違法行為との認識ないまま、現金引き出しで出資法違反、否認

[事例 92] その他 その他
性別 男性 相談に至った
経緯
・家族が逮捕された
・冤罪を証明したい
・前科をつけたくない・不起訴にしてほしい
年齢 30代
職業 自営業
罪名 出資法違反
弁護活動の結果 不起訴

背景

いわゆる闇金業を営んでいたというものでした。本人は買取の仕事だと聞かされており、ただ単に入金された預金を引き出していただけであり、そのお金が、まさか闇金の返済金だとは認識しておらず、どうしたらいいのか分からないということで、相談に来られました。

弁護士対応 - 取調べでの否認主張を依頼者に指示、取り調べの受け方などもアドバイス。

ご依頼時には、共犯者との接触を絶対に避けてもらうことを強くお願いし、そのうえで警察署に意見書を提出しました。そして、強く否認していただくようアドバイスしました。
しかし、4か月後に逮捕されてしまい、しかも逮捕段階では主犯格扱いされていました。Aさんは、貸していた利率も知らなければ、他のメンバーのことも知らず、入金を担当していたが、他の仲間からは、買い取り業で、買取り金を入金しているだけなので、大丈夫であると言われていました。
弁護人として、これらの事実においては、出資法違反は成立しないと考え、本人としても否認の意向だったため、否認するよう指示し、その一方で、どういった取調べを受け、どういった調書がとられたかを毎回メモをとってもらい、接見も毎日のように行きました。

結果 - 嫌疑不十分で不起訴処分に。

結果、他の共犯者は全員起訴され、依頼者のみ不起訴(嫌疑不十分)となりました。

弁護士からのコメント

組織犯罪なので、逮捕は免れられないとは思っておりましたが、まさか主犯格として扱われているとは弁護士も考えておらず、共犯者に嵌められた可能性も考えました。一般的に、否認の場合、逮捕後は黙秘するようアドバイスすることが多いのですが、Aさんの話を聞くと、闇金と知らなかったことに合理的な理由があり、検察官の証拠にも耐えうる程度の供述をできると考えたため、取調べでは、黙秘ではなく、闇金と知らなかったことを強く主張し続けるようアドバイスしました。黙秘していても、共犯者から罪をなすりつけられれば、公判(刑事裁判)で否定しにくくなる可能性もあったことから、Aさんの言っていることが嘘ではないことを起訴前に分かってもらうことで、起訴を避けられる可能性もあると考えました。
テレビで逮捕時の映像が報道されるほどのものであり、弁護士としてもインパクトのある事件でしたが、依頼者のみが不起訴処分となり、主犯格扱いが一気に不起訴になるという、印象に残る事件でした。