満員電車でささいなことから口論となりもみ合いになった

[事例 30] 暴力事件 暴行
性別 男性 相談に至った
経緯
・前科をつけたくない・不起訴にしてほしい
・示談したい
年齢 30代
職業 会社員
罪名 暴行・傷害
弁護活動の結果 不起訴

背景

会社員のAさんは、通勤のため、都内の満員電車に乗りました。その際、邪魔にならないよう、社内の中ほどへと移動しました。その際、電車の端の吊革につかまっている男性の奥に行く際、その男性に肩がぶつかってしまいました。男性に文句を言われたAさんは、朝の満員電車へのイライラもあり、つい「こんなに混んでるんだから仕方がないだろ」と言い返してしまいました。
その後も口論が続きました。Aさんの目的の駅に着いたので電車を降りましたが、その男性もついてきてずっと文句を言われました。そして、途中からその男性は携帯電話を取り出し、Aさんの写真を撮りました。Aさんは怖くなって撮影をやめさせようとして、もみ合いになってしまいました。その際、男性が、殴られたと言い出し、警察を呼ばれてしまいました。

弁護士対応 - 被害男性との示談交渉。謝罪文や謝罪状況などを検察官へアピール。

Aさんは朝の満員電車でイライラしていたとはいえ、自分がしてしまったことを後悔しており、被害男性に謝罪することを希望しておりました。そこで、できるのであれば示談をして、罰金を回避し前科をつけないよう活動することにしました。
私たちは警察官を通じて男性の連絡先を聞き、一度お会いして謝罪をしました。しかし、被害男性は示談をするつもりが全くありませんでした。そして、そのときの態度からこのまま交渉を続けてもまず示談はしてくれないだろうという印象を持ちました。
しかし、このまま引き下がっては、罰金になってしまいます。そこで、私たちは仮に示談ができなかったとしても、罰金を避けられるよう、Aさんが十分に反省し、また、罰金にする必要がないくらい、それに代わる罰を受けた事実を作ろうと考えました。私たちは、被害男性との話し合いの場に、Aさんを連れていき、その場で頭を下げてもらいましたが、男性はそれでも態度を変えませんでした。

結果 - 不起訴処分、前科なし。

Aさんが男性にあてて書いた謝罪文、そして上で述べた謝罪状況などを検察官へ伝えたところ、Aさんは不起訴となり、前科を避けることができました。

弁護士からのコメント

この事件は確かに軽微なものでした。しかし、暴行が犯罪であることは事実ですので、絶対に罰金にならない、絶対に前科がつかないということはありません。決して楽観視しないほうがいいでしょう。あとから示談しておけばよかった、となったときには遅いからです。できることなら示談をして、間違いなく不起訴になるよう動いたほうがいいと思います。
今回は、残念ながら男性に示談に応じるつもりが全くありませんでした。示談は相手のいることなので、弁護士を依頼しても示談が成立しないケースも、数は少ないですが存在します。しかし、示談ができなかった場合にも、事件の内容や、依頼人の反省の気持ち、そして弁護士のアドバイスに従って行動をすることで、不起訴を獲得できる可能性は十分あります。あきらめずに行動するべきです。