強制性交等罪

強制性交等罪とは

強制性交等罪とは、13歳以上の男女に対して、相手が抵抗できないくらいの暴行または脅迫を用いて性交等をすることです。なお、13歳未満の男女に対しては、暴行また脅迫を用いなくても強制性交等罪が成立します。(改正刑法177条)

また、強制性交等罪に当たる行為によって相手にケガを負わせたり、死亡させた場合は、強制性交等致死傷罪が成立します。

これらの行為が“強制性交等罪”にあたります

◇女子を羽交い絞めにして、抵抗できない状態にしてから性交に及んだ
◇男子にナイフを突きつけて「騒ぐと殺すぞ」と脅して肛門性交に及んだ
◇何度も相手を殴打して、抵抗する気力を失わせてから性交に及んだ
◇お互い同意のうえで、10歳の女子小学生と性交に及んだ

準強制性交等罪とは

相手の心神喪失(※1)・抗拒不能(※2)に乗じ、または相手を心神喪失・抗拒不能にさせて、性交等に及んだ場合に成立します。

準強制性交等罪は、言葉のイメージからして、強制性交等罪を少し軽くした罪だと想像されるかもしれませんが、そうではありません。刑罰は強制性交等罪と同じであり、重く処罰されます。
典型的な例としては、アルコールや睡眠薬で泥酔状態にさせた、もしくは泥酔状態となっている相手と性交に及んだ場合です。

※1心神喪失(しんしんそうしつ):精神障害や意識障害などにより、正常な判断ができない状態のこと
※2抗拒不能(こうきょふのう):物理的もしくは心理的に抵抗できない状態のこと

強制性交等罪の刑罰

◇強制性交等罪:懲役5年以上20年以下の懲役 (準強制性交等罪も同じ)
◇強制性交等致死傷:無期懲役、または6年以上20年以下の懲役

一般的に、強制性交等罪の量刑を行う場合、次の項目を基準として総合的に判断します。

  • 強制性交等の結果の程度(重大か軽微か)
  • 示談の有無
  • 示談金額
  • 被害弁償の有無
  • 被害弁償額
  • 性交等の行為の態様(悪質性、計画性など)
  • 性交等の行為の動機

強制性交等罪に関する量刑相場について、これまでの泉総合での刑事弁護実績を踏まえてご説明します。

まず、平成29年7月に強姦罪が強制性交等罪に改正された際に、この罪は非親告罪となりました。そのため、まだ実務上の運用は定かではありません。
しかし、この改正の趣旨が「性犯罪の厳罰化」にあることは間違いありませんし、親告罪でなくなったため、起訴前に示談が成立すれば必ず不起訴になる、とは言えなくなりました。しかし、このことは,起訴前に示談しても絶対に不起訴にならない、ことを意味するものではありません。

また、後述するように仮に公判請求された場合には、示談が成立しているかどうかは、刑の重さを決める上で最も重視される要素です。そのため、被害者の示談の受け入れやすさや、示談交渉にかけられる時間の面からも、起訴される前から示談交渉を行うべきであることは、従前と変わりありません。

一方、示談が成立しなかった場合にはほぼ間違いなく公判請求され、裁判となります。裁判になった後は、犯行態様の悪質さなどが問題となりますが、強制性交等罪の場合には初犯であっても実刑となってしまう可能性もあります。

もし、同種の前科などがあれば、その可能性は高まるでしょう。

強制性交等罪の時効

犯罪行為が終わった時点から数えて、10年経過すると時効が成立します。

なお、強制性交等致傷罪は15年、強制性交等致死罪は30年経過すると時効となります。

ただし、起算点、つまりどの時点から時効が進行するのかという点は、色々と複雑なケースもあるため、弁護士に相談することをおすすめします。

強制性交等罪の弁護方針

◇罪を認めている場合

(1)とにかく被害者との示談成立を目指す

平成29年の刑法改正により、強姦罪から強制性交等罪へ変更され、同時に、告訴がないと起訴できない親告罪ではなくなりました。そのため、告訴を取り消してもらえれば確実に不起訴になるとは言えなくなりました。
しかし、裁判になり刑の重さを決める際に最も重視されるのが示談の有無であることは間違いありません。依然として示談成立を目指すべきであることに変わりはありません。

