刑事弁護 [公開日]2018年4月3日[更新日]2024年7月19日

刑務所の中の生活。家族・友人はどんな暮らしをしているの?

刑務所の中の生活。家族・友人はどんな暮らしをしているの?

懲役刑、禁錮刑の有罪判決が確定すると、被告人だった者は収監されることになります。刑務所に収監された人は、更生して社会復帰するために、他の受刑者と共に一定の期間、共同生活を送ることになります。

しかし、彼らがどのような生活を送っているのかご存知ない方も多いでしょう。
特に、自分の家族や友人が収監された場合、どのような暮らしをしているのか、辛い生活なのではないかと気になるのは当然です。

今回は、刑務所の生活や一日のスケジュールについて解説します。

1.刑務所での一日の生活

まずは、刑務所での一日の生活を見ていきましょう。
(※禁固刑の一日は、運動の時間以外は部屋の中で過ごさなければなりません。しかし、何もしないと退屈で苦痛なので、ほとんどの禁固刑受刑者は自ら希望して刑務作業を行います。これを「請願作業」と呼びます。)

なお、刑務所のスケジュールは各施設によって異なります。以下でご紹介するのは一例であるとご理解ください。

(1) 刑務所での一日の生活スケジュール

刑務所内の平日の一日は、大まかに以下のような流れで進んでいきます。

6:45 起床
部屋の掃除、洗面、人員点検

7:05 部屋での朝食(15分)
朝食後、部屋を出て作業場に向かいます。
更衣室で作業着に着替える際に、検査を行います。

8:00 刑務作業開始

12:00 昼食時間(30~40分)

16:40 刑務作業終了
作業中に運動時間が必ずあり、個別の面会や診察が行われることがあります。
作業終了となると着替えの際に身体検査が行われ、各自の部屋に帰ります。

入浴は冬期週2回、夏期週3回程度です。入浴時間は工場毎にシフトが組まれており、早いシフトの場合、15時頃に作業を終了して入浴となります。

17:00 夕食

17:00〜21:00 自由時間
夕食後は自由時間となり、テレビを見る、漫画・小説を読む、手紙を書くなどができます。希望すればクラブ活動にも参加できます。

21:00 就寝

以上が、刑務所での一日のスケジュールとなります。仕事だけでなく長い自由時間もあることに意外と感じた方も多いかもしれません。

朝は早く起き、夜は早く寝るという規則正しい生活のほか、懲役刑の場合は平日の日中は刑務作業をすることになります。
また土日祝日、年末年始、お盆は別スケジュールです。起床も遅い時間となり、休日で刑務作業はありませんので、一日中自由時間となります。

施設によっては、平日も毎週一日を教育指導日として、テレビの教育番組の視聴や読書の日と指定しているので、実際の刑務作業日は週4日程度になります。

運動会、スポーツ大会、カラオケ大会、芸能人の慰問公演、各種の講演なども随時開催され、その度に刑務作業は休みになりますので、年間の労働日数、労働時間は、刑務所外の世界よりもはるかに少ないと言えます。

(2) 食事メニューや作業外時間の暮らしについて

次に、刑務所の中での食事や自由時間について詳しくみていきましょう。

①食事

食事は朝、昼、晩と三食きっちり出ます。

食事内容は栄養士が管理し、ヘルシーで健康的なメニューが出ます。麦入りご飯を主食とするメニューが中心ですが、おかずは和洋中とバラエティに富んでいます。
また、パン食、麺類、だけでなくジュース、アイスクリーム、ケーキなどのデザートも定期的にメニューに組み込まれています(食事を選ぶことはできません)。

刑務所の食事といえば、俗に「臭い飯」と呼ばれ、不味い食事の代名詞と思われていましたが、現在は全くそんなことはありません。

多くの刑務所で年1回程度、周辺住民を招待して刑務所見学会を開催し、その際、施設で食されているメニューの試食も実施していますが、予想外においしいので驚いたという評価が大半です。

また、栄養バランスだけでなく四季に応じた食事も提供されています。
例えば、正月や祝祭日などには、おせち料理やクリスマスのチキン料理など、特別な食事が用意されています。

②自由時間

休日や夕食後の自由時間には、読書やテレビ、ラジオの鑑賞などが許されています。

自由時間には、就寝前であっても布団を敷いて横になることが許されているので、テレビや読書をしながらそのまま寝てしまっても問題ありません。つまり、就寝時間前に就寝しても良いのです。
この時間に家族に手紙を書いたり、日記をつけたりもします。

