刑事弁護 [公開日]2017年11月28日[更新日]2022年2月9日

刑事事件における示談の意義、タイミング、費用などを解説

痴漢・盗撮・強制わいせつ事件・傷害事件など、個人を被害者とする犯罪を起こし警察官に逮捕された際、釈放・不起訴となるためには「示談」が必要不可欠になります。

弁護士は、被疑者・被告人の依頼にもとづいて示談締結に向けた弁護活動を行います。

今回は、刑事事件における示談の意義、刑事事件で示談する方法と手順(流れ)、刑事事件の示談金相場などについて包括的に解説していきます。

1.刑事事件における示談の意義

刑事事件における「示談」とは、当事者間における犯罪行為に関する和解で、一定の金銭(示談金)を支払う代わりに被疑者を許してもらう「合意」をします。
そして、実際に示談金を支払ったら、その証拠となる示談書を作成します。

示談金の支払いによって被害が金銭的に回復し、示談書に「宥恕文言(※)」が記載されることで、被害者の処罰感情が無くなったことが明らかとなるため、被疑者に有利な事情として考慮されるのです。

※宥恕(ゆうじょ)とは、許すことを意味します。被害者による「宥恕する」「処罰を望まない」「寛大な処分を望む」などの記載を宥恕文言と呼びます。

より具体的に言うと、示談成立の事実は、起訴後の公判において裁判所から有利な事情として斟酌され、刑期や罰金額の軽減、執行猶予判決が期待できます。

起訴前の段階でも、示談が成立することで、逮捕・勾留を回避できたり、仮に身体拘束されても早期に釈放されたりする可能性があります。さらに早い段階で示談を成立させることができれば、被疑者を身体拘束から早期に解放できるでしょう。

検察官が起訴処分・不起訴処分の判断をする際にも、被疑者に有利に働くことが期待できます。

また、被害届や刑事告訴状が提出されている場合には、これらを取り下げる旨の記載も示談書に盛り込んでもらえる可能性があります。
告訴を起訴の条件とする「親告罪」では、示談に伴う告訴取り下げにより不起訴となります。

示談の意義
・逮捕・勾留を回避できる可能性が高まる
・不起訴処分を獲得できる可能性が高まる
・示談が成立していない場合と比べて判決(刑罰)が軽くなることが多い

2.示談の方法と流れ

このように、痴漢・盗撮・窃盗などの被害者がいる犯罪の場合、被疑者・被告人の処分結果に最も影響を与えるのが被害者との示談です。

そのため、処分を軽くするには、いかに迅速に示談を成立させることができるかにかかっているともいえます。

では、刑事事件の示談はどのように行えば良いのでしょうか。

(1) 示談の方法

示談の成否は、被害者の心情にかかっています。

被疑者側は、犯罪被害によって精神的に大きく傷ついています。
この上、示談交渉に応じなくてはならないとなったら、その精神的負担は計り知れません。

よって、被害者が被疑者側からのいかなる連絡も拒否し、示談の話どころではない場合も珍しくはありません。

そもそも、痴漢や盗撮の場合、被疑者と被害者とが、面識がなく、被害者の連絡先がわからない場合が大半です。

しかし、捜査機関は、被害者の連絡先を被疑者側に教えることは(被害者プライバシーに関わるため)決してありません。

よって、被害者との示談交渉は弁護士に依頼することが必須と言えます。
弁護士ならば、被疑者本人に教えないことを条件に、捜査機関へ(被害者の承諾を得た上での)被害者の連絡先開示をお願いできます。

これにより、「弁護士にだけならば」と連絡先を教えていただき、示談交渉をスタートできることが非常に多いです。

また、仮に被疑者が被害者と連絡が取れても、事を急げば、被害者の心情をさらに害してしまい、逆効果にならないとも限りません。

示談交渉は、すべてにおいて慎重さが求められます。
示談交渉のやり方としては、被害者との折衝も含め刑事弁護のプロである弁護士に委ねるべきと言えます。

(2) 示談の流れ

まず、警察に連絡先を教えてもらった弁護人が、被害者と連絡を取ります。そして、示談交渉に応じてもらえた場合、さっそく交渉を始めます。

交渉の場では、示談にどのような条項を織り込むか(例えば、被疑者が引っ越しをする、通勤時間帯を変えるなど)、示談金はいくらにするか等について辛抱強く交渉します。

最終的に、被害者が示談内容に合意してくれると、合意した内容を記した示談書を作成し、示談金を支払います。この示談書を検察官に提出することになります。

示談はいつでもできますが、身体拘束を避けるため・早期釈放を目指すためにも、出来るだけ早いタイミングで行うべきです。

(3) 示談が成立しなかった場合の対処法

「弁護士に依頼をして示談成立のために努力したが、被害者の処罰感情が高く、示談をする意思がないようだ」「とても払えない金額だが減額交渉に取り合ってもらえない」などという事例でも、次善の策をとることによって、示談交渉の努力を無駄にせずに済みます。

