訴前と起訴後で弁護士費用を分けているところや、保釈に別途費用が掛かるところが多いようです。
泉総合法律事務所では、保釈請求22万円(税込)となっている他、以下のような弁護士費用になっています。
・着手金:22万円~(税込)
・報酬金:33万円(税込)
※ 裁判員裁判や、否認事件の費用は、応相談となります。詳細な料金については、ご相談時に弁護士よりご説明させていただきます。
※ 別途実費(郵便代、印紙代など)が発生します。
※ 接見日当2.2万円(税込)/1回、公判日当2.2万円(税込)/1回、保釈請求日当2.2万円(税込)/1回が発生します。
※ 接見禁止の解除5.5万円(税込)、保釈請求22万円(税込)、勾留阻止22万円(税込)などの成功報酬が別途発生する場合もございます。
※ 身柄事件に限り着手金33万円(税込)いただきます。
詳しくはご相談時に弁護士より説明させていただきます。
3.まとめ
泉総合法律事務所では、保釈請求を行ってこれが認められた事例が多く存在します。
[解決事例]
複数人が関与する詐欺に関わったとして逮捕・勾留→保釈・執行猶予
[解決事例]
建造物侵入、窃盗で逮捕・起訴→保釈が認められ執行猶予付きの判決
刑事事件を起こして逮捕されたしまった、起訴されてしまった方は刑事弁護経験豊富な泉総合法律事務所にご相談ください。初回は無料相談となっています。