コンビニでのお金を盗んで窃盗罪に→執行猶予付き判決を獲得

[事例 118] 財産事件 窃盗
性別 男性 相談に至った
経緯
・家族が逮捕された
年齢 30代
職業 会社員
罪名 窃盗
弁護活動の結果 執行猶予

背景

Aさんは、奥さんと幼いお子さんと3人で暮らしていました。奥さんは子育てのために退職しており、Aさんは職を転々としていたため、生活が苦しい状況で、Aさんは自己破産することも考えていました。Aさんは、同じくお金に困っていた友人と話し合い、2人でコンビニエンスストアからお金を盗むことを決めました。Aさんたちは、お店のどこにお金が保管してあるのか、どの時間帯であれば店員や来客が少ないのか、防犯カメラはどこに設置されているのか、といったことを調べ、犯行に使用する道具を準備しました。
その結果、Aさんたちは、200万円ほどのお金を盗み出しました。
事件から何日か経ってから、まず共犯者の友人が逮捕され、その後、Aさんも逮捕されました。
Aさんが逮捕された直後、Aさんのご両親が当事務所にご依頼されました。

弁護士対応 - 保釈を目指して身柄解放活動、被害者との示談交渉

Aさんには前科・前歴はありませんでしたが、計画的な犯行で被害も多額だったためか、Aさんは、勾留後10日間が経たないうちに、起訴されてしまいました。
勾留されたまま起訴されると、起訴後の勾留ということで、引き続き警察署で身柄を拘束されるのですが、起訴されると、保釈保証金を準備することで、保釈が認められることもあります。Aさんが保釈を希望していることは警察署で接見をして聞いていたため、起訴後、すぐに保釈を目指しました。保釈の可否を判断する裁判官も、犯行が悪質だと考え、保釈を認めることには積極的ではありませんでしたが、弁護人が電話で裁判官と話した結果、Aさんは、保釈されました。
とりあえずAさんの身柄は解放されたものの、裁判の結果、実刑判決を言い渡されれば、Aさんは刑務所に入ることになります。それを避け、執行猶予を獲得するためには、示談をすることが不可欠だと思われました。
被害者の方の被害感情が強かったことや、共犯者との間での負担割合をどうするのかといった問題もあり、第1回の公判期日までには、示談は成立しませんでしたが、その後、なんとか示談を成立させ、判決には間に合わせることができました。また、できるだけAさんにとって良い情状を裁判所に分かってもらうため、Aさんの奥さんにもご協力いただきました。

結果 - 執行猶予付き判決を獲得

結果として、Aさんは懲役2年・執行猶予4年となりました。

弁護士からのコメント

起訴された場合、示談の成立の有無によって、執行猶予を獲得できるかどうか、すなわち刑務所に入らなければならないのかどうかが変わってくる場合が多々あります。
まだ示談が成立していなかった第1回公判の中で、奥さんの証人尋問とAさんの被告人質問を終えて、裁判官が、示談について「何とかなりませんか」と言いました。私は、Aさんが刑務所に入った場合、奥さんと小さいお子さんがとり残され、生活が立ち行かなくなってしまうことを裁判所に訴えましたが、裁判官のその言葉を聞いて、示談が成立しなければAさんは実刑になってしまうのだろう、逆に、示談が成立すれば執行猶予の可能性があると思い、判決までに示談をすることが不可欠だと考えました。
そして、示談が成立し、裁判官が執行猶予付きの判決を言い渡した後、裁判官は「今回はギリギリの判断です。」と言いました。
示談の有無が、執行猶予を獲得できるかどうかの分水嶺でした。