身近な法律の疑問 [公開日]2020年8月21日[更新日]2020年8月21日

公務員が不祥事を起こすとどうなる?|逮捕・罰金刑・略式起訴など

公務員の方が刑事事件を起こした場合、「免職になってしまうのでは?」が心配になる方も多いでしょう。

今回は、公務員が不祥事を起こし、逮捕されてしまった場合にどうなるのかをご説明いたします。

1.公務員の犯罪がバレるデメリット

まず、公務員の犯罪がばれた場合、どのようなデメリットが生じる可能性があるのでしょうか。

(1) 職場にバレる可能性

公務員が刑事事件で逮捕された場合、逮捕された本人が職場で犯罪を犯したのではない限り、すぐに職場に知られる可能性は低いでしょう。

ただし、逮捕後に勾留が続き、長期間の逮捕になると欠勤が多くなるわけですか知られる可能性も高くなります。
職場に知られないように家族が上手に職場に連絡するなどしても、長期間の欠勤の原因を問われて事件が職場に知られることになるためです。

また、逮捕だけで止まらず、起訴され有罪が確定した場合には失職する可能性があります。

(2) 実名報道される可能性

一般に逮捕されたからといって、必ず実名報道が行われるわけではありません。
しかし、公務員の場合、職業柄不祥事があれば報道すべきとする警察の判断があり、報道される可能性は一般の場合よりも高くなります。

実名報道がなされた場合には、ご自身だけでなく家族や親戚などにも影響が出ます。

実名報道で近所に犯罪が知れ渡ってしまい嫌がらせを受けるケースや、最近ではネットで住所や電話番号などが特定されてしまい、被害を受ける可能性もあります。

このような被害を受けないようにするためには、弁護士に依頼して実名報道を避けるよう関係機関に働きかけることが重要です。

(3) 出世や生活への影響

仮に有罪判決となってしまった場合には、前科がつき、公務員を失職する可能性が高いといえます。

例外的に失職しないこともありますが、この場合でもキャリアへの影響は避けられないでしょう。

職を失った場合には、次の就職先を探さなければいけません。しかし、この場合も失職した理由を問われることがあり、内容を伝えるとなかなか就職先が見つからないという問題に直面する可能性はあります。

また、失職しなかった場合でも、減給処分などがあり生活面で苦労するかもしれません。
出世を目指していた方にとっては、大きな痛手となります。

このように、公務員が不祥事で刑事事件を起こしてしまった場合には、失職、職場に知られる、実名報道による被害、出世や生活への影響など、さまざまなデメリットが生じる可能性があります。
これらの不利益を最小限に抑えるために、逮捕されたらできるだけ早く弁護士に依頼する必要があります。

2.公務員の失職や休職・処分の可能性

公務員の方が逮捕されたとき、起訴されたとき、罰金刑を受けたときなど、それぞれの段階でどのような処分が待っているのか心配になるかと思います。

そこで、ここではケース別にどのような処分の可能性があるのかをご説明いたします。

(1) 逮捕された場合

公務員である方が逮捕された場合、この時点で「職を失うのでは?」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、逮捕の時点で失職することはありません

公務員の場合、失職や休職となるケースについては法律に規定があります。

国家公務員法76条では、「職員が第三十八条各号の一に該当するに至つたときは、人事院規則に定める場合を除いては、当然失職する。」と規定しています。

同法、38条第1号では、刑事事件での例について「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者」と定めています。

地方公務員に関しても、地方公務員法16条第2号にて、同様に規定があります。
つまり、逮捕されただけで当然失職となることはないということです。

ただし、逮捕の段階で失職の可能性がないというだけであり、その後の刑事処分次第では失職や懲戒処分の可能性が十分にあります。

(2) 起訴された場合(略式起訴を含む)

では、何らかの犯罪を起こし逮捕され、起訴が決まってしまったらどうなるのでしょうか?

