性犯罪 [公開日]2021年12月23日

ハプニングバーは違法?利用客・経営者が逮捕されることはあるのか

ハプニングバーとは、バーなど飲食店の体裁をとりつつ、初対面の客同士が性的な行為を楽しむ場を提供することを目的とした店舗をいいます。

お店側はあくまで場所や飲食物を提供しているのみという建前のもと、性的な行為は、客同士の自由意志によるハプニングに過ぎないと称しています。

この記事では、ハプニングバーを客として利用する行為や経営する行為は違法か、利用客は逮捕されるか、利用客が逮捕された後どうなるかについて解説します。

1.ハプニングバーの利用や経営は違法なのか?

(1) ハプニングバー利用客のルール

ハプニングバーには、利用客が守るべき厳格なルールが敷かれているのが通常です。

そのルールを設ける趣旨は、客同士の喧嘩・トラブル防止が目的だったり、店外での売春相手を探す目的での来店を抑止する目的だったり、顧客の他店舗への流出を阻止することが目的だったりと様々です。

そして、「他の客の同意を得ない性的プレイを無理強いしてはならない」というルールは、店内での強制わいせつ罪、強制性交等罪を防止するためです。

これら各ルールに違反する行為を放置すると、店舗の評判を落とし、経営に影響するので、店舗側も違反に対しては敏感です。

なお、客の違反行為には店舗からイエローカード、レッドカードが出され、改めなければ「出禁」を言い渡されますが、それ自体が直ちに犯罪となるわけではありません。

(2) ハプニングバーで問題となる「公然わいせつ罪」

しかしながら、ハプニングバーにおいて、実際に客が摘発されやすい犯罪もあります。それが「公然わいせつ罪」です。

公然わいせつ罪は、その名の通り、公然とわいせつな行為を行った場合に成立します。

刑法174条
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

公然とは、不特定又は多数人が認識しうる状態をいいます。現実に認識したかどうかは問いません。

また、わいせつな行為とは「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する」行為(※東京高裁昭和27年12月18日判決)と理解されています。

この定義は、内容が不明確で違法・適法の限界がわからないとの批判が強いのですが、例えば性交をしたり、性器を露出したりする場合がこれに該当することは異論がありません。

ハプニングバーは客として不特定かつ多数人が来訪、在室しますから、店舗内であっても、他の客から見られ得る状態でわいせつな行為をすれば、公然わいせつ罪が成立します。

もっとも、店内にある完全個室等、当該性的行為をする者以外の者から認識できない部屋でわいせつな行為に及んだ場合には、公然性を欠くため、公然わいせつ罪は成立しません。

ただ、カーテンのような布で仕切られているだけだったり、個室でも施錠されず他の客が自由に出入りできる部屋であったりすれば、やはり公然性を欠くとは言えません。

そもそも、店舗内で魅力的な相手を見つけたとしても、性的行為は店舗外のホテルなどで行えば足りるはずのところ、あえて店舗内で行為に及ぶのは、ハプニングバーを訪れる客の多くが好ましい刺激として他人の視線を求めるからであり、密室に入ってしまっては意味がありません。

よって、実際に日々ハプニングバー内で行われているのは他人に見られながらの性的行為であり、法律の理屈上、ほとんど公然わいせつ罪が成立していると考えて間違いありません。

もちろん法律上、犯罪が成立することと、実際に摘発・立件されるかは別の問題ですが、罪に問われる可能性が常にあることを忘れてはなりません。

なお、公然わいせつ罪はたとえ相手方がわいせつな行為について合意していたとしても成立します(健全な社会風俗を保護することを目的としているため)。

[参考記事]

公然わいせつ罪の処分規定とは?逮捕されたらどうなるのか

【ハプニングバー経営者らにも公然わいせつ罪の可能性】
公然わいせつ罪が成立するのは、実際にわいせつな行為を行った者です。しかし、ハプニングバー経営者や従業員についても公然わいせつ幇助罪が成立する可能性があります(刑法62条1項)。
幇助とは、他人(正犯者)の犯罪遂行を手助けすることをいい、共犯者として処罰されます。ハプニングバーを経営したり、そこで働いている者は、客による公然わいせつ行為が行われる可能性を認識・意図してわいせつ行為が行われる場所を提供しているので、公然わいせつ幇助罪が成立する可能性があるのです。
なお、ハプニングバーの中には、集客のために店舗内でSMショーやストリップショーを開催する店もありますが、これらショーにおいて、性行為や性器の露出などが行われれば、経営者、従業員、出演者らが、共謀のうえ共同して公然わいせつ行為を行ったものとして罪に問われる可能性があります。

(3) ハプニングバー経営者が問われる風営法違反

ハプニングバーには様々な態様がありますが、深夜にお酒を提供している店が多数だと思います。
このように深夜(午前0時から午前6時まで)にお酒を提供するお店は、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)の定める酒類提供飲食店営業を深夜において営もうとする者に該当します(同法33条)。

