性犯罪 [公開日][更新日]

「未成年者との淫行で逮捕」?淫行の定義と逮捕後の弁護

「未成年者との淫行で逮捕」?淫行の定義と逮捕後の弁護

未成年者との淫行で逮捕され、ニュースになる事例はあとをたちません。

同じ未成年との淫行でも、いくつかの罪名を聞くと思いますが、それぞれどのような犯罪なのでしょうか。

淫行に関する罪は、いくつかの法律、条例に規定されています。今回は、これについて説明します。

また、淫行によって逮捕された場合には、どうすればいいのかについても解説します。

1.淫行に関する刑事罰

(1) 各都道府県の青少年健全育成条例違反

まず、相手が同意していたとしても、青少年とみだらな性行為などを行った場合には、青少年健全育成条例違反となります。

青少年健全育成条例(青少年保護育成条例)とは、青少年の健全な育成を図ることを目的として、各都道府県が制定している条例です。

例えば、東京都であれば、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」、大阪府であれば、「大阪府青少年健全育成条例」という名称で、都道府県ごとに定められています。

この各都道府県の青少年健全育成条例には、それぞれ、青少年との淫行を禁止している条項及びこれに対する罰則があります。

各都道府県によって、規制の仕方などに違いもありますので、居住している都道府県の青少年健全育成条例を参照してください。

ただし、行為地の条例が適用になりますので、東京都在住の人でも、大阪で青少年と淫行した場合には、大阪府の青少年健全育成条例が適用されるので注意が必要です。

東京都青少年の健全な育成に関する条例

例えば、東京都の青少年健全育成条例では、第18条の6に「青少年に対する反倫理的な性交等の禁止」が定められ、これに違反すると、「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(第24条の3)。

第18条の6
何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。

第24条の3
第18条の6の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

大阪府青少年健全育成条例

また、大阪府の青少年健全育成条例では、第39条に「淫らな性行為及びわいせつな行為の禁止」が定められ、これに違反すると、「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となります(第52条)。

第39条
何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。
1 青少年に金品その他の財産上の利益、役務若しくは職務を供与し、又はこれらを供与する約束で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第二項に該当するものを除く。)。
2 専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。
3 性行為又はわいせつな行為を行うことの周旋を受け、青少年に対し当該周旋に係る性行為又はわいせつな行為を行うこと。
4 青少年に売春若しくは刑罰法令に触れる行為を行わせる目的又は青少年にこれらの行為を行わせるおそれのある者に引き渡す目的で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。

第52条
第39条の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

①青少年とは

「青少年」とは、18歳未満の者を言います。

②18歳未満だと知らなかったら

都道府県ごとに、条例の内容は異なります。

過失によって、相手が18歳以上だと知らなかった場合でも、過失犯処罰規定がある条例の場合には、処罰されることになります。

過失犯の処罰規定がない都道府県では、18歳未満だと知らなかった場合には、原則として処罰されません。

しかし、「未必の故意」は故意犯ですので処罰の対象です。この場合の未必の故意とは、「18歳未満かもしれないが、それでもかまわない」という考えのことで、通常ならば、18歳未満だと認識するだろう状況があれば、未必の故意が認定される可能性が高くなります。

③みだらな性行為とは

「みだらな性行為」と「淫行」とは、ほぼ同義です。

最高裁判所判例によると、「淫行」とは、「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく,青少年を誘惑し,威迫し,欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか,青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性行為類似をいうもの」とされています。

④わいせつな行為とは

「わいせつ」とは、「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」と定義されています。

⑤青少年同士の場合

青少年は、性への判断能力が不十分です。そのため、成人が、青少年を性の対象とすることを禁じることが条例の主な目的です。

そこで、多くの都道府県では、青少年同士での淫行の場合には罰しないとしています。

例えば、東京都の青少年健全育成条例では、第30条に「この条例に違反した者が青少年であるときは、この条例の罰則は、当該青少年の違反行為については、これを適用しない」と定めています。

さらに、大阪府の青少年健全育成条例でも、第61条に「この条例の罰則は、青少年に対しては、適用しない。ただし、青少年が営む営業に関する罰則の適用については、この限りでない」との定めがあります。

もっとも、このような免責規定を設けていない都道府県もあります。

この場合には、双方ともが、青少年を相手にしたということで、双方が処罰対象であり、少年事件として扱われます。

⑥結婚を前提としていた場合

現在の民法では、男性は18歳から、女性は16歳から結婚できます。婚姻中や結婚を前提にした真摯な交際であれば、「淫行」にはなりません。

婚姻中に準じる真摯な交際関係と言えるかどうかは、口先だけではなく、親の了承や、交際の期間、態様などによって判断されることになります。

(2) 児童淫行罪

児童淫行罪は、児童福祉法に定められています。

児童福祉法第34条1項6号では、「児童に淫行をさせる行為」を禁じており、これに違反した場合には、「10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又は懲役と罰金の併科」という厳しい罰則が科されています(60条1項)

①児童とは

児童とは、「18歳に満たない者」のことです(児童福祉法第4条)

