少年事件
少年事件は、通常の刑事事件と異なり、犯罪に対する刑罰ではなく非行に対する保護処分がなされる手続です。非行に走った少年が今後どのような教育と保護を受ければ更生できるかという観点から処分が決められるため、動機や精神異常の有無を含め、少年の心の内を明らかにすることがいっそう必要になります。
そのために、付添人を務める弁護士や手続に関与する専門家は、少年やご家族、関係者から包み隠すことなく事情を伺うことになるのですが、信頼の下に正直に吐露した内容が万一第三者に漏れるようなことがあれば、少年や関係者から率直なお話を伺うことはできません。
そのため、付添人や関係者は秘密保持の義務を負って任務にあたることになります。ご依頼の際には、隠しておきたいようなことも安心してお話してください。
平成24年2月13日最高裁決定
家庭裁判所から少年の精神鑑定を依頼され、これを行った医師がジャーナリストの求めに応じて、関係者の供述調書の写しや非公開である少年審判における少年の陳述調書の写し、さらには心理検査の結果や精神鑑定の結果等の記載された書面を閲覧させたため、少年及びその親族に対する秘密漏示罪に問われ、懲役4月執行猶予3年の刑が科された事案。
医師は少年に殺意がなかったことを明らかにするとか、非行に対する広汎性発達障害の影響について世の中に知らしめるなど、少年の利益のために行ったなどとして無罪を主張したが、秘密を明らかにした時期が、少年審判がまさに継続中で少年への処分が決められようとしている時点であったことを踏まえた上で、少年やその親族のプライバシーに対してあまりに配慮を欠く行為だったとして、裁判所は医師の行為を正当な行為とは認めなかった。