大麻を密輸しようとした大麻取締法違反→求刑5年のところ3年に減刑

[事例 82] 薬物事件 大麻
性別 男性 相談に至った
経緯
・起訴された・釈放してほしい
年齢 20代
職業 パート・アルバイト
罪名 大麻取締法違反
弁護活動の結果 減刑

背景

Aさんは、友人に誘われて、大麻を密輸入する計画に参加してしまいました。友人3人とともにロサンゼルスに渡航し、数日間観光を楽しみました。そして、帰国する際、大麻の樹脂を、ラップで小分けにし、それをいくつも飲み込み、体内に隠して密輸しようとしました。
しかし、理由は分かりませんが、税関審査の際に発覚してしまいました。Aさんたちはいったん大麻を体外に出すために入院措置が取られ、全部出し終わったと確認後、逮捕されました。
Aさんの母親は、突然Aさんと連絡が取れなくなり、非常に心配していました。そこへ、Aさんの友人から連絡があり、Aさんのこの状況を伝えられました。母親はすぐに弁護士をつけなければと考え、当事務所へとご相談に来られ、ご依頼いただきました。

弁護士対応 - 依頼後、すぐにAさんと接見。取調べにおける注意点をアドバイス。

薬物の密輸事件は、非常に重大な事件です。大麻は薬物事犯の中では軽く処罰されがちな薬物ですが、密輸の場合にはまず執行猶予は付きません。本当に罪を犯してないような場合、不起訴になるためには黙秘をしてもらうことがセオリーです。
受任後直ちにAさんに接見し、状況を確認しました。その結果、Aさんは人間関係のしがらみなどから誘われて仕方なしに行ったことが分かりました。そこで今回の事件の場合、あえて黙秘の指示はしませんでした。3人の共犯者がともに逮捕されているため、彼らが話してしまえばAさんだけ黙秘しても無意味であり、その場合、Aさんだけが罪が重くなる危険があったためです。また、Aさんを犯行に誘ってきた友人は、いろいろな事情から罪を認めないことが予想されました。
そこで、Aさんには、自分を誘ってきた友人のことを含め、全て本当のことを話してもらうことにしました。そして、Aさんの話をもとに捜査が進むようにコントロールしました。

結果 - 求刑5年だったところ、3年の実刑判決となった。

結果、Aさんを含め、共犯者全員が起訴をされ、全員が実刑の判決を受けました。Aさんは求刑5年のところ、3年の実刑判決でした。

弁護士からのコメント

薬物事件の中で、密輸入は最も重く処罰される犯罪類型です。この犯罪がなければ、国内に薬物が存在しなくなります。国内での使用や所持など全ての薬物事件の原因に当たる犯罪だから重く処罰されるのです。
今回の事件でも大麻の量を考えると、これまでの大麻の輸入事件の刑の重さから見て、実刑はやむを得ないものだったと思います。
今回のAさんは、薬物と分かって輸入してしまいましたので、罪に問われるのは致し方ありません。しかし、薬物の密輸組織は、中身が違法薬物であることを知らない人を運び人として利用することが多々あります(ブラインドミュールと呼ばれます)。「海外でスーツケースを受け取り、帰国後に〇〇さんに渡してくれと頼まれたら、中身が覚せい剤だった。」「〇〇へのお土産だ、と渡されたお菓子の箱の中身が偽装された覚せい剤だった。」というケースです。
この場合、捜査段階でどのような話をするのか、そもそも黙秘をするのかが、起訴されるかの大きな分かれ目となります。このような事件に巻き込まれてしまった場合には、経験のある弁護士に一刻も早く依頼して、アドバイスを受けてください。今後の人生が大きく変わってしまいます。