これに該当した場合、営業所ごとに公安委員会に届出をしなければなりません。届出をしないと、50万円以下の罰金に処されます(同法54条6号)。

また、ハプニングバーの中には、従業員の女性に性的サービスを行わせたり、いわゆる「サクラ」を雇って女性客を装わせ、性的行為を行わせたりするケースが数多くあります。

このような店舗の経営者は、売春防止法違反風俗営業法違反に問われる可能性があります。

例えば、店舗内での売春行為を黙認すれば、売春場所の提供者として、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられます(売春防止法11条1項)。
場所代をとるなどして売春の場所の提供を業としたと判断されれば、7年以下の懲役及び30万円以下の罰金に処せられます(同2項)。

さらに、店舗での性的サービスを行うには、いわゆるファッションヘルス店のように、店舗型性風俗特殊営業の許可(風営法2条6項2号)が必要ですし、客への「接待」行為には「第1号許可」(同法2条1項1号)が必要とされるところ、この許可は、深夜営業を行う酒類提供飲食店営業には認められない運用なので、ハプニングバーの従業員はそもそも客を接待することはできません

これらの違反は、2年以下の懲役刑もしくは200万円以下の罰金刑、またはこれらの両方の刑罰を受けます(同法49条1項)。

このように、ハプニングバーという名目を隠れ蓑として、風営法の規制を潜脱する違法な営業を行っているケースもあるのです。

また、このような脱法行為を行っているハプニングバーの経営には、反社会的集団が関わっているケースも珍しくはありません。
「家庭や職場にばらされたくなかったら……」と恐喝の被害に遭う危険も少なくありませんので、このような場所には関わらないことが賢明です。

2.ハプニングバーで逮捕されたら

ハプニングバーで公然わいせつ罪等の犯罪を行っていた場合、手入れに来た警察官に現行犯逮捕されることがあります。
逮捕された後はどうなってしまうのでしょうか。

(1) 逮捕~勾留~起訴

逮捕されると、そのまま警察署に連行されます。そこで警察官から取調べを受けます。そして、逮捕から48時間以内に、証拠と合わせて検察官に身柄を送致されます。

身柄を受け取った検察官は、更に被疑者を取調べます。そして、身柄を受け取ってから24時間以内、かつ身体拘束から72時間以内に、被疑者の勾留を請求するか否かを決定します。請求先は裁判官です。

勾留が認められると被疑者は勾留請求の日から10日間身体拘束されます。また、勾留は更に10日間延長することができるので、被疑者は最大20日間勾留されることになります。他方で、勾留請求を裁判官が認めなかった場合には、被疑者は釈放されます。

勾留期間が満了するまでに、検察官は被疑者を起訴するか否か決定します。被疑者を起訴した場合、被疑者は被告人と呼称が変わります。

起訴された場合、被告人は起訴後も勾留される可能性があります。もっとも、起訴後勾留の場合には保釈(金銭を担保に身体拘束から解放される制度)が認められる場合があります。

(2) 起訴~裁判

起訴には公判請求と略式請求(略式起訴)があります。公判請求とは公開の法廷での裁判を請求するものです。他方で略式起訴は書面による手続きで被告人を罰金刑にするものです。

略式起訴は被告人を罰金刑に処する場合にしかできません。例えば、公然わいせつ罪は法定刑に罰金刑があるので略式起訴が可能ですが、強制わいせつ罪などは罰金刑が無いので略式起訴にすることはできません。

[参考記事]

略式起訴・略式裁判で知っておくべきこと|不起訴との違い

公判請求がされた場合、裁判日が指定され被告人の罪責は公開の法廷で審理・判断されます。裁判で裁判所が有罪との心証を抱いた場合、被告人に有罪判決が出され、刑罰が科されます。他方、被告人が有罪であるとの心証を形成するに至らなかった場合、被告人に無罪判決が出されます。

有罪判決が出された場合でも直ちに刑罰が執行されるとは限りません。執行猶予がついた場合には、執行猶予期間中にさらに犯罪を犯すなどしない限り、刑罰が執行されることはありません。

[参考記事]

執行猶予とは?執行猶予付き判決後の生活|前科、仕事、旅行

3.ハプニングバーで逮捕されたら弁護士に相談を

以上述べたように、ハプニングバーで逮捕された場合には、長期の身体拘束をされる可能性があり、また、刑罰が科される可能性があります。

逮捕・勾留による身体拘束や起訴を回避するためには弁護士に相談することが重要です。弁護士は、被害者がいる犯罪では示談交渉を行ったり、検察官や裁判官に対し意見書を提出したりするなどして、被疑者に不利益な影響が及ばないように活動してくれます。

[参考記事]

刑事事件における示談の意義、タイミング、費用などを解説

ハプニングバーで逮捕された場合にはすぐに泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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