性犯罪 [公開日]2017年12月4日[更新日]2020年11月16日

公然わいせつ罪の処分規定とは?逮捕されたらどうなるのか

刑法174条は、公然とわいせつな行為をした者は6月以下の懲役、若しくは、30万円以下の罰金または拘留若しくは科料に処するとして、公然わいせつ罪の処罰規定を定めています。

公然わいせつ罪では、特定の被害者が存在しません。法定刑についても、個人の自由を保護法益とする財産罪・強制わいせつ罪等より比較的軽く定められています。

とはいえ、公然わいせつ罪は懲役刑も定められている重大犯罪ですので、万が一犯してしまった場合にはしっかりと反省し、対応しなければなりません。

ここでは、公然わいせつ罪の成立要件、公然わいせつの容疑がかかった人が逮捕された場合の流れについて説明します。

1.公然わいせつ罪になる場合

公然わいせつ罪は、条文によれば「公然」と「わいせつな行為」を行った際に成立します。

それでは、「公然」「わいせつ」とはそれぞれどのような場合をいうのでしょうか?

(1) 「公然」の定義

公然わいせつ罪における「公然」とは、判例によれば、「不特定または多数人が認識しうる状態」であるとされています。「認識しうる」とは、認識される可能性があれば足り、現実に認識されたかどうかは問わないということです。

具体例として、公園内を下半身を露出して散歩した、全裸で路上や河川敷等を歩いた、という場合が挙げられます。公園や路上は、複数の人が、誰でも入れる場所ですから、不特定または多数人が認識しうる状態にあるとして、公然性が認められることになります。

他方、住居の一室で、知人ら20名と女の下半身が露出された映像を放映して鑑賞したという場合、不特定の者が出入りする場所でもなく、認識したのは知人らという特定人ではあっても、20人は多数と言えますから、法律の理屈の上では公然性が認められることになります。

なお、この場合、同じく住居の一室で、映画を見たのが3名だけであったときは、多数人とは言えませんが、その3名が客引き等によって室内に入ってきた者であれば、不特定人と言えるので、やはり公然性が認められます。

(2) 「わいせつ行為」の定義

わいせつ行為とは、判例によれば、「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する」ことと判示されています。

具体的には、男女を問わず性器を露出することや、性行為を行うことは「わいせつ行為」に該当するとされています。

ただし、公然わいせつ罪は、「健全な性風俗」を守るための法律であり、現在社会において公然と行われても、健全な性風俗を害するとまでは言えない行為は、「わいせつ行為」にはあたりません。

例えば、著名な刑法学者の教科書(※)によれば、公園で男女がキスをすることや、女性が乳房を露出する行為は、わいせつ行為に当たらないとされています。
※大塚仁「刑法概説(各論)第3版増補版」516頁など

特殊な例としては、カップル喫茶での性行為、ストリップショーで女性が下半身を露出する行為は、わいせつ行為にあたるものとされています。

2.公然わいせつ罪の刑罰・量刑の相場

公然わいせつ罪の刑罰は、もともと法定刑が「6月以下の懲役、30万円以下の罰金、拘留(1日以上30日未満の日数、刑事施設に留置)、科料(1000円以上1万円未満の金銭の支払い)」と比較的軽く定められているので、略式手続により罰金刑となったり、不起訴となったりする場合も多いです。

したがって、初犯であったり、実質的な被害者(性器の露出行為を見させられた者、公然わいせつ行為が行われたマンション等の管理者等※)と示談できたりする場合は、不起訴とされることも少なくありません。

※公然わいせつ行為が害するのは「善良な性風俗」ですから、強制わいせつ罪のような「被害者」は存在しません。強いて言えば、社会全体が被害者なのです。ただ、下半身を見せられた方など、迷惑をかけられた方は実在するわけであり、上の本文では、これを「実質的な被害者」と呼びました。実質的な被害者との示談成立であっても、刑事処分にあたって、被疑者・被告人に有利な事情として考慮してもらうことができます。

他方で、悪質性の高い事案や、前科が複数回を越える、同種犯罪の再犯であるといったケースは、公判請求される可能性が高くなっています。

もっとも、この場合でも、実質的な被害者と示談が成立している場合は、多くのケースで執行猶予が付されています。

したがって、公然わいせつ罪の刑事弁護活動においては、実質的な被害者と示談契約を成立させることがポイントになってきます。

3.公然わいせつ罪での逮捕

(1) 現行犯逮捕

公然わいせつ罪で逮捕される場合の多くは、現行犯逮捕となります。

公然わいせつ行為が行われた場所で、その行為を見た目撃者や通行人・管理者、現場に駆けつけた警察官によって逮捕されることになります。

(2) 通常逮捕

通常逮捕(後日逮捕)される場合とは、捜査官が、あらかじめ裁判官による逮捕状を取得しておいて、これに基づいて逮捕が行われるケースとなります。

これは捜査によって被疑者が特定された場合です。

この場合、捜査官としては、公然わいせつ行為を現認している訳ではないので、現行犯逮捕というわけにはいきません。したがって、目撃者や通行人等の取り調べ、防犯カメラ等の映像を調査して証拠を固めてから逮捕することになります。

(3) 逮捕されない場合

公然わいせつ行為を犯してしまっても、その行為態様が悪質でない場合は逮捕・勾留されない場合もありえます。

これを在宅事件と言いますが、この場合、被疑者は、警察署の留置施設に留置されません。

その代わり、警察官から呼び出しがあった場合には、その呼び出しに応じて自ら警察署に出頭しなければなりません。

この出頭は任意ですが、これに応じない場合は「逃亡や証拠隠滅のおそれがある」として逮捕されてしまうケースがありますので、注意が必要です。

[参考記事]

在宅事件でも起訴・前科!?長期化するからこそ弁護士に相談を!

