ひき逃げで逮捕され勾留、否認→早期に釈放、一部起訴されず罰金

[事例 75] 交通事故 ひき逃げ
性別 女性相談に至った
経緯
・家族が逮捕された
・冤罪を証明したい
・起訴された・釈放してほしい
年齢 40代
職業 主婦
罪名救護義務違反、報告義務違反 ※いわゆるひき逃げ
弁護活動の結果罰金刑

背景

Aさんは、夕方、家に帰るために自動車を運転していました。交差点を右折したところ、サイドミラーにコツンという、物が当たるような軽い音がしました。Aさんはガードレールにぶつかったのかと思い、少し進んだあとで、傷がついていないか確かめましたが、傷はありませんでした。Aさんはそのまま帰宅しました。

帰宅後、警察のサイレンが何度も聞こえることに、なぜか不安になりました。もう一度車を確認しましたが、やはり目立つような傷はありませんでした。

不安になったAさんは、帰宅した夫ともに、音が聞こえた交差点に行っていました。するとそこに警察が来ており、ひき逃げ事故があったと聞かされました。Aさんは驚き、自分かもしれないと伝えました。そして、そのまま逮捕されてしまいました。

事故の2日後、Aさんのご主人が相談に来られ、受任になりました。

弁護士対応 - 準抗告の申立て、被害者への謝罪

受任後、直ちに、勾留されているAさんに面会し、お話を聞きました。Aさんは「人身事故を起こした認識」がありませんでした。

つまり、救護義務違反、すなわちひき逃げは争っている、ということでした。Aさんのお話しは十分に納得できるものでした。

しかし、このまま勾留が続けば、精神的にAさんが参ってしまいそうな予感もしました。そこで、身柄の解放が最も重要と考え、Aさんのご主人やそのお父さんから身元引受書、Aさんが逃亡しないよう監督する、という書類を書いてもらいました。

それに加えて、Aさんが捕まったままでいるとご主人やお子さんたちの生活に大きな影響があることを裁判官へと伝えました。結果、弁護人が申し立てた準抗告が認められ、釈放されました。

その後、取調べに対しては、ひき逃げの認識を争う姿勢を取り続けました。同時に、事故を起こしてしまったのは事実ですから、被害者へ謝罪に赴きました。繰り返し訪れたことで、被害者は「Aさんが処罰されることは求めない」という書類を作ってくれました。

結果 - 救護義務違反を回避、罰金刑で終了。

結果、Aさんの主張が認められ救護義務違反ではなくなり、罰金刑で済みました。

弁護士からのコメント

救護義務違反、いわゆるひき逃げが成立するためには、人身事故を起こしたにもかかわらず、そうと分かっていて現場を離れたこと、つまり人身事故を起こしたと認識していたことが必要です。Aさんにはこれがありませんでした。そして救護義務違反(ひき逃げ)は飲酒運転や信号無視と合わせて交通三悪とも呼ばれ、非常に重く扱われます。通常、罰金では済まず、普通の裁判となります。

このため、Aさんの罪を最も軽くするためには、Aさんがしっかりと否認供述を続けることが必要でした。そして、そのためにはAさんが可能なかぎり心配なくその主張を貫ける環境を作ること、すなわち身柄を解放することが重要でした。今回は、それがうまくいき、Aさんも精神的に余裕をもって争い続けることができました。その結果、ひき逃げとみなされることを回避できたのです。