刑事弁護 [公開日]2017年10月10日[更新日]2023年11月2日

公判請求とは?略式請求との違い・公判を避ける方法

検察官は、刑事事件で必要な捜査を遂げた後、公訴を提起して公判を請求する場合があります。これを「公判請求」と言い、いわゆる「刑事裁判」が開かれることになります。

軽微な刑事事件であり、かつ初犯ならば、公判請求までされることは稀と言えます。
しかし、重大事件や再犯である場合、被害者との示談が成立しない場合などは公判請求となる可能性も0ではありません。

今回は、刑事事件の被疑者となってしまった方やその家族に向けて、「公判請求」について解説していきます。

1.公判請求とは?

(1) 公判請求は「起訴処分」の一つ

検察官は、捜査の上で被疑者に犯罪の嫌疑があり、かつ訴訟条件を具備している場合であっても、必ず起訴するわけではありません。
諸事情(被疑者の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の状況、初犯であるかどうかなど)を総合考慮の上、起訴するか否かを決定します(刑訴法248条)。

起訴されるか否かは、被疑者にとって重大な分岐点となります。起訴されて有罪判決が出れば、懲役刑・罰金刑等に処され、前科もついてしまうからです。

起訴をするとなった場合、検察官は「①略式命令請求」か「②公判請求」を選択することになります(他に「③即決裁判請求」もありますが、実務上よく見かけるのは①及び②です)。

このように、「公判請求」というのは、検察官が行う起訴処分の中の一つです。

略式命令請求になるか公判請求になるかも、被疑者にとっては重大な分岐点といえます。
というのも、公判請求は略式命令請求に比べて被告人の負担が大きくなるからです。

(2) 略式命令請求と公判請求の違い

①略式命令請求

略式命令請求(略式起訴・略式裁判)とは、起訴されたとしても公判は開かれず、簡素な起訴手続きで被告人の罪責を判断するものです。
略式命令となった場合、裁判所による判決は罰金または科料にとどまります。

略式命令請求が可能なのは、「簡易裁判所の管轄に属し、100万円以下の罰金又は科料を科し得る事件」であり、かつ、「略式手続によることについて被疑者に異議がないこと」が前提になります。
つまり、略式命令請求は採用されるのは、比較的軽微な事件ということになります。

[参考記事]

略式起訴・略式裁判で知っておくべきこと|不起訴との違い

②公判請求

これに対して、公判請求では、裁判所の公開の法廷(公判)での証拠調べ等を経た後、有罪判決となれば懲役刑または禁錮刑・罰金刑が科されるおそれが生じます(もっとも、情状により執行猶予が見込まれることもあります)。

証拠調べ手続きでは被告人質問が行われるため、その準備が必要となります。また、正式な裁判ということで(情状からいって執行猶予判決が十分見込まれる場合であっても)その厳格な雰囲気から被告人にかかるプレッシャーは軽いものではありません。
よって、被疑者としては、何とかして公判請求を回避して、略式命令請求や不起訴を獲得することが重要となります。

2.公判の流れ

公判では、以下の手続きの流れを経て結審します。

  1. 起訴状の朗読や黙秘権の告知などを行う冒頭手続
  2. 冒頭陳述
  3. 証人や提出された証拠物、証拠書類を取り調べる証拠調べ手続
  4. 検察官の論告求刑
  5. 弁護人の最終弁論
  6. 被告人の最終陳述を行う弁論手続

審理の終了後、裁判所が被告人に判決を下すことになります。有罪判決の場合、被告人が上訴をしなければ、判決が確定します。

なお、公判期日の回数は、事件の内容や争い方によって異なりますが、公訴事実(起訴された犯罪事実)に争いのない事件であれば1回の期日で結審することもあります。

刑事裁判の流れについては、以下のコラムで詳しく解説しています。

[参考記事]

刑事裁判の流れと仕組み。期間・費用まで徹底解説!

ちなみに、一定の刑事事件について、通常の刑事裁判の手続を簡略化して迅速に事件を終結させるための手続として、「即決裁判手続」が導入されています。

[参考記事]

即決裁判手続とは?対象事件と要件、略式手続との違いまで徹底解説!

3.公判請求を避けるための弁護活動

刑事事件の弁護活動の中で重要なのは、「不起訴処分を目指すこと」「起訴は避けられない事案であっても、公判請求を避けること」です。

起訴されなければ、刑罰が科されることも前科がつくこともありません。
また、公判請求を避けることができれば、被疑者は起訴となっても裁判を受けることなくすぐに釈放されます。

不起訴のためには、個人が被害者の場合には被害者との示談を成立させるのが最も効果的です。

[参考記事]

刑事事件の示談の意義・効果、流れ、タイミング、費用などを解説

示談ができなかったり、事件内容が悪質であったりするなど、起訴される公算が高い場合には、作成した意見書を検察官に提出するなど略式命令請求(罰金)にとどめるように検察官を説得することになります。その上で、公判請求となってしまった場合は、できる限り軽い刑(執行猶予の獲得)を目指して準備することになります。

万が一公判請求となってしまった際には、被告人質問の準備や、情状証人の準備などのために、ご依頼者様やそのご家族にもご協力いただくことになります。

4.刑事事件は泉総合法律事務所へ

一般に、「公判請求を回避するために何をすべきか」「公判において軽い刑を求めるには何をしたらいいか」は個別の事件によって異なります。刑事事件でお悩みの方は、一度刑事弁護経験豊富で公判の弁護にも強い泉総合法律事務所にご相談ください。

刑事事件はスピード勝負です。初回相談は無料となっておりますので、お悩みの方は是非お早めにご相談ください。

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