4.逮捕後の流れ

(1) 逮捕、警察の取り調べ、検察庁への送致

警察官に公然わいせつに関する罪で逮捕されると、警察における取り調べの後、通常は逮捕後48時間以内に所轄の検察庁に送致の手続がとられます(検察官送致)。

(2) 検察官の弁解録取、勾留請求

被疑者が検察庁に送致されると、検察官は、犯罪事実についての被疑者の弁解を聞いて、勾留の理由・必要性があると考えられる場合は、裁判所に勾留請求を行います。

具体的には、反省の色が見られない、容疑を否認している、逃亡・証拠隠滅の恐れがある場合には、勾留請求が行われる可能性が高いでしょう。

なお、公然わいせつ罪の場合は軽微な事件も多いですから、勾留が請求されない場合はこの段階で釈放されることになります。

(3) 裁判官の勾留質問と勾留決定

勾留が請求された場合、裁判官は被疑者に対し勾留質問を行い、勾留を判断します。
勾留が決定すると、勾留請求の日から数えて10日間、警察署に身柄が拘束されます。

この間に警察官は、被疑者を犯行現場に連れて行き犯行状況について再現させたり、引き続きの取り調べを行ったりします。検察官も必要に応じて取り調べを行っていきます。

勾留開始から10日経った段階でも更なる捜査が必要と判断されると、その後最長で10日間勾留が延長される可能性があります。

捜査が終了すると、検察官は起訴・不起訴の判断を行います。

上述したように、公然わいせつ事件の場合は軽微な事件がありますから、一通りの捜査を終えた上で、検察官が「起訴猶予」などの判断をして釈放するケースも少なくありません。

(4) 公判請求

行為が悪質である場合や、前科や同種前科が複数回以上ある場合には、被疑者は起訴され、以後「被告人」と呼ばれます。起訴後、約1~1ヶ月半後に、第1回公判期日が開かれます。

さらに、1回の公判で結審する場合は、その数日後から1ヶ月の間に判決が出されます。

【保釈の手続】
起訴された場合には、被告人の勾留は続きます。一方で、起訴後は保釈請求の手続が認められており、この手続を利用すれば被告人を早期に釈放させることができます。
この保釈請求の手続は、弁護士に依頼することにより行うことができます。
通常は、被告人やその親族等により保釈金を少なくとも150万~200万程度を用意し、身元引受人が身元引受書を作成し、弁護士が裁判所に保釈請求を行います。これを受け、裁判所が検察官に保釈に関して意見を求め、それも参考にして被告人を保釈させるかどうかを判断します。
事案によっては保釈の許可が出ないこともありますが、起訴まで至った事案でも、悪質性が必ずしも高いとは言えない場合、示談契約が成立している場合等は、保釈許可がでることが多いものと思われます。

5.公然わいせつ事件の弁護のポイント

上述したように、被疑者が逮捕されてから起訴されるまでの間、最大で23日間、被疑者は身柄拘束され続けることになります。

公然わいせつ事件でも比較的軽微な犯罪であれば、弁護士の尽力により勾留請求を却下してもらったり、裁判官の行った勾留の裁判の取消しや勾留期間の変更を求めたりすることができます(これが認められれば早期の身柄解放がなされることがあります)。

また、前述のとおり、公然わいせつ罪は、善良な性風俗という社会的法益に対する罪であり法的な意味での特定の被害者は存在しませんが、目撃者などの通報者、わいせつ行為を故意に見せられた者、マンションの共用部分等で行われた行為については居住者や管理者等、実質的な被害者と示談することにより、不起訴になるケースも多いです。

さらに、身柄拘束の上、起訴までなされた場合には、弁護士が、上記の保釈の手続を迅速に行うことにより、起訴後の比較的早期の段階で被告人を釈放することが可能となります。

そして、裁判官の判決の際にも、示談契約が成立していれば、多くのケースで執行猶予判決の取得が可能となります。

上記のように、公然わいせつ事件において、専門家である弁護士が行うことのできる行為はたくさんありますので、ぜひ、弁護士に依頼するとよいと思われます。

6.公然わいせつ罪の刑事弁護もお任せください

「公然わいせつ事件で検挙され在宅事件となった」「親族等が公然わいせつ事件で逮捕されてしまった」など、早期の身柄解放の実現や、不起訴や執行猶予判決の取得をお望みであれば、ぜひ、経験豊富な弁護士が多数在籍する弁護士法人泉総合法律事務所にご相談されることをお勧めいたします。

刑事事件は迅速な対応が重要なので、出来るだけ早いタイミングで弁護士にご相談ください。

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