酔って記憶がない状態で女性につきまとった、軽犯罪法違反
性別 | 男性 | 相談に至った 経緯 |
・前科をつけたくない・不起訴にしてほしい ・示談したい |
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年齢 | 30代 | |||
職業 | 自営業 | |||
罪名 | 軽犯罪法違反(女性に対して付きまとった) | |||
弁護活動の結果 | 不起訴 |
背景
Aさんはその日、会社の飲み会に出席しました。そして、二次会、三次会と飲み続けました。会社の飲み会が終わったあと、さらに友人との別の飲み会に参加しました。そこでも何軒も店をはしごしました。そして、このあたりからAさんの記憶は途切れます。酔いがさめたとき、Aさんは警察署にいました。
警察官からは、Aさんが、30分くらいにわたって女性に付きまとったから来てもらった、防犯カメラにも映っていると言われました。Aさんは、まったく記憶がありませんでした。しかし、してもいないことで警察官につかまるとも思えず、女性に不快な思いをさせたのなら申し訳なかった、と話しました。
Aさんは、警察官に付き添われて、その日は自宅へと帰りました。
翌日、完全に酒が抜けたあと、奥さんと相談し、弁護士に依頼することを決めました。
弁護士対応 - 断酒の誓約書やAさんの妻が作成した監督書を検察官に提出
Aさんは、記憶はないものの、警察官が言うように女性に怖い思いをさせたのなら、謝りたいとのことでした。Aさんの行為は軽犯罪法違反にあたります。そこで、その女性との示談を目指して活動を開始しました。
Aさんは、もちろんその女性の連絡先など分かりませんでした。弁護士は、警察官を通じて、女性の連絡先を教えてもらおうとしました。しかし、女性からの回答は、弁護士であっても教えたくない、というものでした。連絡先を教えてもらうことすらできない以上、女性への交渉は不可能です。
しかし、軽犯罪法違反はその名のとおり、重い罪ではありません。そこで、女性との示談ができていなくても、しっかりと反省の気持ちを示せば不起訴になると考えました。
この事件の原因の一つはAさんの飲酒です。そこで、奥さんとも相談してもらい、Aさんは酒を断つことを決めました。その旨の誓約書を書いてもらいました。飲ませないという奥さんの監督書も書いてもらいました。そして、それらとともに、不起訴を求める意見書を検察官に提出しました。
結果 - 不起訴処分に。
Aさんの反省態度や断酒の誓約書などが功を奏し、結果として不起訴となりました。
Aさんの行為は、決して重い罪ではありません。しかし、何もしなくても絶対に処罰されないとは言い切れません。特に、処罰されてしまうと仕事に影響が出る可能性のある公務員の方などは注意が必要です。Aさんも、ある理由から、処罰されないよう万全を尽くしたいという考えでした。
被害者の連絡先は通常、警察や検察という捜査機関を通じて教えてもらいます。しかし、弁護士に対しても教えたくはない、という被害者も、多くはありませんが、いらっしゃいます。そのようなときには、弁護士がいても残念ながら示談交渉はできません。しかし、被害者の意向は聞いてみなければ分かりません。また、弁護士をつけて示談をしようとしたその態度自体が、検察官が処罰を考えるときに有利に考慮されることもあります。
また、示談ができなかったときにも、不起訴になることが不可能になるわけではありません。それとは別の視点から、依頼人がどこを改善すれば再び罪を犯す危険がなくなるのかを考え、それを検察官に伝えることも、弁護士の仕事です。