刑事事件弁護 [公開日] [更新日]

逮捕から不起訴ないし起訴→判決に至るまでの流れ・弁護活動まとめ

逮捕から不起訴ないし起訴→判決に至るまでの流れ・弁護活動まとめ

私たちは、日常生活において刑事事件に関わることは滅多にありません。

しかし、将来、突然刑事事件に巻き込まれる可能性はゼロではありません。特に、刑事事件について何の知識もないまま突然逮捕されてしまうようなケースでは、不安でパニックに陥ってしまうことも考えられます。

そこで、今回は、万が一刑事事件に巻き込まれた場合・ご家族が逮捕されてしまった場合に備え、特に逮捕後の刑事事件の流れ、その場合に必要となる弁護活動の概要について解説します。

1.刑事事件手続の基本

(1) 捜査と公判

刑事事件の手続は、捜査と裁判に大きく区別されます。

捜査は、特定の犯罪について、その容疑者(被疑者といいます)を特定するとともに、関連する証拠を収集した上、検察官により起訴・不起訴を決定する手続になります。

起訴は被疑者の処罰を求めること、不起訴は被疑者の処罰を求めないことです。

刑事裁判は、検察官により裁判所での審理を経て、被疑者の処罰を求める場合に開かれます。

刑事裁判では、起訴された被疑者(被告人といいます)について、起訴の対象になった罪を犯したことが証拠に基づき証明される場合に限り、情状を考慮して刑罰を科す判決が下されることになります。

(2) 身柄事件と在宅事件

次に、刑事事件の手続は、被疑者や被告人の身体の拘束の有無を基準として、身柄事件と在宅事件に区別されます。

身柄事件とは、文字通り、被疑者や被告人の身体を拘束した状態において手続を進める刑事事件のことです。

在宅事件とは、被疑者や被告人の身体を拘束しない状態において手続を進める刑事事件のことです。

2.身柄事件の手続の流れ

(1) 起訴前の身柄拘束

起訴前の身柄拘束の基本的な流れは、逮捕→勾留請求→勾留質問→勾留決定→(勾留延長請求→勾留延長決定)です。

①逮捕の手続

逮捕は「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある」(刑事訴訟法199条2項)とき、逃亡・罪証隠滅のおそれがあるなどの必要性の認められる場合に行われる身柄拘束です。

ちなみに、捜査機関に犯罪の発生あるいは犯人の発覚していない段階において、犯人が自らの犯罪を申告することを自首といいます。自首した場合、刑は減軽されます(刑法42条)。

自首は自分の罪を素直に認め積極的に告白する行為であるため、そのことから逃亡・罪証隠滅のおそれは小さいとして逮捕を免れることもあります。ただし、殺人や強盗などの重大犯罪の場合には、重罰を科せられる可能性があるため、自首した場合でも、逮捕されてしまうこともあるでしょう。

②勾留の手続

警察に逮捕された場合には、48時間以内に事件は検察官に送致(送検)されます。そして、検察官は更に身柄を拘束する必要性のあると判断したときは、送検後24時間以内に勾留請求しなければなりません。

検察官の勾留請求を受けた裁判所は、被疑者と面会して話を聞きます。これを勾留質問といいます。

そして、捜査記録から事件の概要を把握した上、勾留請求に対する判断を下します(刑事訴訟法60条1項、同207条1項)。勾留請求を認める決定をした場合には、最大10日間、被疑者は引き続き身柄拘束されます。

一部の例外を除き、勾留は1回だけ延長できます。この場合、検察官は勾留延長を請求して、裁判所は勾留延長について判断します(刑事訴訟法208条)。

勾留延長を含めれば、被疑者は逮捕後最大23日身柄を拘束されることになります。

(2) 起訴後の勾留

捜査が終わり、検察官により起訴される場合、略式起訴といい、刑事裁判を開くことなく罰金刑を科すことを求め、裁判所が罰金刑を科す判決を下し、直ちに釈放されることがあります(刑事訴訟法461条以下)。

他方、刑事裁判を開いて正式に審理を行い、刑罰を科すことを求める(正式起訴あるいは公判請求)場合があります。

この場合には、起訴前に勾留されている者は自動的に起訴後の勾留に切り替わり(刑事訴訟法60条2項)、最悪、刑事裁判の終わるまで被告人の身柄は拘束されることになります。

3.身柄事件の弁護活動

身柄事件における弁護活動の基本は、早期の身柄解放と可能な限り有利となる処遇を獲得することの2つです。

刑事事件における身柄の拘束は法律に基づく処遇ですから、弁護士は法律の根拠のない身柄拘束について不服申立することができます。また、身柄の拘束は捜査機関や裁判所の裁量に委ねられているところがありますから、早期の身柄解放のため、捜査機関や裁判所を説得することも大切になります。

身柄の拘束は、あくまでも刑事事件の手続の進め方の問題であり、より大切なのは、刑事事件の手続の結果です。つまり、最終的に、刑罰を科せられてしまうのか、科せられるとして、どのような方法により、どのような内容の刑罰を科せられるのか、です。

この点について、弁護士は可能な限り有利な結果を導くための弁護活動を行います。

(1) 身柄解放のための弁護活動

①起訴前の身柄解放のための弁護活動

起訴前の身柄拘束は逮捕と勾留になります。このうち、逮捕については、現在の法律では不服申立の制度は用意されていません。

そこで、弁護士としては、検察官や裁判所に対して、勾留請求しない、あるいは勾留を認めない決定を下すよう説得します。

その際には、釈放後の身元引受人の存在、学校や仕事の存在、被害者との示談、事件の軽重など身柄拘束の必要性の少ない事情や身柄解放すべき必要性に関する具体的事実を、関連資料を提示して主張します。