もちろん、自由時間といっても部屋から出ることはできません

また、必要なものがあれば、自分でお金を出して購入することも可能です。しかし、いつでも購入できるわけではなく、購入の申請をできる日は毎月決まっていますので、その日に申請を忘れると来月まで購入できないことになります。これを「自弁物品」と言います。

購入できるものとしては、衣料品(下着や靴下など)、お菓子、室内装飾品(写真立てや切り花など)、日用品(ちり紙、ノート、便せん、封筒、切手、筆記用具)、書籍(単行本、雑誌)、新聞などがあります。いずれも刑務所外より値段は高く設定されているようです。
売店が設置されている刑務所もあります。

あまりに生活態度が悪かったり、違反行為を行ったりすると、お菓子など嗜好品の購入が認められなくなります。

③運動時間、入浴

健康を維持するためには、運動や体を清潔に保つことも大切です。刑期を全うするためにも、運動時間入浴は必要となります。

運動時間については、平日30分あてられています。
運動内容としては、全員で準備体操をした後は、個々が自由に運動をすることが許されます。決まったグラウンド、体育館内で散歩、ランニング、筋トレのほか、野球やソフトボールも可能です(道具は貸与されます)。もちろん、何もせずに座って、世間話をしていてもかまいません。

年に一回は、運動会や球技大会などのイベントも実施されており、工場対抗戦などがあります。

入浴時間は、夏季に週3回、これ以外の時期は週2回と決まっています。一回の入浴は15分という短い時間となっています。石鹸は支給されますが、自弁で購入したり、差し入れを受けたりすれば、シャンプーやボディソープも使用できます。

2. 刑務所生活で苦労すること

このように、自分のしたいことを自由にできるわけではありませんが、刑務所の生活は皆さんが予想しているよりもはるかに緩やかな生活と言えます。これら制約される不自由さえ我慢できれば、格別、辛い生活とまでは言えないのが実際なのです。

とはいえ、刑務所生活はやはり苦労することも多々あります。

(1) 共同室での窮屈な生活

刑務所内には、一人で寝起きする「単独室(独房)」と、複数人(4名~6名程度)で寝起きする「共同室」があります。混み具合によりますが、通常は服役してから数ヶ月から1年程度は共同室で過ごし、その後単独室に移ることができます。
ただ、精神的に不安定である、他の者とのトラブルを繰り返すなど問題がある場合は、最初から単独室となります。

共同室はそれなりの広さがありますが、やはり他人と一緒に生活する窮屈さは否めません。朝食も夕食もこの部屋で誰かと一緒に食べ、トイレもテレビも共同です。
皆、他人の機嫌を損ねず、喧嘩にならないように気を遣うので、せいぜい布団に横になっているとき以外は気が抜けません。

(2) 独房での孤独感

単独室(独房)は、共同室の生活を送ることが難しいと判断された者が収容されるだけでなく、規則に違反した者が懲罰を受ける場所ともなります。

共同室からようやく単独室に移ることができたときには、今後気兼ねなく一人で食事をし、トイレを使うことができると、誰もが喜ぶものです。

しかし、共同室に送ることが難しいと判断されて単独室に収容された者で、工場での共同作業も困難と判断された場合は、単独室の中で一人で作業を行うことになり、孤独感に苛まれる者もいます(もちろん、その方が気が楽だという者もいます)。

なお、懲罰として独房に収容された者は、日中、畳に座っていなくてはなりません。食事時間、自由時間、運動時間、入浴時間は通常通りにありますが、読書、テレビ、ラジオなどは許されません。
したがって、日中は何もない部屋で、ただただ壁や畳を見て座っているだけです。自由時間になっても、横にはなれても、やはり壁や天井を見ているだけとなります。

この「何もすることがない時間」を過ごさなければならない苦痛は相当なもので、だからこそ懲罰なのです。

(3) 刑務所内でのいじめ

刑務所は閉鎖的な空間です。刑務官や他の服役している者同士の喧嘩いじめなど、生々しい刑務所生活の実態が報告されることがあります。特に女子刑務所のいじめは陰湿だと言う噂もあります。

いじめが発覚した場合、いじめをした加害者は、規則を守れなかったとして指導や懲罰を受けることになります。

刑務所内の規則は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(刑事収容施設法)に記載されています。
同法律150条によると、「特別遵守事項を遵守せず…刑事施設の職員が行った指示に従わなかった場合には、その被収容者に懲罰を科することができる。」と規定されています。

