運転中のトラブル、示談がうまくいかない

[事例 35] 暴力事件 傷害、傷害致死
性別 男性 相談に至った
経緯
・前科をつけたくない・不起訴にしてほしい
・示談したい
年齢 50代
職業 会社員
罪名 暴行・傷害
弁護活動の結果 不起訴

背景

Aさんは自動車を運転していました。その際、前の車に若干無理に割り込むような形で運転してしまいました。その車の運転手がそれに怒ってしまったのか、後ろからAさんの車をあおるように運転し始めました。
Aさんは怖く思いながらも、そのまま走っていました。すると、その車がAさんの車を追い越し、すぐにスピードを落とし、Aさんの車を止めました。車から男性が降りてきましたが、Aさんは恐ろしくて窓を開けたりせずに無視していました。しかし、その男性はいつまでも車の前をうろうろしていました。Aさんはパニックになってしまい、少しずつ車を前進させました。すると男性はボンネットに乗るような姿勢になりましたが、Aさんは怖くてそのまま車を走らせてしまいました。しばらく男性を乗せたまま走ってしまいましたが、通行人などに言われて止まりました。

弁護士対応 - 迅速に示談交渉をスタートさせ、被害者からの信頼獲得に重点を置いた。

Aさんは、事件から1年ほど経過したのちに、当事務所を訪れました。別の弁護士に被害者との示談交渉を依頼していたが、うまくいかないので弁護士を変えたい、というご依頼でした。
受任後、まず検察官に連絡をしました。検察官は、前の弁護人の活動の遅さにしびれを切らしており、早く示談をして欲しい、と言ってきました。
そこで、あらかじめ検察官が聞いていた被害者の連絡先を教えてもらい、その週末に、被害者とお会いすることになりました。被害者は、前の弁護士に対して相当不満があったようで、そのことを話し続けました。示談をするにはその不満を理解し、私たちはそうではないことを被害者に分かってもらう必要がありました。
結果的には1時間半にわたって話が続きましたが、最終的にはその日のうちに示談をしてもらうことができ、また、「Aさんが刑事処罰されることは求めない」という上申書も書いてもらうことができました。

結果 - 不起訴処分を獲得。

示談書と上申書を提出した結果、検察官はAさんを不起訴にしました。

弁護士からのコメント

示談交渉のやり方は、弁護士それぞれです。どうしてもそのやり方と被害者が合わないというケースもあるかもしれません。その場合、弁護士を変えるというのも一つの選択肢だと思います。
こちらの都合を一方的に話し、強権的に示談をまとめる弁護士もいるようですが、私はそれには反対です。そのようにある意味無理やりまとめても、あとあと「そんなつもりはなかった」「そんな説明は受けていない」と問題が起きてしまうからです。私は、被害者が誤解なく理解したうえで、納得して示談してもらえるよう、努力すべきだと思います。
今回の被害者は極端な例かもしれませんが、もしかしたら、「前の弁護士は関係ないですから」「その話は置いておいて」などとさえぎってしまっていたら、示談を受け入れてはもらえなかったかもしれません。