しかし、強制性交等罪の被害者は、加害者に対する憎悪感、恐怖心がとても強いです。そして、強制性交等事件において捜査機関が被害者の連絡先を加害者に教えることは絶対にありません。

そのため、弁護士を頼まずに示談交渉することは現実的に不可能です。被害者の心情に配慮した慎重な対応が必要とされるため、示談交渉の経験豊富な弁護士に任せることを強くおすすめします。

ちなみに起訴されてしまったあとでも、やはり示談成立の可否は重要です。示談成立したことをアピールして裁判官の心証を良くすることで、執行猶予付き判決を下してもらえる可能性が高まるためです。

(2)反省文・謝罪文を提出する

強制性交等の行為に及んでしまったという事の重大さを被疑者の方に理解してもらい、深く反省してもらいます。それから、「十分反省しています」という姿勢を強くアピールするためにも、被疑者の方に反省文を作成してもらい、検察官や裁判官にその書面を提出します。

また、被害者に対する謝罪文も被疑者の方に作成してもらい、猛省している姿勢をアピールしていきます。

(3)性障害専門医の診断を受ける

“どうしても自身の性欲を抑えられない・・・・”

こういった過剰な性欲をコントロールできず強制性交等の行為を繰り返してきた被疑者の方は、性嗜好障害(性依存症)という病気の可能性がありますので、性障害専門医の診察を受けるべきです。

性犯罪再犯防止のクリニックに通院して、その証拠となる診断書を検察官や裁判官に提出することで、不起訴処分や執行猶予を目指します。さらには、ご自身の今後の更生のためにも、必要な処置であると考えます。

(4)今後の家族による監督をアピール

「今後、二度と同様の行為をおこさないよう、被疑者をきちんと監督していきます」といった誓約書を被疑者のご家族に書いてもらい、検察官や裁判官に提出します。

(5)今後の被害者との接触を絶つ

“今後、被害者との接触は一切絶つ”と被疑者の方に約束してもらいます。被害者との示談書の中にもその旨を盛り込むことで、「今後また被疑者(加害者)が襲いに来るのではないか」という被害者の恐怖心や不安を少しでも軽減できるよう、配慮していきます。

(6)早期釈放を目指します

強制性交等の場合、ほとんどのケースでは逮捕されてしまいます。被疑者が身柄を拘束されている場合には、早期の身柄解放を目指して、以下の弁護活動を全力で行います。

・勾留請求をしないでもらえるよう、検察官に対して要求する。

(それでも勾留請求されてしまった場合には)
・勾留決定しないよう、裁判官に要求する。

(それでも勾留決定が下されてしまった場合には)
・勾留決定を取り消してもらうよう、裁判官に対して要求する。
いわゆる、“準抗告”を行う。

泉総合ではこれまでに、多くの勾留阻止、身柄解放の実績がありますので、どうぞご安心ください。

◇“相手の同意があった”と主張したい場合

「相手も同意のうえだった」と主張したい場合もあるかと思います。このような場合、合意のもとで行われたことが事実であれば、強制性交等罪は成立しません。

しかし、一般的に捜査機関は被疑者(加害者)よりも被害者側の「同意はなかった」という主張を重くみて、その主張に沿った捜査を進めていきます。

被疑者が「同意のうえだった」と強く主張して容疑を否認し続けたことで、捜査機関の心証を悪くしたり、逮捕されて身柄を拘束されてしまう可能性もあるため、慎重な対応が必要とされます。

また、仮に被害者は合意をしていないとしても、加害者が合意していると思っていた場合、そしてそう思うことに合理的な理由があると認められる場合にも、強制性交等の故意がないので、強制性交等罪は成立しません。

泉総合の弁護活動としては、“両者合意のもとで行われた”という点を検察官や裁判官に粘り強く主張していくことで、不起訴処分や執行猶予を目指していきます。