②18歳未満だと知らなかったら

過失犯の処罰規定はないので、18歳未満だと知らなかった場合には、原則として処罰されません。

しかし、「未必の故意」は故意犯ですので処罰の対象であることは、青少年健全育成条例違反の場合と同じです。

なお、児童を使用する者は、過失のない場合を除いて、児童の年齢を知らないことを理由として、処罰をまぬかれることができないとされています。

③「淫行をさせる行為」とは

淫行を「させる行為」の解釈について、最高裁判所は、

「直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をいうが、そのような行為にあたるか否かは、行為者と児童の関係、助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯、児童の年齢、その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断するのが相当である」

と判示しています。

親、親族、教師などが、児童に対して、心理的な影響力を行使して、淫行をさせる行為について、特に厳しく罰することになります。

④青少年健全育成条例との関係

児童淫行罪と青少年健全育成条例違反は、法条競合のうち、特別関係にあり、児童淫行罪が成立する場合には、青少年健全育成条例違反は成立しないという関係になっています。

(3) 児童買春罪

お金を払って、児童と性交等もしくは性交類似行為を行うと児童買春罪になります。いわゆる「援助交際」などもこれに当たります。

なお、刑法177条によると、「性交等」とは、性交、肛門性交、口腔性交を含みます。

児童買春罪は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(通称:児童ポルノ禁止法もしくは、児童買春処罰法)」の第4条に「児童買春をした者は、5年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する」として定められています。

(4) 強制性交等罪及び強制わいせつ罪

相手が13歳未満の場合には、同意があっても重い罪に問われます。

13歳未満の者に、性交、肛門性交、口腔性交(性交等)をした場合には、同意があっても、刑法177条によって、強制性交等罪(以前の「強姦罪」)になります。刑罰は、5年以上の有期懲役です。罰金刑はありません。

13歳未満の者に対して、わいせつな行為をした場合には、同意があっても、刑法第176条の強制わいせつ罪になります。刑罰は、6月以上10年以下の懲役で、罰金刑はありません。

強制わいせつ罪における「わいせつな行為」とは、「相手方が性的な羞恥・嫌悪感情を抱くと一般に考えられる行為」のことを言います。

2.逮捕された場合の刑事手続とやるべきこと

(1) 逮捕後の刑事手続きの流れ

①逮捕(合計72時間)

短期的な身柄拘束です。

被疑者を逮捕後、警察は、48時間以内に検察官に事件を送致します(送検)。

②勾留請求

検察官は、送検を受けてから24時間以内に、裁判所に勾留請求します

③勾留決定(原則10日最大20日)

裁判所の勾留決定によって「勾留」という長期の身柄拘束がスタートします。

④処分決定(起訴or不起訴or略式処分)

検察官が処分を決めます。不起訴になった場合には、刑事手続きは終了です。

略式処分になった場合も決められた罰金を支払えば、刑事手続きは終了ですが、前科となります。

起訴された場合には、刑事裁判を受けることになります。

⑤起訴後勾留

起訴後の勾留期間は、1回目は2ヶ月間で、その後は、裁判が終わるまで1か月ずつ更新されて裁判が終わるまで続きます。

保釈請求は可能です。

⑥裁判

裁判では、執行猶予の獲得を目指すことになりますが、児童淫行罪・児童買春罪では、初犯でも実刑になることもあります。

(2) 刑事手続のためにやるべきこと

逮捕された場合にもっとも大事なことは、早急に被害者と示談することです。

逮捕中・勾留中に、被害者と示談できれば、不起訴になる可能性が高まります。早期に示談ができると、勾留期間の満了前に不起訴の決定が出て、釈放されることもあります。

不起訴になることが難しいと考えられる事案の場合でも、刑事裁判において、執行猶予を得られるように、また、執行猶予も難しい事案であっても、実刑が少しでも短くなるように、情状のための弁護活動が必要です。

裁判での情状の中でも、もっとも重要なのは、被害者が少しでも被害弁償を受けているかどうか、つまり、示談が成立しているかどうかということになります。

もっとも、児童に対する犯罪の場合、示談の相手は保護者になります。示談は法律行為ですので、民法の定めにより、親権者が行います。

そして、自分の子供が性的な被害に遭えば、保護者が感情的になるのは当然のことです。そのため、示談が難航することも多くあります。

3.性犯罪を犯してしまったら泉総合法律事務所へ

最近では、性犯罪に対する厳罰化の流れがありますから、相手が同意していても、年齢確認をするなど自衛することが重要です。

また、示談が難しいことも多いので、このようなケースでの示談交渉に慣れた弁護士に依頼したほうがよいでしょう。

18歳未満の者との淫行で逮捕された場合には、早急に示談して、不起訴を獲得するためにも、早めに弁護士に相談してください。

泉総合法律事務所の弁護士は、性犯罪を犯してしまった被疑者の方の弁護も多数承ってきました。初回のご相談は無料となっておりますので、実績豊富な弁護士にぜひ一度ご相談ください。

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