懲罰の内容としては、注意を受ける戒告だけでなく、作業の停止や自弁の使用の停止、報奨金の削減、単独室に収容されるなどがあります(同法151条参照)。

もっとも、刑務官は、自分たちの仕事を増やすことになってしまう収容者間のトラブル発生をもっとも嫌います。
このため、いじめを受けた時に刑務官にその旨を申告すれば、すぐに加害者と被害者は引き離されて、別々の作業工場に配属換えされ(もちろん居室も別となります)、二度と顔を合わせることはありません。

いじめの被害者が刑務官に申告するのは難しいのでは?と思われるのは間違いです。
実際、いじめに限らず、収容者が他の者に聞かれずに刑務官と一対一で話ができることは、平日であれば毎日機会があり(これを「願いごと」と呼びます)、申告があれば加害者は直ちに取り調べのために隔離されますから、学校とは違い格別勇気の必要なことではありません。

受刑者同士や刑務官によるいじめが報道されますが、実際にはレアケースに過ぎないと言えるでしょう。

3.受刑者への差し入れ

受刑者が辛い思いをしないよう、差し入れをしたいと考える家族・友人は多いです。
次に、受刑者への差し入れについて解説します。

差し入れにもいくつかの制限がありますので、(1)差し入れの時間帯、(2)差し入れできるもの、(3)喜ばれるものに分けてご説明します。

(1) 差し入れの時間帯

差し入れを行う場合は、面会時に行うことになります。よって、差し入れの時間帯は面会可能時間に準じています(しかし、各施設により異なることもあるため、確認するようにしてください)。

また、差し入れは直接渡すことはできません。各施設にある差し入れ窓口に申し込みが必要となります。
この際、身分証明書が必要になるので、面会時に持参してください。

さらに、差し入れしたものは、受刑者に渡されるまでに早くとも数日程度の時間がかかります。

検査を行うためということもありますが、手続きに時間がかかることもあります。

(2) 差し入れできるもの

差し入れについては、その刑務所の指定業者の品物でなくてはいけないという決まりはありません。あなたが購入したものでも差し入れできます。

しかし、どんなものでも差し入れできるわけではなく、物品ごとに規格が決まっています。

例えば、ノートひとつをとっても、サイズはA4でとじ具に金属を使用していないものに限る、など制約が多く、せっかく買ってきた差し入れ品が無駄になることは珍しくありません。
したがって、基本的には、書籍類と現金を除いて、差し入れできるのは、差し入れ業者から購入したもののみと考えたほうが良いです。

施設にある売店では、差し入れすることができる品物のカタログがあり、そこから選ぶことが可能です。
どうしても売店にない物品を差し入れしたいと思うときには、必ず事前にその刑務所に電話をして、差し入れ可能かどうかを尋ねてください。

なお、書籍類は、漫画・小説などの単行本でも雑誌でも差し入れが可能ですが、新聞は差し入れできません(自弁で好きな新聞を購入できる他、休み時間に無料で読むことができる新聞が置かれています)。
書籍類の内容は問いませんが、暴力団関係の記事は黒塗りされたうえで受刑者に渡されます。

食中毒や毒殺の危険があるので、食べ物は差し入れできません

(3) 喜ばれるもの

受刑者が喜ぶのは現金です。差し入れされた現金で好きなものを購入することができるからです。

ただ、刑務所内では指定業者からしか購入できないので、個々の品物の値段は一般よりも割高です。このため刑務所内では、案外、手持ちの現金が急速に減っていくのです。
したがって、現金こそ、もっとも喜ばれる差し入れです。

遠くに住んでいるためなかなか面会できないという方は、郵送での差し入れも可能です。書籍類は郵送が簡便です。現金の差し入れは現金書留で郵送できます。

[参考記事]

留置場で喜ばれる6つの差し入れ

4.家族が逮捕されたら早めに弁護士に連絡を

家族が逮捕されてしまったら、誰もが動揺します。いきなりのことでどうしたらいいかわからないのは当然のことです。

しかし、逮捕されたら勾留請求までは3日しかありません。勾留が決定されると身体拘束が長くなってしまい、社会生活にも影響が出るため、それまでに釈放を目指すことが大切です。

また、勾留が決定した後でも、不起訴を勝ち取ることで裁判を避けることができます。

刑事裁判では、起訴されて裁判になってしまった場合には、有罪判決が出る確率が圧倒的に高くなります。軽い犯罪でない限り、有罪で刑務所に収監される可能性も高くなるのです。収監されてから出所するまでの期間は長期間となります。

早いうちにご相談いただければ、裁判になってしまった場合でも執行猶予判決を目指すことができます。

刑事弁護はスピード勝負です。できるだけ早い段階で、刑事弁護に精通した泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

刑事事件コラム一覧に戻る