性犯罪 [公開日] [更新日]

警察からストーカー警告されたらその後の流れはどうなる?

警察

近年、ストーカーによる犯罪が増加し、後を絶ちません。そのため、ストーカー規制法が平成12年に制定され、その後、改正が繰り返されています。

このストーカー規制法とは、どのような行為を規制する法律なのでしょうか?

また、ストーカー規制法違反で警告を受けた場合には、どのように対処すれはいいのでしょうか?

1.ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)の概要

(1) ストーカーとは

同一の者(男女問わず)に対して、ストーカー規制法によって禁止されている「つきまとい等」を繰り返すことを「ストーカー行為」と言います。

そして、このストーカー行為を行う者が、いわゆる「ストーカー」です。

ストーカー規制法第3条では、「何人もつきまとい等をして、その相手方に身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えされてはならない」と規定されています。

(2) 「つきまとい等」とは

相手

  1. 特定の人
  2. その人の配偶者、直系若しくは同居の親族
  3. その人と社会生活において密接な関係を有する者(交際相手、友人等)

行為の目的

  1. 特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情を満たす目的
  2. 上記が満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的

禁止事項(ストーカー規制法第2条第1項)

  • 1号(つきまとい、見張り、おしかけ、うろつきなど)
    つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
  • 2号(監視していることを知らせる行為)
    その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
  • 3号(面会や交際などを要求すること)
    面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
  • 4号(乱暴な言動等)
    著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
  • 5号(無言電話、繰り返しの電話・FAX・メール送信等)
    電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
  • 6号(汚物などの送付)
    汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
  • 7号(名誉を傷つけること)
    その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
  • 8号(わいせつな言葉を投げかけたり、わいせつな画像を送りつけたり、インターネット掲示板に掲載するなど)
    その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。

(3) 「ストーカー行為」とは

同一の人に対して、つきまとい等を繰り返すことが「ストーカー行為」です。1回だけでは、「ストーカー行為」とはなりません。

ただし、上記1号から4号及び5号の「電子メールに係る送信等」については、身体の安全、住居等の平穏もしくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法によって行われ、これが繰り返された場合に限ります。

2.警察本部長等による警告とは

警察署本部長等は、ストーカー規制法第4条により、①つきまとい等の行為があり(第3条違反の行為があり)、②その行為を行っている者が、さらに反復してその行為を行うおそれがあると認められるという要件を満たす場合には、「さらに反復してその行為を行ってはならない」ということを警告することができます。

この警告は、被害者からの警告申出書の提出によって行われます(ストーカー規制法施行規則第1条)

警告は、警告書を交付して行うものとされています。ただし、緊急を要する場合には、警告を口頭で行い、その後可能な限り速やかに警告書を交付することになっています(同規則第2条)。

警告書には、上記の1号から8号までの禁止行為を行ってはならない旨が記載されています。

「警告に違反したこと」自体に罰則があるわけではありませんが、後述するとおり、「ストーカー行為をした者」に罰則がありますので、警告に違反すれば、刑事事件になる可能性は高まります。

3.警告を無視してストーカー行為を続けたらどうなる?

(1) 禁止命令等

警告を受けると、約8割~9割の人はストーカー行為をやめると言われています。

それでもストーカー行為を続ける者に対しては、都道府県公安委員会は、被害者の申出または職権によって、禁止命令をすることができます。

つきまとい等をさらに反復して行ってはいけないという命令だけではなく、つきまとい等を防止するために必要な命令も行うことができます。

この禁止命令等が出される前には、加害者の言い分を聞く「聴聞」という手続きがあります。

なお、警告は、禁止命令等の前提ではありませんので、禁止命令等の前にまずは警告が必要ということはありません。

禁止命令の要件は、①つきまとい等の行為があり(第3条違反の行為があり)、②その行為を行っている者が、さらに反復してその行為を行うおそれがあると認められる場合となっています。

禁止命令等の有効期間は、1年ですが、被害者の申出により又は職権で、1年ごとに聴聞を経て、禁止命令等の更新ができることになっています。

(2) 刑事罰

被害者が告訴をすると、刑事事件になる可能性があります。ストーカー規制法は、ストーカー行為について、下記のとおり罰則を定めています。

第18条
ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

また、禁止命令等に違反してストーカー行為を続けた場合には、下記のような罰則があります。

第19条
1 禁止命令等(第5条第1項第1号に係るものに限る。以下同じ。)に違反してストーカー行為をした者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。
2 前項に規定するもののほか、禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした者も、同項と同様とする。

第20条
前条に規定するもののほか、禁止命令等に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

なお、ストーカー行為は、告訴がなくても公訴を提起する(刑事裁判を起こす)ことができる非親告罪になっています。

4.警告を受けたらどうすればいいのか?

