対向車と道の譲り合いで揉め、相手を叩いてしまった→不起訴

[事例 450] 暴力事件 暴行
性別 男性 相談に至った
経緯
・前科をつけたくない・不起訴にしてほしい
・示談したい
年齢 40代
職業 会社員
罪名 暴行
弁護活動の結果 不起訴

背景

Aさんの自宅周辺は細い道路が多く、出かけた先からAさんの自宅に戻るには、車がすれ違うのがやっとの道路を通らなければいけませんでした。

その日、いつものようにAさんは車を運転し奥さんと買いものに出かけました。Aさんが自宅付近にあるその細い道路に侵入してしばらくすると大型バイクが向こう側から走ってきました。Aさんは車を左いっぱいに寄せましたが、大型バイクは道路端に車両を避けることなくAさんの車の前でとまってしまい、互いにすれ違うことができない状態になってしまいました。

Aさんはバイクの運転手にもっと端に寄るよう言いましたが運転手はAさんの求めに応じませんでした。Aさんの後ろには後続車が何台も溜まってしまいました。

Aさんは車から降り、直接バイクの運転手にもっと端に避けるよう言いましたが、バイクの運転手は無理の一点張りでした。そこで、かっとなったAさんはバイクの運転手のヘルメットのシールドを叩いてしまいました。

バイクの運転手は警察を呼び、Aさんは警察で事情を聞かれることになってしまいました。

弁護士対応 - 被害者との示談交渉、検察官への報告書作成

警察の取調べを受けてすぐAさんご自身が相談に来られ、依頼を受けました。

Aさんから事情を聞くと、よくある交通トラブルでAさんだけに非がある事案ではありませんでしたが、Aさんは手を出してしまったことに対しては自分に非があると反省していました。Aさんは被害者との示談を希望していたので、依頼を受けてすぐに警察に被害者の連絡先の開示を依頼し、開示を受けて交渉を開始しました。

しかし被害者の被害感情は強く、また被害者はヘルメットを1回叩いたという行為に対する損害賠償としては法外な金額を要求してきたため示談交渉は決裂しました。

そこで、Aさんは十分に反省し謝罪の気持ちがあったこと、今回の示談が不成立になったのは被害者の不誠実な交渉態度やゆがんだ被害感情に起因することなどを報告書にまとめて、検察官に提出しました。

結果 - 不起訴処分

結果として、不起訴になりました。

弁護士からのコメント

犯罪の被害にあった被害者の中には、被害回復目的ではなく金銭目的で示談金を釣り上げてくる方や、受けた行為に対して異常な被害感情を持った方もいます。

被害者が犯罪で受けた損害は填補されるべきですし、加害者へ謝罪を要求するのも当然のことです。しかしながら、加害者だからといって被害者からの当該犯罪行為を超えた要求やゆがんだ被害感情を全て受け入れる必要ないのではないかと思われます。

謝罪し示談をお願いする立場であるならば一定の譲歩は免れませんが、あまりに不当な要求をされた場合には示談を諦めることも重要な判断でしょう。

依頼者が反省し謝罪の気持ちをもって誠実に交渉していることが前提になりますが、今回のように相手の要求が不当であった場合や被害者の被害感情が事実に基づかず被害妄想に過ぎない場合などは、積極的に示談交渉の経過、特に被害者の交渉態度や言動を報告書にまとめ検察官に提出することにより、検察官の判断を不起訴に傾けることもできるケースも少なくありません。

示談交渉の当初から弁護士が間に入っていれば、相手の不当な要求を拒めますし、交渉決裂してしまったとしても、その交渉経過を報告書にまとめて検察官に提出することもできます。
不当な条件で示談してしまわないためにも、まずは弁護士にご相談いただければと思います。