もし、勾留を認められてしまった場合には、裁判所に対して、その判断の誤りを主張して、勾留の決定の取消を求めることができます。これを準抗告といいます。

勾留延長についての弁護活動は基本的に勾留を阻止するための弁護活動と同様です。(ただし、勾留延長は、捜査の状況等から更に被疑者の身柄を拘束する必要性のある場合に限り認められるものであるため、1回目の勾留期間において捜査を遂げることができたはずであると主張することになります。)

②起訴後の身柄解放のための弁護活動

起訴後の勾留に対する身柄解放のための弁護活動は「保釈請求」です。保釈は、裁判所の許可を前提として、一定額の保釈保証金の納付により、被告人の身柄を解放する制度です。

保釈には、権利保釈と裁量保釈の2種類あります。

権利保釈とは法律上の要件を満たす場合には被告人の権利として保釈を認める制度です。

裁量保釈とは権利保釈は認められない場合でも諸事情を考慮して裁判所の裁量により保釈を認めるものです。

実務上、権利保釈の要件の1つである「罪証隠滅のおそれのないこと」は否定されることが多いため、保釈が許可されるのは圧倒的に裁量保釈によることが多いです。

なお、近時の刑事訴訟法の改正により、裁量保釈の判断において考慮すべき事情は法律上明示されています。すなわち、裁量保釈の判断に際しては、「保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人の受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情」を考慮することになります(刑事訴訟法90条)。

保釈保証金の金額は、保釈を許可する判断の際に裁判所の裁量により決められます。事件の内容や被告人の社会的地位などにより幅はあるものの、一般的には最低でも100万円~150万円を目安にされています。なお、弁護人は保釈保証金の額について裁判官と交渉することがあり、交渉の結果として保釈保証金の額を捻出可能の範囲内に抑えることに成功することもあります。

(2) 可能な限り有利な処分を獲得するための弁護活動

①不起訴処分を獲得するための弁護活動

捜査段階における弁護人の最大の目標は、不起訴を獲得することです。

不起訴により被疑者は刑罰を科せられるという不利益を免れます。また、これにより前科の付くことを回避できます。(前科がつくことによるデメリットは「前科の生活への影響とは~前科者の資格制限、仕事、履歴書、海外旅行」をご覧ください。)

起訴・不起訴を判断するのは検察官ですから、弁護人は、検察官に対して、無実、罪を犯したことを証明する証拠はないこと、罪を犯したことは認めるとしても示談の成立による被害者感情の緩和、被疑者の反省などの事情から刑罰を科す必要性のないことを口頭あるいは書面により伝えます。

②可能な限り有利な処遇を獲得するための弁護活動

もし起訴は免れない場合でも、まずは略式起訴による罰金刑に留めるよう求めます。

正式起訴された場合には、裁判での審理を経て、裁判所により有罪・無罪の判断と有罪の場合の科すべき刑の内容を判断しますから、弁護人は被告人本人と話し合い、裁判において、どのような方針で弁護活動すべきか決めます。

たとえば、無罪を主張するような否認事件では、犯罪の事実を証明するために検察官の提出するであろう証拠の内容を吟味して、不利になる証拠について裁判の資料とすることについて同意しない、あるいは、不利になる証拠は信用性に欠けること、取り調べられた証拠では犯罪の事実を証明することはできないなどを主張していくことになります。

他方、罪を犯したこと自体は争わない自白事件では、被告人に対する刑を決める際に可能な限り軽い刑になるよう、その判断のために必要となる証拠を提出していきます。

(3) その他

①取調べ等に対するアドバイス

弁護人は、被疑者と自由に接見することができます。これは一般人は面会することのできない逮捕段階でも同様です。

ですから、逮捕後、すぐに被疑者と接見することにより、取調べにおける心構えや注意点などをアドバイスすることができます。

②接見禁止の解除

原則として、勾留中、被疑者の家族などは一般面会といい警察官等の立ち合いの下、被疑者と面会することができます。

しかし、一般人の面会を許すことにより罪証隠滅のおそれのあるような事件では、接見禁止といい、裁判所の判断により、一般面会を禁止されることがあります。

このような場合、弁護人は、一般面会を禁止する必要性のないことを主張して、その解除を求めることができます。また、配偶者や親などに限り面会を許すこと(接見禁止の一部解除といいます)を裁判所に促すこともできます。(「接見禁止の解除とは?逮捕・勾留された家族と接見できない場合」もご覧ください。)

4.まとめ

刑事事件の基本的な流れは、捜査→起訴・不起訴の決定→(正式起訴された場合)公判→判決となります。

また、身柄を拘束する手続の流れとしては、逮捕→起訴前の勾留→(勾留延長)→起訴後の勾留となります。

弁護人の弁護活動の目標は、早期の身柄解放と可能な限り有利な処分を獲得することの2つになります。この2つの目標を実現するためには、刑事事件に関する法律に精通していることに加え、検察官や裁判官を説得するための具体的事実およびその証拠を迅速かつ的確に収集することが必要になります。

こうした弁護活動は、刑事事件に精通している弁護士とそうでない弁護士とでは、その過程や結果にかなりの差が出てきます。

もし、自分や知人・家族が刑事事件に巻き込まれてしまったときには、是非、刑事事件に精通した弁護士に私選弁護を依頼することを検討してみてください。

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