業務上横領で2度の逮捕・勾留・起訴→執行猶予判決

[事例 512] 財産事件 横領、背任
性別 男性 相談に至った
経緯
・家族が逮捕された
・執行猶予にしてほしい
年齢 30代
職業 会社員
罪名 業務上横領
弁護活動の結果 執行猶予

背景

Aさんは、以前の勤務先店舗での横領によって逮捕・勾留され、業務上横領によって起訴されてしまいました。Aさんは起訴と同時に同じ店舗での別の時期の横領で再逮捕されてしまい、その事件で勾留された後に、お父様が当事務所に相談に来られました。

Aさんのお父様は、Aさんが実刑になってしまうのではないかと心配なさっており、なんとかしてAさんを執行猶予にしてほしいというのがご希望でした。

弁護士対応 - 執行猶予付きの判決を目指す

ご依頼を受けた後、早速、弁護士がAさんの留置先の警察署に行ってAさんと接見をしました。Aさんは、既に起訴されている件や再逮捕された件について、いずれも実際に自分が行ったことであり、間違いないとお話されていました。

そこで、弁護方針としては、Aさんが事実関係を認めて反省していることを前提に、執行猶予が付いた判決を得ることを目指すことにしました。

有利な判決を得るために示談交渉を行おうとも考えましたが、被害店舗側からは既に示談には応じないという意向が示されていた上、相当ではない過大な金銭要求をされるなどしていましたので、示談については断念せざるを得ませんでした。

Aさんは再逮捕分についても起訴されてしまいましたが、その後に行われた公判では、Aさんが一部被害店舗から受け取っていない未払いの給与があったため、それを放棄して弁償に充てる意思を示したほか、お父様にも証人として出廷していただき、Aさんを監督することを証言していただきました。

結果 - 執行猶予付き判決を獲得

検察官からは、懲役2年6月が求刑されましたが、未払い給与を放棄して弁償に充てる意思を示したことや、お父様が監督を約束していることなどのAさんにとっての有利な事情が考慮され、懲役2年6月・4年間執行猶予という判決が宣告され、実刑を避けることができました。

弁護士からのコメント

今回の事件では、示談を成立させることができず、また、被害店舗側が相当ではない多額の弁償金を要求してくるなど、対応に難儀した部分がありましたが、

Aさんに未払い給与があり、それを放棄するという形で実質的な被害弁償を実行することができたことや、お父様に監督を誓約していただいたことなど、Aさんにとってプラスの事情を裁判で立証することができたので、無事、執行猶予付きの判決を獲得することができました。