刑事弁護 [公開日]2017年7月4日[更新日]2019年10月30日

任意同行は拒否できない?逮捕される?気になる対処方法を解説!

既に警察の捜査が進んでいて、証拠収集も終わり、犯罪の嫌疑をかけられている方の自宅などの居場所が判明した場合、そこに警察官が訪れて、警察署への同行を求める場合があります。

このように、逮捕という強制的な手段ではなく、自分の意思で警察官の要請に応じて警察署等に赴くことを「任意同行」といいます。

この任意同行は強制ではないため、これを断ることはできます(刑事訴訟法第198条1項但書)。
しかし、拒否することで不利益にならないのか、逮捕されないか、不安に感じる方は多いと思います。

この記事では、警察官に任意同行を求められた場合、これを拒否しても良いのか、また、任意同行には応じない方が良いのかを解説していきます。

1.任意同行のパターン

冒頭において、任意同行を求められるのは「犯罪の嫌疑をかけられている方」と説明しましたが、他にも任意同行を求められるケースがあります。

まずは、警察に任意同行を求められる2つのパターンを紹介します。

(1) 犯罪の嫌疑がある場合

この場合、警察による証拠の収集はある程度終了していると考えられますので、闇雲に任意同行を拒否することはあまりお勧めできません。

というのも、警察が「任意同行を拒否したという事実」を、証拠隠滅や逃亡をする意思や可能性があるという理由付けに用いた結果、逮捕されてしまう可能性があるのです。

法律上、警察が裁判官に逮捕状の発付を求めるためには、逮捕の必要性があることを示さなくてはならず、裁判官が明らかに逮捕をする必要性がないと考える場合は、逮捕状は発付されないことになっています(刑事訴訟規則第143条、同条の3)。

逮捕の必要性があるか否かは、具体的には、証拠隠滅や逃亡をするおそれがあるかを中心に考えられます。
(なお、ここで証拠を隠滅させる行為とは、証拠である物を処分することのみではなく、共犯者との口裏合わせ、虚偽の目撃者の作出や被害者への脅迫など、自身に都合のよい供述をするように働きかけるという、人を証拠とするものも含みます。)

証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとみなされて逮捕されれば、10日間の勾留決定となってしまう可能性が高くなります。
さらには、そこから更に最大10日の勾留延長となり、私生活に大きな影響が出る可能性があります。

(2) 職務質問後に任意同行を求められる場合

以上のような、元々犯罪の嫌疑がある者の任意同行ではなく、職務質問に続いて任意同行を求められることもあります。

もちろん、警察官が強制的に警察署等に連れていくことが許されないことは、法律上、明確に記載されています(警察官職務執行法第2条3項)。
もっとも、職務質問やその後の任意同行を拒否しても、実際は、多数の警察官に周囲を囲まれるなどして、自由に立ち去れない場合があるのも事実です。

ただし、任意同行を明確に拒否しているにもかかわらず警察官が無理やり移動を阻止したような場合には、警察官の行為が違法であると判断される場合もあります。
具体的な例としては、以下のような事案があります。

【強制的に同行を求めた結果違法と判断された事例】
任意同行を拒否する積極的な理由があるのに、警察官に囲まれるなどして拒否できないという雰囲気の場合、弁護士を呼び、同行には応じない旨を明確に説明するということが考えられます。
最近の裁判例として、「明確に捜査への協力を拒否し、その場から立ち去る言動を取っていたことに加え、法律専門家である弁護士が、警察官に対して、令状がない以上、その場にとどまる理由がない旨明確に述べ」たにもかかわらず、警察官が移動を阻止するために、任意同行を求めた相手をつかむなどした事件に関して、任意の限界を超えた違法なものと判断しています(東京高裁平成27年10月8日判決・判例タイムズ1424号168頁)。

 

また、職務質問の際に身体検査や所持品検査を求められることがありますが、これも任意捜査ですので拒否することができます。
検査を拒否したからといって任意同行のように逮捕されることはありません。

ただし、所持品検査を拒む過程で警察官に暴力を振るうなどした場合には、公務執行妨害罪で現行犯逮捕されることはありますので、その点は十分留意してください。

2.任意同行後に取り調べを受ける際の注意点

犯罪の嫌疑がかけられている状態で任意同行を拒否することは、逮捕されるリスクがあるということは先述しました。
一方で、何も考えずに任意同行に応じて取り調べを受けることも、取り返しのつかない事態を生じさせかねません。

任意同行に応じた後の警察署における取り調べの際には、「供述調書」という、あなたが説明した内容を警察官がまとめた書面が作成されることがあります。

後々刑事裁判になったときに、この供述調書は強力な証拠として用いられます。
問題なのは、自分の記憶どおりに喋ったことでも、供述調書にまとめられたときにニュアンスが変わってしまったということや、後で落ち着いて考えてみると記憶違いを起こしているということが多々あることです。

刑事裁判になり、警察署で作られた供述調書の内容と裁判で話す内容が違ってしまうと、自身の言い分が信用されないということになってしまいます。

このような事態を避けるためにも、刑事事件に関与した心当たりがある場合には、警察からの取り調べに対してどのように対応すべきかを事前に考えておく必要があります。

例えば、供述調書の作成に際して、問題となる核心部分に限って供述は黙秘することが考えられる他、そもそも供述調書の作成を拒否することも可能です。
このような対応であれば、任意同行を拒否したわけではないので、証拠隠滅のおそれや逃亡のおそれありとみなされる危険性は少なくなります。

また、弁護士は、逮捕後の取り調べに関するアドバイスは当然ですが、任意取り調べに対する対応などについてもアドバイスします。

刑事事件はその方の一生にかかわりますので、刑事事件に関与した覚えがある方は弁護士に早めに刑事弁護を依頼し、来る時に備えて警察などの捜査への対応対策を講じることをお勧めします。

3.刑事事件は弁護士へ依頼するのが得策です

以上より、任意同行を求められた場合や、逮捕されそうだという場合、事前に弁護士に刑事弁護を依頼したうえで、弁護士と適切な手段を検討し、可能な限り不利な(事実と異なる)供述証拠が作成されることを避けることが重要となります。

警察から任意同行を求められる可能性がある場合・刑事事件を起こしてしまい逮捕されないか不安だという場合には、お早めに刑事弁護経験豊富な泉総合法律事務所にご相談ください。
刑事弁護経験豊富な弁護士が、取り調べから事件解決までしっかりサポートいたします。

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