薬物事件

薬物事件は社会問題化している犯罪類型で、一般市民から著名人まで階層を問わず蔓延し、再犯率も高いという厄介なものです。被害者がいない、隠れて行われるという特殊性から捜査にも通常の犯罪とは異なる難しさがあり、手続上の問題が争われる事案も多く存在します。弁護活動上は量刑が大きな力点になります。

平成27年4月27日東京地方裁判所判決

覚せい剤使用で懲役1年6月執行猶予3年の判決を受けた3年後に再度自己使用と所持の罪を犯した事案。薬物事犯では再犯するごとに刑が重くなるのが通常で、この事案も執行猶予なしの懲役1年6月が言い渡された。

被害者のいない薬物犯罪では示談して反省を示すということができませんので、有利な情状を示すには困難が伴います。社会内での更生を図ることが許されるのは、基本的に一度だけですので、万一薬物犯罪に手を染めてしまった場合には、最初の一回で確実に薬と縁を切ることが何より大切です。

平成22年5月31日大阪地方裁判所判決

中国から覚せい剤687グラムを持ち込んだ運び屋に懲役8年、罰金500万円、追徴3000万円余が言い渡された事案。覚せい剤は違法薬物の中でも特に有害であり、一方で暴力団等反社会的組織の収入源ともなっていることから、厳しい取り締まりが行われており、量刑も非常に重いものがあります。