(1) 「つきまとい等」をやめる

警告を受けたら、行ってはいけないと言われた行為を速やかにやめることです。

警告を無視すれば、被害者は、禁止命令や告訴を行うでしょう。

(2) 言い分がある場合には自分も法的手段を検討する

「相手には誤解がある、話せばわかる」などと言って、さらに連絡を取ろうとするような行為は逆効果です。

相手と連絡を取らなければいけない正当な理由がある場合(貸したお金を返してほしい、被害者の家に残している自分の荷物を引き取りたいなど)や、えん罪であるなどの言い分がある場合でも、相手と直接連絡を取ろうとせず、弁護士に相談し、法的な手段を検討するべきです。

(3) 警告を受けて「つきまとい等」をやめれば処罰されない?

ストーカー規制法第18条は、「ストーカー行為をした者」を罰する規定であり、警告を無視したとか、禁止命令を無視したという要件を必要としていません。

そのため、理論上は、警告を受ける前に行ったストーカー行為を処罰できる条文になっています。

しかしながら、警告を受けて、ストーカー行為をやめた相手に対して、さらに告訴する可能性は少ないと思われます。

万が一、告訴されても、警告によって速やかに行為をやめたということが、よい情状として扱われるでしょう。

5.自分がストーカーだという認識が欠けている場合

警察から警告を受けると、ほとんどのケースでは、ストーカー行為をやめると言われています。

自分がストーカー行為を行っていると気づかなかった人でも、警告によって認識するからです。また、警告を受けたことに納得がいかない場合でも、刑事罰を受けるリスクがあるのですから、それ以上、つきまとい等の行為を反復しないのが「常識的な考え方」と言えるでしょう。

しかし、警察から警告を受けてもストーカー行為をやめない場合もあります。このような人は、「相手は自分のことを好きなはずだ」「2人で話せばわかる(相手は親や弁護士や新しい交際相手などに騙されているだけだ)」「相手(妻など)は自分の所有物だ」「悪いのは相手だ」といった妄想を持っていて、自己正当化していて、自分を「ストーカー」だと認識できません。

もしくは、頭ではわかっていても、感情を制御できず、相手が生き生きとしていることで、自分が裏切られたと感じたり、逆に相手が苦しんでいることを自分の活力にしたりするとも言われています。

ストーカーは、はっきりと病気だと認定されているわけではないようですが、精神科医が関与して、ストーカー行為を行った人の更生という取り組みも行われているくらいであり、「刑事罰」というだけでは抑止力にならないことがあります。

このような相手に対して、被害者の側は、さらに禁止命令や告訴を検討すると思いますが、「警告」の段階以上に身の安全の確保を図る必要があります。

ストーカー規制法では、被害者に対する「援助」が定められています。

援助の申出をすれば、警察からは、被害を防止するための助言、支援団体の紹介、ストーカー被害の防止に資する物品を貸出などの援助を受けることができます。

被害者は、警察、支援団体、地方自治体、弁護士などから必要な協力を得て、身を守るようにしていきましょう。

6.まとめ

ストーカー行為を受けている場合には、速やかに警察に相談し、さらに支援団体や弁護士にも相談してみましょう。

また、ストーカー行為を行っているとして、警告を受けた人は、速やかに「つきまとい等」に当たる行為をやめましょう。

自分にも言い分があったり、今後の流れに不安があったりする場合には、弁護士に相談するべきです。

泉総合法律事務所には、ストーカー行為を疑われて検挙されてしまったという方やそのご家族からも多くご相談を受けております。

刑事事件は早めの対処が大切です。初回のご相談は無料となっておりますので、お近くの泉総合法律事務所の支店に是非一度ご相談ください。

刑事事件コラム一覧に戻る