刑事事件簿 [公開日]2017年7月20日[更新日]2018年4月2日

児童買春で逮捕と釈放-勾留阻止活動に成功したケース

児童買春の釈放-勾留阻止活動に成功したケース

1.児童買春の令状逮捕がなされたケース

〇月〇日の朝、○○警察署少年課の刑事が4,5名、被疑者の自宅を訪問し、そのまま警察署に連行して警察署で児童買春(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反)で逮捕令状を執行して逮捕となるケースがありました。

相手方の少女の補導が契機となり、メールの解析などで被疑者の特定に至ったようです。

2.令状逮捕・児童買春の勾留阻止の難しさ

その日の夕方、家族が泉総合法律事務所に来所され、刑事弁護を依頼されました。

家族が少年課刑事から簡単に事情を聴いていたことから、その事情を聞き取り、弁護方針を立てました。当面の目標は勾留を阻止して釈放し、会社の解雇を避けることです。

しかし、一般論では、令状逮捕の場合、検察官は(警察との関係を考慮してか)勾留請求を行うことが多いです。加えて、児童買春は検察官も裁判官も非常に厳しい対応をするため、検察官が勾留請求することは確実であり、検察官の勾留請求を受けた裁判官も勾留決定する可能性が高いことを伝えたうえで、刑事弁護を受任しました。

3.迅速な勾留阻止と釈放活動

ご家族に刑事弁護を依頼されたその場で、身元引受書を作成してもらいました。どのような内容かは弁護士毎に異なるでしょうから、ノウハウとご理解ください。

その後、被疑者が逮捕され留置されている警察署に急行しました。接見では被疑事実を確認するとともに、今後の手続きの流れを説明し、児童買春に対する検察官や裁判官の見方は厳しいものがあるので勾留の可能性が極めて高いことを伝えたことはもとよりです。

その上で、翌日の検察官の取り調べへの対応を被疑者と協議し、対策を練ることにしました。検察官の取り調べに対してどう回答するかなどを助言して、意見書起案に備えて事務所に戻りました。検察官が勾留請求を行わず釈放するように判断してもらえるような意見書を工夫しながら作成しました。

もっとも、嘘を書くことは当然いたしません。

【参考】勾留阻止/釈放活動

4.検察官の取り調べ当日、釈放判断

これらの書類作成を終えて翌日を迎えました。検察官の取り調べ当日に、弁護人選任届と被疑者作成の書類、弁護士(弁護人)作成の意見書を検察庁に提出し、検察官の判断結果を待ちました。

午後3時ごろ当所から検察庁担当検察官に連絡を入れたところ、勾留請求をせず釈放との返答がきました。

児童買春は通常勾留と考えていいと思いますし、現に最近取り組んだ2件の児童買春の事案(事情はそれぞれ異なることは言うまでもありません)でも最善を尽くしましたが10日間の勾留となりました。検察官は担当検察官によって判断が異ならないように内部で基準を設けており、今回は被疑者作成の書類内容や家族の身元引受書の内容が決め手となって検察官が勾留請求を見送り釈放との判断になったものと考えています。(上記は個人的見解です。)

5.釈放後の弁護活動

釈放されると、在宅事件として警察や検察官の取り調べを受けることになります。児童買春は、社会の善良な性風俗を保護するためという名目で理論的には被害者は社会であるため、被害者が個人である痴漢と異なり示談により不起訴とはなりません。しかし、実際には少女の両親との示談を成立させることによって不起訴処分となることが少なからずあります。

痴漢の場合は示談を成立させれば初犯なら不起訴と断言していいのですが、児童買春は示談しても不起訴とは断言できません。他の事情を考慮して不起訴にするか略式罰金刑にするかを検察官が判断することになります。もっとも、児童買春の相手方少女が複数に上る場合には略式罰金刑ではなく起訴、正式裁判となるのが通常です。

もっとも、示談できない事例でも不起訴になったこともあります。一般的に言えば示談できたとしても不起訴のハードルは低くはなく、痴漢の場合とは異なるとご理解いただいた方がよろしいと思います。

参考:児童買春事件における示談の位置づけ—示談したから安心ではない!?

6.児童買春で逮捕されたら泉総合法律事務所へご相談ください

児童買春は、ホテル街などでの職務質問での検挙以外は令状逮捕となり、通常は朝自宅に警察官が訪問して警察署に連行し、逮捕令状を執行するというパターンです。逮捕が早い時間ですと、翌日検察官の取り調べとなり、検察官が勾留請求すれば通常裁判官は10日間の勾留決定をしてしまいます。

その意味では逮捕されたら直ちに弁護士、それも刑事弁護経験豊富な弁護士に刑事弁護を依頼することを強くお勧めします。

必ずしも検察官の勾留請求を阻止して釈放できるとは保証はできませんが、今回のケースのように逮捕翌日の刑事弁護依頼でなければ、検察官が勾留請求してしまい、結果として勾留阻止や釈放が難しかったのではと思っています。

児童買春の釈放、勾留阻止の可能性は高いとは言えませんが、最善を尽くしたいのであれば刑事弁護経験豊富な弁護士に依頼することをお勧めします。泉総合法律事務所は様々な刑事弁護のノウハウがございますので、ぜひ一度お早めにご相談ください。

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