車を運転中に歩行者を跳ねて死亡させてしまった→執行猶予判決
[事例 528] 交通事故 人身、死亡事故
性別 | 男性 | 相談に至った 経緯 |
・示談したい ・執行猶予にしてほしい |
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年齢 | 50代 | |||
職業 | 会社役員 | |||
罪名 | 過失運転致死 | |||
弁護活動の結果 | 執行猶予 |
背景
Aさんは、自動車を運転中に歩行者を跳ねて死亡させてしまいました。
事故から間もない段階でAさんご本人が当事務所に相談に来られ、弁護のご依頼をお受けしました。
弁護士対応 - 被害者遺族の弁護士対応
Aさんは任意保険に加入していたため、保険会社を通じて被害者の遺族側との話し合いが行われていましたが、遺族側の処罰感情が強く、交渉は難航していました。
Aさんご本人が謝罪文を作成して遺族側にお渡しすることで謝罪したいという意向がありましたので、遺族の代理人弁護士に送付しましたが、遺族側は読む気にはなれないと言っているとのことで、遺族にお渡しいただくことはできませんでした。後日、Aさんは起訴されてしまいました。
裁判では、Aさんが対人対物無制限の任意保険に加入しており、いずれ今回の事故の賠償が十分になされることが見込まれることなどを主張したほか、Aさんが謝罪文を書いて謝罪しようとしたことを示すために、謝罪文のコピーを裁判所に提出しました。
また、Aさんは今回の事故を契機に二度と車の運転をしないという決意をしており、持っていた車も処分していましたので、車の売却の際の契約関係書類のコピーも裁判所に提出しました。
結果 - 執行猶予判決
検察官からは、禁錮1年10月が求刑されましたが、保険会社を通じて弁償がされる見込みがあることや車を処分して二度と車を運転しないことを約束していることなどのAさんにとっての有利な事情が考慮され、禁錮1年10月・3年間執行猶予という判決が宣告され、実刑を避けることができました。
自動車事故の場合、任意保険に加入していれば、通常は保険会社が被害者側と交渉を行いますし、賠償金も保険会社が支払うことになりますが、加害者本人が謝罪をすることができるのであればそれが有利な事情として刑事処分の上で有利に考慮されることがあります。
そのため、直接謝罪するか、謝罪文をお渡しするかは事案ごとに検討する必要がありますが、いずれにしても謝罪を行うことができるのであれば行った方がよいといえます。