①宥恕条項の記載は拒否されても、示談金だけは受け取ってもらえる場合は少なくありません。その場合は、宥恕文言抜きでの示談書作成に応じてもらい、金銭的な被害は回復されたことを明確にします。
また、示談書の作成自体に応じてもらえない場合は、示談金であることを明示した領収書を発行してもらいます。

②示談金の受け取り自体を拒否された場合は、法務局へ供託することも一考に値します。あるいは示談金に相当する金額を弁護士会などへ贖罪寄付し、犯罪被害者のために役立ててもらうことも、事案や状況によっては被疑者にとり有利な事情となります。

③誠実に交渉したが合意に至らなかったという事実経過を「報告書」にまとめて裁判所・検察官に提出します。被疑者側の真摯な反省と被害回復に向けた努力を知ってもらうことで、示談不成立であっても、最大限誠意を尽くしたことを伝えて有利な事情としてもらいます。

示談においては、宥恕文言を得られることが最善です。しかし、これを得ることができなくとも、被害者に謝罪し示談に向けて真剣に対応した姿勢は、被疑者(被告人)にとり有利な事情として評価されるのです。

示談できない・拒否された場合にどうすれば良いかを詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。

[参考記事]

示談できない、示談不成立、示談を拒否された場合の対処法を解説

3.刑事事件における示談金の相場

支払う側として、示談金の相場が気になる方は多いでしょう。
示談金について、罪種ごとに相場を見出すことは可能なのでしょうか?

同じ罪種に属する犯罪であっても、事案ごとに、犯行に至る経緯・動機・目的、犯行の方法、犯罪の結果の重大性が異なり、被害の深刻さや被害感情は一律ではありません
したがって、罪種ごとに相場を見出すことは難しいと言わざるを得ません。

例えば、財産犯(窃盗・強盗・詐欺・恐喝・横領など)の場合は、基本的には侵害された財産の経済的価値に相当する金銭を支払うことになります。つまり被害弁償です。

しかし、一般的には財産的価値の乏しい物でも、被害者にとっては主観的な価値があるケース(例えば、形見の品や思い出の品等)もあり、市場での価値に見合う被害弁償金で納得を得られるとは限りません。

さらに、被害に遭った際の恐怖等の被害感情は精神的損害として「慰謝料」で補てんされ、これも示談金に含めることになりますが、精神的な被害の程度は、犯行内容や被害者の受け止め方によって一様ではなく、事案によって異なるとしか言えません。

したがって、罪種ごとの示談金の相場を導き出すことは、難しいと言わざるを得ないのです。

また、実際の事件では、被疑者(被告人)側の支払能力が決定的な要素になることも少なくありません。

相場の金額云々以前に、無い袖は振れません。
仮に相場の金額よりも低額の示談金しか提示できなくとも、それが加害者側の資力の上限であれば、被害者側としては、受け取りを拒否して金銭賠償を諦めるか、提示の金額で我慢するかしか事実上の選択肢がないのです。

4.示談の弁護士費用

示談交渉は弁護士に依頼をするべきというのは先述の通りですが、実際に刑事事件弁護を依頼した場合、弁護士費用はどのくらいになるのでしょうか?

弁護士費用は日弁連の報酬基準が廃止されたためオープン価格となっており、弁護士事務所によって異なります。

刑事事件では、着手金が20万円~30万円程度、不起訴などを勝ち取った場合の成功報酬も同額程度というケースが一般的です。

また、示談交渉を伴う場合には、多くの事務所で弁護士費用を加算しています。

早期釈放を実現したり、示談を成立させたりした場合に、別途の成功報酬が必要となる事務所もあります。一方、それらも基本料金に含まれている事務所もあるなど、弁護士費用の形態は様々です。

したがって、着手金や報酬金については、各事務所のホームページや初回相談時に事前に確認するようにしましょう。

当事務所の、弁護士費用に関しては「弁護士費用のご案内」のページをご覧ください。
皆様がご利用しやすい、リーズナブルな弁護士費用となるよう心がけております。

5.刑事事件の示談交渉は泉総合法律事務所へ

被害者のいる犯罪においては、被害者に犯罪事実について許してもらい、「示談」の成立を目指すことが非常に重要です。

もし刑事事件で逮捕されてしまい釈放されたい場合、不起訴になりたい場合、在宅事件でも罰金刑などによる前科を免れて不起訴になりたい場合には、お早めに刑事弁護経験が豊富な泉総合法律事務所の弁護士に相談してください。

刑事事件に強い泉総合の弁護士が全力で刑事弁護に取り組んでいきます。

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