強制わいせつ事件

強制わいせつ事件では、被害者とされた側が当時は同意していたかがよく争われます。また、被害者が一定年齢以下である場合同意があっても無効であることから、相手の年齢を知らなかったという争いも時々あります。

平成28年3月18日東京地方裁判所判決

男性がネット掲示板で知り合った二名の女性に対する強制わいせつに問われた事案だが、そもそも当該掲示板が不特定の異性との間の性的接触を勧誘する性質のものであった事実のほか、被害者が被告人を自宅に招き入れていたり、逆に被告人宅に自ら上がり込んで性的接触に及んでいたりする事実など周辺事情を勘案して、被告人にはどちらの女性とも同意の上で(または、合意があると信じて)事に及んだ疑いが残るとされた。

また、物理的には強い接触をしていないこと、ネット上での個人情報晒し行為をほのめかしていたとはいえ元々ネットで知り合ったほぼ初対面の相手のため持っていた情報もたかが知れていたことから、より軽い暴行や脅迫も成立しないとされた。

平成26年9月26日大津地方裁判所判決

職場の飲み会のあと、ついてきた上司に自宅で同意なくわいせつ行為を受けたと被害者は主張したが、飲み会の時点で当該上司に手をつながれたり舌を入れる接吻をされたりしているにもかかわらず、タクシーで一緒に帰り自宅に上げている事実に合理的な説明ができないとされるとともに、少なくとも被告人が被害者の同意があると信じていたことは不合理でないとされ無罪となった事案。

平成26年7月18日神戸地方裁判所判決

児童養護施設の職員が入所者の少女と関係を持ったとされる事件。被告人は被害者が(同意があっても無効となる)13歳未満であることを知らなかったとして争ったが、たまたま被告人と被害者の誕生月が同じであったこと、当該施設では毎月職員と入所者の誕生会を行っており被告人と被害者がともに祝われている写真が存在したことなどの事情が重なり、被告人は被害者の誕生日を知っていたと認められ、責任を免れることはかなわなかった。