刑事弁護 [公開日]2017年11月1日[更新日]2021年2月26日

前科や犯罪歴を自分で調べる方法は?家族・他人に知られたくない!

刑事事件を犯してしまい、検察官に起訴され有罪判決が下されて確定した場合、その刑事被告人には「前科」がつくことになります。

懲役や禁錮といった身体的拘束が伴う刑事罰のみならず、たとえ罰金刑であったとしても「前科」に含まれます。

前科が付くと生活に様々な影響が現れます。
では、前科は第三者が調べることができるのでしょうか。また、犯罪歴や逮捕歴を確認する方法はあるのでしょうか。

1.前科とは?

前科」というのは、上記したように、刑事裁判で有罪判決を受けた場合を意味します。

刑の執行を受け終わった者は、他の者と差別されないことを原則とします。

しかし、再度何かしらの事件を起してしまった場合、前科を理由として、検察の処分や裁判での判決が重くなる可能性があります。
(職務質問をされたり逮捕されたりすると、警視庁や県警本部の犯歴照会センターに前科・前歴の確認が行われます)。

また、公的な資格の場合、前科がついてしまうことで所持している資格が停止あるいは剥奪されてしまうことがありますし、前科者の入国が認められない国もあります(例えば、知り合いが海外で結婚式を挙げようとしたところ、前科を理由に入国を拒否されるということが起こり得ます)。

前科による影響については、以下のコラムで詳しく解説しています。

[参考記事]

前科があると就職に影響するのか?

[参考記事]

前科がつくと海外旅行に行けない?パスポートへの影響とは

【前科と前歴の違い】
「前歴」というのは、逮捕された場合に、原則的にその対象となった人に対してついてしまうものになります(もちろん、誤認逮捕であるような場合についてはこの限りではありません)。
仮に、不起訴処分になったとしても、前歴は残ってしまうことになります。

2.前科の調べ方

前科を一般人が調べることができるかというと、そんなことはありません。

前科はあくまで、何らかの犯罪が発生してしまった場合に捜査資料として使用したり、被疑者の犯罪傾向や反省の程度を判断したりするための資料です。

このため、警察・検察のほか本籍地の市区町村においては、データとしては保管されてはいるものの、本人であっても開示できないデータです。ましてや第三者からの開示請求に応じるものでもありません。

言ってみれば、前科は最上級の個人情報(秘匿情報)として管理されているわけです。

よって、前科がある人の名前が第三者に対して明らかになってしまうことや、前科であることの証明を取り寄せたりデータを照会したりできることはないと言えるでしょう。

【就職の際に企業側に知らせる必要はあるか】
これまでのご説明の通り、前科がある方でこれから就職や転職をする方の場合、「企業側が自分の前科を調べていた」という事態はないでしょう。
面接時に特に犯罪歴の有無を聞かれない場合には、自ら進んで過去の犯罪歴を申告する必要はありません。また、履歴書には「賞罰」という欄が設けられていなければ、これを記載する必要もありません。
しかし、履歴書に賞罰欄を設けている履歴書を指定された場合には犯罪歴を記載すべきですし、採用の面接時に過去の犯罪歴を聞かれた場合には正直に申告しなければなりません。黙っていた場合、これが後日判明すると経歴詐称となり解雇事由になる可能性があります。

3.前科を避ける方法

以上より、前科や前歴(犯罪歴・逮捕歴)が誰かに調べられたり、ネット検索されたりすることはありません。

しかし、先述の通り前科があることで一部の職種への就職が困難になったり、一部の外国に入国できなかったりするケースがあります。

また、前科があることで、将来的に犯罪を繰り返してしまった際にはその処分がより厳しいものになります(不起訴にならない・執行猶予がつかないなど)。もっとも、その前科が10年以上前の場合には、刑事処分には影響されないと言われています。

よって、被疑者としてはできる限り前科は避けるべきと言えるでしょう。

では、前科を避けるにはどうしたら良いのでしょうか。

逮捕・勾留されているだけの段階であれば、被疑者に前科はつきません。

すなわち、「①検察官が当該被疑者を不起訴処分に処した場合」あるいは「②刑事裁判手続において無罪判決を勝ち取った場合」については前科が付かない、ということになります。

前科がつくことを避けるためには、早期の弁護人の活動の開始が必要不可欠といえます。

実際に刑罰相当の犯罪を犯してしまっている場合、重要になってくるのは被害者との示談です。
検察官は、被疑者について起訴・不起訴の判断をする際に、被害者感情・被害回復を非常に重視するからです。

示談とはすなわち「被害者との和解」を意味します。この和解の締結(示談書の締結)を目指して、弁護人が弁護活動していくことになります。被疑者自らが示談交渉しようとしても、通常、被害者の連絡先は分からず、連絡がとれても被害者は交渉に応じないものです。その意味でも弁護士に刑事弁護を依頼して、示談交渉に当たってもらうべきです。

示談交渉では、被害者による謝罪の受け入れてもらい、示談金(解決金)の支払いを行い、示談書を作成した上で被害届や刑事告訴の取下げを求めることになります。

[参考記事]

刑事事件の示談の意義・効果、流れ、タイミング、費用などを解説

被害者に発生している被害の程度によって示談金の相場は異なります。また、被害感情が強く、なかなか示談に応じてくれない被害者の方もいらっしゃるでしょう。

いかに被疑者にとって不利にならない条件で示談を成立させるかが、弁護士の交渉術の見せ所ということになります。

そういった意味で、刑事弁護に強い、あるいは刑事弁護の経験が豊富な弁護士を選んで弁護依頼をするべきです。

(なお、これが覚せい剤事件のように被害者が存在しない事件であれば、弁護人は反省文の提出や贖罪寄付といった刑事弁護活動を行います。)

4.前科を避けるなら泉総合法律事務所へ

上記したように、前科が付いてしまうことは通常他の人に知られることはないにしても、様々な面で不利に働いてしまうことがあります。

刑事事件の場合、どういった解決方法がベストなのかを、限られた時間の中でしっかりと検討する必要があります。

また、被疑者・被告人の方としっかりと信頼関係を構築し、弁護活動を行う必要性があるため、弁護人の選任は慎重に行う必要があります。

泉総合法律事務所は、被疑者・被告人のためにどのような方法が最適なのかをしっかりと考え、釈放・不起訴を目指し全力でサポートいたします。
刑事事件を犯してしまったら、お早めに刑事弁護経験豊富な泉総合法律事務所にご相談ください。

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