病気が原因による犯行であることを主張→無事に釈放、不起訴処分

[事例 104] 暴力事件 器物損壊
性別 女性 相談に至った
経緯
・家族が逮捕された
年齢 30代
職業 主婦
罪名 器物損壊
弁護活動の結果 不起訴

背景

ご主人が相談にいらっしゃいました。ご主人の妻であるAさんが、昨日突然逮捕されてしまった、というものでした。他人の車を壊してしまった、と警察官からは聞かされたとそうです。
ご主人には心配事がありました。実は奥様は以前から精神的な病気を患っており、その影響でこのような事件を起こしてしまったのではないか、と思っていたのです。
ご主人の不安を解消するにも、事件の詳細を把握するにも、まずはAさんご本人に面会に行くことが重要です。相談にいらした数時間後、私はAさんと面会しました。

弁護士対応 - 身柄開放活動、被害者との示談交渉

Aさんと面会して話を聞きましたが、Aさんは自分がどのようにして車を壊す行為に及んでしまったのかをはっきり覚えていない状況でした。そこにはご主人が心配されていたとおり、病気の症状が影響していました。しかし、Aさんは取り調べの際に防犯カメラに映った自分の写真を見せられており、事件を起こしてしまったこと自体は間違いなさそうでした。
私は、病気の影響があること、その病気であれば身体拘束を続けても最終的な処分は不起訴となるのは間違いないだろうと感じました。そこで、それを理由にまずは身体拘束からの解放のための活動をしました。しかし、残念ながら裁判所はそれを認めず、勾留が決定してしまいました。
次に、被害者の方との示談交渉を始めました。そして、幸いにも病気の状況等をお話ししたところ、被害者の方は、示談金より病気の治療にあててほしい、と修理費のみでの示談を了承してもらえました。

結果 - 身柄解放、不起訴処分になった

結果として、ご依頼から1週間後には釈放され、その後正式に不起訴処分となり、前科がつかずに済みました。

弁護士からのコメント

精神的な病気の影響で刑事事件を起こしてしまった場合、刑事責任を問われないケースがあり得ます。その多くは、統合失調症の方です。いわゆる責任能力を欠くためです。ただ、この理由で不起訴になるには、捜査機関が選んだお医者さんの鑑定を受けたりする必要があり、身体拘束は長引きがちです。
今回の事件は幸いにも器物損壊という比較的軽微な事件でした。そして、この事件は親告罪といって、検察官が起訴するには被害者の「告訴」が絶対に必要な性質の事件です。つまり、被害者が示談を受け入れ「告訴」を取り消してもらえれば、必ず不起訴になります。今回は身体拘束の長期化を防ぐことを優先し、被害者との示談活動を行い、その結果、10日の勾留満期日を待たずして、Aさんを社会に戻すことができました。