起訴が決定した場合には、起訴休職となってしまいます。これは、国家公務員法79条第2号、地方公務員法28条2項2号で定められている規定です。
期間としては、起訴された日から判決確定日までとなります。

略式起訴(罰金刑)の場合は、起訴休職になることはありません。

休職となった間も給料は出ますが、大幅にカット(60%まで支給)されてしまいます。

(3) 有罪判決を受けた場合(執行猶予判決、罰金判決含む)

懲役刑・禁固刑を受けた場合には国家公務員法76条、地方公務員法16条第3号により失職します。これは執行猶予判決でも同様です。

懲役刑、禁固刑の判決を受けた場合には、欠格による失職となり、公務員になる条件を満たしていない結果となってしまうため、不服申立てなども認められていません。

地方公務員の場合は、勤務する都道府県により、「過失かつ執行猶予付き判決」であれば、失職しないケースもあります。

例えば、東京都の職員の分限に関する条例8条1項では、上記のような例外が規定されており、情状により失職しないケースもあります。

ただし、失職する都道府県もあるため、地方公務員の場合は場所によって取り扱いが異なると考えるべきです。

罰金刑であった場合は、懲戒処分を受ける可能性があります。国家公務員法82条では、懲戒処分を規定しており、刑事訴追されたケースについては「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合(同条1項3号)」にあたるでしょう。

懲戒処分の種類としては、重い順に、免職、停職、減給、戒告とあり、どの処分が下されるかについては犯罪の動機や行為態様、結果、これまでの処分歴、他の職員及び社会に与える影響など様々なことが考慮された結果、総合的に判断が下されます。

このように、有罪となると失職の可能性のほか、懲戒処分を受ける可能性があります。これに加えて刑事罰も受けることを忘れないようにしましょう。

(4) 不起訴の場合

最後に、不起訴となった場合にも影響は出るのでしょうか?

軽微な犯罪であり、初犯である場合などは、示談成立などにより不起訴の可能性も十分にあります。

しかし、不起訴となった場合でも懲戒処分の可能性は残ります。例えば、よくある軽微犯罪として、以下が挙げられます。

それぞれの処分について、人事院が国家公務員、地方公務員別に処分例をまとめているため、一部をご紹介します。

 国家公務員(※人事院)地方公務員(※東京都)
窃盗停職、免職停職、免職
横領停職、免職停職、免職
傷害減給、停職停職、免職
痴漢減給、停職停職、免職
盗撮減給、停職停職、免職
酒気帯び帯運転減給、停職、免職停職、免職

全体的にみて、地方公務員の方が処分が重い傾向にあるようです。特に学校職員の場合は、重い処分が下される傾向にあるようです。

また、懲戒処分以外でも、勾留されてしまうと長期間の身体拘束となります。
逮捕から勾留請求まで3日、勾留決定が続くとその後原則として10日間、延長だと最大で20日間家に帰れません。

そうなると、職場を休まなければいけないため、生活への影響も大きくなります。

3.逮捕・罰金刑を受けた場合、職場にバレない方法はあるか?

最後に、逮捕された場合に職場にバレない方法はあるのか、について解説いたします。

(1) 弁護士に早期に依頼する

まず必要なことは、逮捕されたらできるだけ早い段階で弁護士に依頼することです。

弁護士に依頼することにより、弁護活動を開始することができます。取り調べ時のアドバイスや早期釈放のために尽力することはもちろんですが、実名報道されないような働きかけをすることも弁護活動の一環です。

将来的な処分の可能性をできるだけ避けるためには、弁護士による弁護活動が必須です。

(2) 早期釈放を目指す

起こしてしまった犯罪に被害者がいる場合には、できるだけ早く示談を成立させることも重要です。

逮捕されてしまうとご自身で示談をすることは難しいので、弁護士が被害者に示談交渉を行います。

示談が成立すれば、早期釈放や不起訴の可能性も高まるため、職場にバレない可能性も高まるでしょう。

また勾留されないことも重要です。

先にお話しした通り、勾留されてしまうと原則として10日間、逮捕から最大で23日間、家に帰ることができません。こうなってしまうと、職場になぜ休むのかについて説明が必要になりますし、職場に発覚してしまいます。

逮捕されたら、早期の釈放を目指すのが社会生活復帰に向けて非常に重要です。

このように、公務員の方が不祥事で逮捕されてしまった場合には早期に弁護活動開始が必要です。
早めに動けば、その分職場への影響も回避できる可能性が高まります。

4.公務員が不祥事で逮捕されたら弁護士に相談を

痴漢・盗撮・窃盗など、軽微な刑事犯罪の場合は、示談成立により不起訴となり懲戒処分を受けずに済む可能性もあります。

職場への影響を少しでも減らすためには、弁護士に依頼し、早期釈放、早期示談成立を目指すことが必要です。

不祥事を起こしてしまったら、刑事事件に強い泉総合法律事務所にご相談ください。

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