駐車場に停車していた荷物の配送車から加湿器を盗んだ

[事例 211] 財産事件 窃盗
性別 男性 相談に至った
経緯
・前科をつけたくない・不起訴にしてほしい
・示談したい
・執行猶予にしてほしい
年齢 50代
職業 その他
罪名 窃盗
弁護活動の結果 執行猶予

背景

事件の少し前から、Aさんは職場の人間関係のストレス、身体の不調など、様々な要因が重なり、精神的に追い込まれていた状況でした。

そんなある日、Aさんが仕事を終えて自宅マンションに着くと、マンションの駐車場に荷物の配送車が止まっているのが目に入りました。Aさんが車に近づくと、配達員はおらず、鍵もかかっていないようでした。
そこで、Aさんはつい魔が差してしまい、車の中にあった加湿器一台を持ち去ってしまいました。

Aさんの犯行の様子はマンションの防犯カメラなどに映っていたため、事件から1か月ほど後になって、犯行が発覚することとなりました。

Aさんは、検察庁に送致後釈放されており、それ以降呼び出しなど受けていなかったため、今回の事件についてどうしたらよいのか、自身の置かれた状況を理解できていませんでした。

そうして、事件から時間が経過し、検事から呼び出しを受けた際に、「そろそろ処分が決まるので、示談するつもりがあるのであれば、早くしたほうが良い」と言われたことから、慌てて弊所に相談に来られました。

弁護士対応 - 被害者への示談交渉と、保険会社へ被害金額の支払いを指示

まずは、検事に処分方針を確認したところ、示談できない限り公判請求するとのことであったため、早急に示談交渉を行いました。
しかし、(事件から時間が経過していることもあったのかもしれませんが)最終的には、被害会社の方針ということで示談はできませんでした。

それでも、被害会社は今回の件で盗難保険が適用され、被害金額分の支払いを受けていたため、Aさんと相談し、保険会社からの求償に応じ保険会社への被害金額分の支払いを行い、こちらに有利な事情を作りました。

その後、Aさんは起訴され、裁判となりました。

事実を認めている事件であるので、Aさんに謝罪と賠償の意思があることや、保険会社からの求償に応じたこと、Aさんのご家族が今後の監督をすること、何よりAさんが、今回の事件の原因を考え二度と罪を犯さないことなどを法廷で示しました。

結果 - 執行猶予付きの判決を獲得

結果として、執行猶予付きの判決を得ることができました。

弁護士からのコメント

示談交渉は、事件から時間が経過してしまうと、被害者が応じてくれなくなることもありますので、早期の対応が必要です。また、裁判になった際には、罪を認めている事件であれば、少しでもこちらに有利な事情を作ることが重要です。

通常は、ご家族の方に情状証人として法廷で今後の監督を証言してもらいますが、当然ご本人には、事件の原因や今後の再犯防止策について説得的に裁判官の前で話してもらいます。

今回は、本人やご家族の協力もあって、執行猶予付きの判決という結果に結び付いたのだと思います。