少年事件・傷害→保護観察処分

[事例 88] 少年事件 少年事件
性別 男性 相談に至った
経緯
・家族が逮捕された
・示談したい
年齢 10代
職業 学生
罪名 傷害
弁護活動の結果 保護観察処分

背景

A君が、他の同級生とともに、別の同級生に対して暴行を加えケガをさせた傷害の少年事件です。A君は逮捕され、逮捕直後に家族から依頼を受けました。
<少年のプライバシー保護のため、事件詳細の記載は差し控えさせていただきます。>

弁護士対応 - 家庭裁判所の裁判官や調査官と粘り強く交渉

逮捕直後の依頼であったことや、長期の身柄拘束によって学業に悪影響が出る可能性があったため、勾留阻止活動を行いました。しかし、共犯者がいる事件で、かつ当事者間の供述に若干の食い違いがあったため、証拠隠滅を防ぐという観点から、勾留はなされてしまいました。
その後、事件は家庭裁判所へ送致され、観護措置決定がなされたため、少年は鑑別所へ入ることになりました。しかし、付添人(少年が家庭裁判所へ送られると、弁護士は、「弁護人」ではなく、「付添人」と呼ばれるようになります。)として家庭裁判所の裁判官や調査官と粘り強く折衝を続けた結果、観護措置は取り消され、通常少なくとも4週間鑑別所での調査がなされるところを、大幅に短縮した期間で身柄拘束を解いてもらい、在宅での調査となりました。
また、被害者の両親の被害感情が特に強く、示談は成立しませんでしたが、共犯者を含めた少年3人及びその母親から被害者の両親に対して、謝罪する場を設けました。

結果 - 短期の保護観察処分に。

この事件では、少年審判が開かれることになりましたが、被害者の両親に対して謝罪するなどA君が非常に反省していること、両親が今後きちんと監督することを約束したことなどから、短期の保護観察処分となりました。

弁護士からのコメント

少年事件において、少年が逮捕された状態で事件が家庭裁判所へ送られると、そのまま鑑別所での身柄を拘束が続き、少年の更生への可能性を調査されるのが一般的です。
鑑別所での身柄拘束期間は、基本的に4週間、最大で8週間となりますので、家庭裁判所へ送られる前の20日前後の身柄拘束期間を合わせると、かなりの長期間、少年は身柄を拘束されることになります。
そのため、学業に支障が出る場合も多いですから、家庭裁判所になるべく早く解放してもらえるよう、働きかけます(ただ、事件の性質や、少年を監督してくれる人がいない場合など、鑑別所で少年が自分自身と向き合う方が、少年の更生に資する場合もあります)。
また、少年事件においては、少年の更生、という観点が最も重視されますので、少年ときちんと話をして、事件のこと、自分のこと、被害者の事などをよく考えられるよう、促すことも重要です。