オレオレ詐欺→示談書や嘆願書を裁判所へ提出して、執行猶予付き判決を獲得

[事例 117] 財産事件 詐欺
性別 男性 相談に至った
経緯
・家族が逮捕された
・示談したい
・接見・差入れしたい
年齢 20代
職業 自営業
罪名 詐欺(オレオレ詐欺)
弁護活動の結果 執行猶予

背景

今回、Aさんの刑事弁護を依頼したのは、東京から離れたところに住むAさんのお父さんでした。お父さんの話では、①Aさんはオレオレ詐欺の出し子の役で東京都内の警察署で逮捕勾留されていて、②弁護人以外の者が面会できないという接見禁止決定が出ている状況で、Aさんの状況が全くわからない、③国選弁護人の先生がいるけど、ほとんど連絡を取ることができなく、被害者との示談交渉をやっているのか否かが分からない状況でした。
そこで、私が、お父さんから依頼を受け、Aさんに接見した結果、被害者と示談活動を一切しておらず、既に詐欺罪で起訴されていることが判明した。また、Aさん自身も国選弁護人の先生がやる気がないように見えていて、実はとても困っていたとのことでした。

弁護士対応 - 被害者との示談交渉、示談書や嘆願書を裁判所へ提出

Aさんは、逮捕当初から自分の犯行を全て認め、被害者と示談をしたいと考えていました。しかし、Aさんは、被害弁償をするだけの現金・預貯金などがありませんでした。そこで、Aさんは、Aさんのお父さんに、被害弁償のお金を借りることにしました。
私が、お父さんから用意してもらったお金をもとに、被害者へ連絡をとり、謝罪の上、最終的に示談に応じていただきました。また、被害者に、Aさんの謝罪の気持ちが伝わった結果、Aさんに対し一切刑罰を求めない旨の嘆願書もいただくこともできました。
その後、被害者との示談書や嘆願書を証拠として裁判所へ提出しました。

結果 - 執行猶予付き判決を獲得

結果として、Aさんは執行猶予付き判決を受けることができました。(懲役3年執行猶予5年)

弁護士からのコメント

オレオレ詐欺は、起訴された場合、単なる「出し子」の役でも厳罰(実刑判決)に処せられる可能性が高い犯罪です。そのため、執行猶予付き判決を目指しているAさんとしては、被害者との示談は当然のこと、Aさんの反省やAさんの更生を監督する情状証人(お父さん)が不可欠でした。
Aさんの場合は、上述のとおり、被害者との間で示談が成立し、厳罰を求めない嘆願書をいただくこともできていました。また、裁判の前に、Aさんやお父さんと証人尋問などの練習を複数回行い、その結果、裁判においても、緊張することなく話すことができていました。
なお、今回の依頼は、起訴後のものでしたが、仮に起訴される前に依頼があった場合には、被害者と示談して不起訴処分を獲得できる可能性がありました。そのため、Aさんは、国選弁護人から私選弁護人に速やかに切り替えなかったことを悔やんでおられました。